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ラグビー コラム 2019年11月1日

【俺達のONE TEAM】筑波大学の院生ラガーマン。選手と研究、二刀流の挑戦

ラグビーレポート by 筑波大学新聞
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ラグビーワールドカップの日本代表だけでなく「ONE TEAM」で優勝を目指す各大学から、それを支える選手、スタッフを紹介します。今回は筑波大学新聞のコラムです。

*****

筑波大学ラグビー部には約100人の部員がいる。

推薦・一般入試で入学した、体育専門学群の学生が大半を占めるが、医学群の中田都来(3年・灘)や理工学群の熊谷兼人(4年・茗溪学園)を筆頭に、他学群ながら活躍する学生も多い。

その中でも、一際目立つ異色の経歴を持つ部員がいる。今年、筑波大学大学院に進学した松橋瑠偉だ。

仙台高等専門学校出身で、4、5年生の時は全国高専大会で、連覇を成し遂げた実績を持つ。

その後、鹿屋体育大学に3年生から編入し、保健体育の教員免許を取得。今年から筑波大のラグビー部でアナリストとしての活動を始めた。

しかし、6月に一転、大学院生では異例の選手として、再スタートを切った。

「やるからには全力でやりたい」と語った松橋だが、筑波で唯一の院生ラガーマンを始めるきっかけはなんだったのか。筑波で奮闘するラガーマンの素顔に迫った。

青森県出身。男3人兄弟の末っ子として生まれた。兄の影響から、小学4年生で野球を始めると、中学3年生では主将を務めるほど、野球に夢中になった。

ところが、八戸高等専門学校に進学後、野球を続けることはなかった。ラグビー部から熱烈な勧誘を受けたからだ。ラグビーの楽しさを知っていたことも大きい。

小学3年生の頃、2番目の兄が通っていたラグビースクールに誘われ、人数合わせで試合に出場したことがあった。だが、その頃は野球一筋で、ラグビーはあくまで「遊び」だった。

八戸高専では、「ほぼ、ラグビーしかしてなかった」と振り返るほど熱中した。将来は車関係の仕事に就きたいと、機械科のある高専を選んだことを忘れるほどだ。

2年生になると、「もっとうまくなりたい」という気持ちが強くなる。だが、八戸高専は部員が少ない上に、ラグビーをしっかりと教えられる人がいない環境で限界があった。

そこで、3年生の終わりに仙台高専への転校という異例の決断をした。仙台高専は同じ機械科があり、全国高専大会で2連覇していたラグビーの強豪校だ。

転校後はFL(フランカー)やSH(スクラムハーフ)など、複数のポジションをこなし、万能選手として力を発揮。仙台高専の連覇を4まで伸ばした。

「周りの人の支えがあり、純粋にラグビーを楽しむことができた。転校して良かった」と語った。

写真:SO(スタンドオフ)として日本大学C戦で戦う松橋

この頃から指導者になりたい気持ちが芽生え、編入した鹿屋体育大で保健体育の教員免許を取得。指導者として更なるスキルアップを目指し、今年の春、筑波大大学院に進学した。

大学院では古川拓生准教授(前監督)の勧めもあり、ラグビー部のアナリストとして活動。しかし、「いざ目の当たりにしたトップレベルの選手のプレーや考え方は想像を超え、理解が追いつかなかった」。

そんな時、仙台高専の柴田尚都監督の言葉を思い出した。「(指導者にとって)自分が経験していないことを教えるのはなかなか難しい」。

当時、「(高専で)優勝した嬉しさはあった」反面、「素直に喜べない感覚があった」。花園に出場する高校生相手に勝てないことや、同い年の大学2年生との体格やスキルの違いを痛感したからだ。

「指導者になる上で、選手の気持ちを理解できるように、選手としてもっと学ぶ必要がある」。6月、選手として再スタートを切った。

「誰かに縛られてやってこなかったからこそ、ここまでラグビーを続けたいと思える」と語る一方、「筑波だから選手ができている。一緒にやりましょう、とやさしく声をかけてくれた後輩たちがいた」と筑波への感謝を忘れない。

筑波のような大所帯のチームは初めて。「ラグビーに取り組む姿勢や貪欲さを見せていきたい。やるからにはAチームで戦いたい」と意気込む。

一方、部員からの信頼も厚い。副主将石川千暁(4年・洛北)は「練習前に早く来て、練習が終わっても遅くまで自主練を欠かさない。熱心に取り組む姿はみんなの刺激になっている」と話す。

もちろん、選手としてスキルを上げるだけではない。普段は大学院生として、日本代表選手の分析など研究活動にも精力的に取り組む。

どちらも指導者として必要なスキルだ。更に、現場で指導ができる環境がないかを模索するなど、志は高い。

八戸高専時代には「本気でラグビーをやりたくても、する環境がないもどかしさを経験した」。だから「指導者として、一生懸命やりたい子供たちにラグビーができる環境を作ってあげたい」と話す。

筑波から羽ばたく優秀な指導者へ。選手と研究、二刀流の挑戦は続く。

文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)

◆筑波大学 関東大学対抗戦日程
・11月04日(月)14:00 帝京大学 vs. 筑波大学 駒沢
・11月10日(日)14:00 筑波大学 vs. 成蹊大学 熊谷B
・11月24日(日)14:00 日本体育大学 vs. 筑波大学 前橋敷島
・11月30日(土)14:00 筑波大学 vs. 青山学院大学 江戸川陸上

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筑波大学やつくば市内のニューズを扱う、筑波大学公認の新聞。発行は年7回で発行部数は2万部以上。取材や原稿執筆、紙面の作成などは学生中心で行う。»Twitter »Facebook

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