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日本中にフィーバーを巻き起こしたラグビーワールドカップ。11月2日の決勝戦を最後に幕を閉じたが、ラグビーへの熱狂はまだまだ冷めない。4日からは大学ラグビーの出番だ。関東大学対抗戦、後半戦が始まる。
筑波大学はワールドカップ前の前半戦で、早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学の「伝統校」との戦いを終えた。
開幕戦の明治に33-59、3戦目の早稲田には8-52で敗れたものの、2戦目では慶應に17-14で勝利を飾った。後半ロスタイムにトライを決める大逆転劇。
「伝統校」からの勝利は2015年を最後に遠ざかっており、16年に入学した4年生にとって、勝つことは悲願だった。
だが、気を抜くことは許されない。後半戦、初戦の相手は帝京大学。いきなり後半戦の大一番を迎える。
今年は昨年と異なり、全国大学選手権に進むには対抗戦で4位までに入る必要がある。勝てば大学選手権進出がほぼ決まるため、主将のSH(スクラムハーフ)杉山優平(4年・大阪桐蔭)は「今は勝つことだけを考えている」と話す。
トレーニングメニューが書かれたボードには“帝京に勝つ“の文字が刻まれていた。エース・仁熊秀斗(3年・石見智翠館)も「このチームで勝ちたい」と気合十分だ。
写真:仁熊など外のランナーにボールを渡せるかが勝利の鍵
伝統校との3戦を終え、嶋崎達也監督(体育系・助教)は「昨年よりも接点では間違いなく戦えている」と評価。慶應戦では、ゲインを許さない厚いディフェンスで勝利を呼び込んだ。
FW(フォワード)を武器にしている相手にPG(ペナルティゴール)を選択させるほどだった。シーズン始めから「接点」に重きを置いて取り組んだ成果を象徴するシーンだ。
ワールドカップ開催中、他大学の多くは練習試合を行う中、筑波はあえて行わなかった。「伝統校との3連戦による、疲労を考慮した」(嶋崎監督)ためだ。選手たちに疲労回復を促し、約1ヶ月、課題の修正と対帝京戦のトレーニングに充てた。
筑波は、明治戦こそ5トライを挙げたものの、慶應戦では前半までノートライ(後半は3トライ)。早稲田戦に至っては80分でわずか1トライと「アタック」に不安を抱えていた。
FB(フルバッック)松永貫汰(2年・大阪産業大附)も「明治相手には持ち味を出せたが、慶應、早稲田には何もできなかった」と振り返る。
「外にスペースがある状態で外のランナーに渡したい。そのための準備、工夫をしていきたい」と杉山。早稲田戦ではラインの外にタックルされる場面が目立った。
そのため、嶋崎監督は「ボールをもらう選手のポジショニングや走るコース等の修正に取り組んできた」と話す。
試合2週間前から本格的に帝京への準備を始めた。変わらない帝京の強さは大きく重いタックルだ。勝負の分かれ目は「接点」になるだろう。昨年の対抗戦では接点で圧倒され、10-66と大差で敗れた。
今年の早稲田戦でも、「要所は良かったが、80分間継続できなかった」(杉山)ことで差が生まれた。
それでも、副主将のPR(プロップ)鎌田慎平(4年・東福岡)は「帝京の重さを跳ね返せるメンバーが揃っている。心配ない」と力強く語る。慶應に見せた泥臭く、粘りのあるディフェンスに期待したい。
接点の攻防を優位に進めれば勝機はある。中断期間に取り組んできたアタックが活かされるからだ。
仁熊は「BK(バックス)の強みを活かせるプレーができるようになってきている。ラインブレイクやトライを決めて、チームを勝たせる働きをしたい」と意気込む。
筑波は深めてきたチーム力で帝京に挑む。「チーム力は間違いなく(帝京よりも)筑波の方が上」と杉山は断言する。それは杉山を中心とした4年生がリーダーシップを発揮してきたからに他ならない。
中断期間、Jr.戦とC戦を3試合ずつ行った。副主将の石川千暁(4年・洛北)や坪井悠(4年・高津)など、それぞれの試合のゲームキャプテンが週始めに目標を立てた。
「接点で返す」や「つながり」など、試合の中で意識して取り組むことをチームに示した。帝京だけでなく、目の前の試合に集中するために始めた初の試みだったが、「後輩にしっかりと意識が浸透していた」(石川)。
試合中、後輩たちから目標で挙げた言葉を発するようになった。Jr.戦は春夏連敗していた日本大学に勝利するなど、2連勝でバトンを渡した。
さらに、そのJr.戦ではけがで出遅れていたHO(フッカー)吉田隼人(4年・長崎北陽台)と鎌田がスタメンで復帰。フロントローの2人である4年生の復帰は心強い。
吉田は「けが明けは状態が戻らず、苦しい思いをした」。それでも、「仲間の支えがあってここまで来られた。Jr.戦を通して、状態は上向き」と話す。
鎌田も「ゲームに戻れた嬉しさがあった。ここまで接点が良かったのはスタメンの同期が身体を張ってきたから」。
「4年生を見て後輩たちも積極的になれている」とLO(ロック)後藤海夏人(4年・茗溪学園)やFL(フランカー)土谷深浩(4年・福岡)を称えた一方、「自分も負けないように最前線で身体を張りたい」と意気込む。
杉山は「チームにはまとまりがあり、意思疎通ができている。試合の流れを掴めば強い力を発揮するし、流れを渡しても、同じ方向を向いて修正できる」と話す。
チーム一丸となって戦うのは日本代表だけではない。筑波も「ONE TEAM」で勝負に挑む。
文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)
◆筑波大学 関東大学対抗戦日程
・11月04日(月)14:00 帝京大学 vs. 筑波大学 駒沢
・11月10日(日)14:00 筑波大学 vs. 成蹊大学 熊谷B
・11月24日(日)14:00 日本体育大学 vs. 筑波大学 前橋敷島
・11月30日(土)14:00 筑波大学 vs. 青山学院大学 江戸川陸上
◆関東大学対抗戦 順位(第3節終了時点)
1位 明治大学 3勝0敗
1位 早稲田大 3勝0敗
1位 帝京大学 3勝0敗
4位 慶應義塾 2勝1敗
5位 筑波大学 1勝2敗
6位 日本体育 0勝3敗
6位 青山学院 0勝3敗
6位 成蹊大学 0勝3敗
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