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ラグビーワールドカップでは、「ONE TEAM」のスローガンを掲げた日本代表の活躍が興奮と感動を巻き起こした。
ワールドカップ決勝戦の翌日から再開される大学ラグビーでも、各大学が「ONE TEAM」で優勝を目指す。そんな各校から「ONE TEAM」を支える選手、スタッフを紹介していく。
「真価を問われる代になる」。武井日向主将(商4=国学院栃木)は春季シーズン終了後のインタビューでこう語った。
22年ぶりの日本一をつかみ取った明治大学。再び頂点へ向けて歩みを進めているのは選手だけではない。
学生コーチの井元優吾(営4=大分舞鶴)もその1人だ。もともと選手として入部した彼がなぜ学生コーチの道に進んだのか、そしてチームの一員として彼が今年に懸ける思いについて話を聞いた。
楕円球に出会ったのは小学4年生の頃。ラガーマンだった父の勧めがきっかけだった。転勤族だった井元家は埼玉から大阪へと移り住む。そして、縁があって大分の古豪・大分舞鶴高に推薦で入学した。
「父の地元の大分でやりたいという思いが強くて舞鶴を選びました。結構、伸び伸びした環境でやらせてもらいましたが、勉強ができないと部活にも支障が出るような高校だったので、勉強を第一にやれとは常に言われていました」。
高校の同級生は快速WTB(ウイング)として活躍する矢野湧大、早稲田の副将・FL(フランカー)幸重天ら粒ぞろい。そうした激しい環境でもまれ、成長してきた。
強く印象に残っている試合がある。高校2年時の花園。ノーシードの大分舞鶴高はAシードの国学院栃木高と初戦で相まみえた。結果は31-19で勝利。
花園Aシード校をノーシード校が初戦で撃破したのは実に26大会ぶりの快挙。歴史的なジャイアントキリングに立ち会った。
「自分はベンチで出てなかったんですけど、その時はみんなも勝てると思っていなかったと思います」。
「その試合に向けてすごく準備していて、試合の映像をトレーナールームでみんなで見ていて、コーチ陣の方も分析をしっかりしてくれて、みんなが1つのベクトルに向けて動けた結果だったのかなと思います」。
充実した高校生活を過ごした井元は、指定校推薦で明治の門をたたく。「小4・5年生の時に見に行った早明戦で戦っている選手たちの姿が頭に残っていました」。
「大学を決める時に指定校の枠があって、家族に相談した時に『経験ができるならチャレンジしてみたら』と言われました」。井元はHO(フッカー)として大学ラグビーという大海原へと挑んだ。
しかし、壁は大きく分厚かった。同期のHOには武井主将に加え、高校日本代表経験のある松岡賢太(商4=京都成章)がいた。
同じ大分舞鶴出身のWTB矢野も1年目から明早戦に出場するなどの活躍を見せる中、なかなか出場機会にめぐまれず。「頑張らないといけないなって思いながらも、その時は行動が伴ってなかったのかなと思います」。
そんな中、彼は学生コーチという新たな道を切り開く。きっかけとなったのは親友である幸重天の兄で、圓生正義主将(平26・政経卒)の代で主務を務めた幸重記氏(平26・文卒)の存在だった。
「裏方の仕事を知ることは自分のためにもなるという話を聞きました」。
例年なかった学生コーチと言うポジションとして部を支える道を選んだ井元。彼の挑戦の支えとなったのは滝沢佳之FW(フォワード)コーチの存在だった。
「まだない立場の自分を受けいれて、一緒にやってくれた滝沢さんは本当に尊敬できる人物です」。
「滝沢さんは当たり前ができてない選手には厳しいですが、自分自身の悪いところを常に指摘してくれる方なので頼りになる印象が強いです」。
謙虚な姿勢の裏には、彼の発する言葉の芯の強さが垣間見える。「こだわりを持つこと」が誰にも負けない自分の良さだと答えた。
「選手たちには、1回1回をもったいない練習にしてほしくないです。100%でやることは大事ですし、僕たちも準備をしたうえで選手にやらせているのでもったいないことをしてほしくないです」。
練習の指導も、試合中のコーチングも、選手たちに常に100%で取り組んでほしいからこそ。明治の支え人は選手とともに大学日本一の栄冠へと突き進む。
◆明治大学 関東大学対抗戦日程
・11月04日(祝)11:30 青山学院大学 vs. 明治大学 上柚木陸上
・11月10日(日)11:30 慶應義塾大学 vs. 明治大学 秩父宮
・11月24日(日)14:00 明治大学 vs. 帝京大学 秩父宮
・12月01日(日)14:00 明治大学 vs. 早稲田大学 秩父宮
文/写真:清水康佑(明大スポーツ)
明大スポーツ新聞部
1953年(昭和28年)創部。現在明治大学において唯一の学生新聞部。明治大学体育会43部の競技成績や、学内外の話題を幅広く紙面・WEBサイト上にて掲載、発信。 現在の部員数は56名。
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