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11月1日(金)、東京スタジアムで開催されるラグビーワールドカップ(W杯)3位決定戦に登場するのは、ニュージーランド代表“オールブラックス”と、ウェールズ代表“レッドドラゴン”だ。
オールブラックスは準決勝で、イングランドに衝撃的な完敗を喫した。
スコアは7-19だったが、セットピース(スクラムとラインアウト)やブレイクダウンなど、多くの局面で終始劣勢だった。
今大会でNZ指揮官を退くスティーブ・ハンセンHC(ヘッドコーチ)の例えが、衝撃の大きさを物語っていた。
「家族を交通事故で失うのは、こんな気持ちなのではないだろうか」
オールブラックスは明らかな危機に瀕している。このままのスタイルでいいのか――。
ただ経験豊富な黒衣軍には再生の歴史がある。2007年大会の準々決勝でフランスにまさかの敗戦を喫したが、その後に栄光を掴んだのだ。
「チームは傷つき痛みを感じている。しかしそれをいい方向に生かさなければ。2007年(フランスに準々決勝で敗戦)のおかげでW杯2連勝(2011、2015)が実現した。敗戦のつらさを、身をもって経験した結果だ」(NZ・ハンセンHC)
深い傷を負ったオールブラックスだが、今大会は3位決定戦がまだ残っている。
全国民の期待を背負っているチームにとって、どんな状況であれ敗北は許されない。
ましてNZは通算対戦成績でウェールズに34戦31勝。大きく勝ち越しており、敗戦は1953年までさかのぼらなければならない。
またハンセンHC、そしてNO8キアラン・リード主将にとっては代表引退のメモリアルマッチ。代表ラストゲームを勝利で飾りたい。
そんなNZは準決勝から先発7人を変更した。ベン・スミス、リーコ・イオアネ、ソニー・ビル・ウィリアムズ、ライアン・クロッティーらが登場する。
「ここまでしっかり準備してきていながら出場機会がなかった選手がいる。彼らは心身ともにフレッシュだ。一方で、今後のことを考えてあげないといけない選手もいる」(NZ・ハンセンHC)
一方、1953年以来66年ぶりのNZ撃破を狙うウェールズ。
勝利すれば、第1回大会に並ぶW杯過去最高の3位に辿り着く。ラグビーを心から愛する国民のためにも勝利を届けたい。
こちらはウェールズを再興させた名将、ウォーレン・ガットランドHCのラストマッチ。在任中に欧州6か国対抗戦(シックス・ネーションズ)で優勝4回、今年は史上初の世界ランキング1位にもなった。
準決勝で南アフリカに16-19で競り負け、初のファイナル進出はならなかったが、ガットランドHCは母国でもあるニュージーランド戦を「大事な試合」と位置づけている。
南アフリカ戦からは中4日という強行軍。スターWTBジョージ・ノースなど怪我人もおり、先発は9人が入れ替えとなった。
「W杯が今回で最後となる選手がいる一方、若い選手の未来のために次の大試合でオールブラックスと戦う経験が必要だ。ウェールズのラグビーにとって何が必要か、という大局的な見方が大事だ」
「将来性のあるトモス・ウィリアムズ、オーウェン・ワトキン、オーウェン・レーン、ハラム・エーモスなどの若い選手に次の試合を経験させるべきだと考えた。アダム・ビアードやディロン・ルイスもそうだ」(ウェールズ・ガットランドHC)
守備に優れたウェールズは、どこまでNZの攻撃を封じることができるか。南アフリカとの準決勝はハイパント攻撃を多用したが、今回はどのようなアタック戦術が見られるだろう。
NZはセヴ・リースに先発を奪われていたWTB(ウイング)リーコ・イオアネがどんなパフォーマンスを見せるか。イングランド戦ではBK(バックス)の経験値不足が指摘されていただけに、ウィリアムズとクロッティのベテランCTB(センター)コンビの働きにも注目したい。
見どころの多い「ニュージーランド×ウェールズ」。11月1日(金)午後5:40からJSPORTS 1で生中継される。
【ニュージーランド】試合登録メンバー23人
■先発15人
1.ジョー・ムーディー
2.デーン・コールズ
3.ネポ・ラウララ
4.ブロディー・レタリック
5.スコット・バレット
6.シャノン・フリゼル
7.サム・ケーン
8.キーラン・リード(キャプテン)
9.アーロン・スミス
10.リッチー・モウンガ
11.リコ・イオアネ
12.ソニービル・ウィリアムズ
13.ライアン・クロティ
14.ベン・スミス
15.ボーデン・バレット
■リザーブ8人
16.リアム・コルトマン
17.アトゥ・モリ
18.アンガス・タアバオ
19.パトリック・トゥイプロトゥ
20.マット・トッド
21.ブラッド・ウェバー
22.アントン・レーナートブラウン
23.ジョーディー・バレット
【ウェールズ】試合登録メンバー23人
■先発15人
1.ニッキー・スミス
2.ケン・オーウェンズ
3.ディロン・ルイス
4.アダム・ビアード
5.アラン ウィン・ジョーンズ(キャプテン)
6.ジャスティン・ティプリク
7.ジェームズ・デービス
8.ロス・モリアーティ
9.トモス・ウィリアムズ
10.リース・パッチェル
11.ジョシュ・アダムズ
12.オーウェン・ワトキン
13.ジョナサン・デービス
14.オーウェン・レーン
15.ハラム・エーモス
■リザーブ8人
16.エリオット・ディー
17.リース・カリ
18.ウィン・ジョーンズ
19.ジェーク・ボール
20.アーロン・シングラー
21.ガレス・デービス
22.ダン・ビガー
23.ハドリー・パークス
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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