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ラグビー コラム 2019年10月28日

激しい肉弾戦を制した南アフリカ、ウェールズに勝って決勝へ。ラグビーワールドカップ2019

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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10月27日(日)、神奈川・横浜国際総合競技場でラグビーワールドカップの準決勝が行われた。

3度目の優勝を狙う「スプリングボクス」こと、南アフリカが、初の決勝進出を目指す「レッドドラゴンズ」こと、欧州王者ウェールズと激突した。

南アフリカのSO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラードのキックオフで幕を開けた前半は、そのポラードが「最初の20、30分は腹の探り合いのような展開になる」と予想した通りとなった。

互いにキックを使いながら攻めあうが、ディフェンスに長けたチーム同士の対戦のため、なかなか得点が動かない。

ようやく前半15分、相手の反則から南アフリカは、SOポラードがPG(ペナルティゴール)を決めて、3-0と先制する。

南アフリカはスクラム、モールでは優勢だったが、一気に攻めきることはできず、逆に18分にはウェールズがSOダン・ビガーのPGで3-3の同点とした。

その後も一進一退の攻防が繰り広げられるなか、20分にスクラムで押し勝った南アフリカがペナルティを獲得。SOポラードの右40mのPGで3点を追加し、6-3。

さらに、35分にもSOポラードがPGを決めて、9-3と少しずつリードを広げる。

だが、ウェールズも前半終了間際の39分に、SOビガーがPGを決めて6-9として前半を折り返す。

後半も前半と同じような展開となるが、後半6分、ウェールズはSOビガーが50mのPGを成功させ、9-9と試合を振り出しに戻す。

お互い選手をFW(フォワード)の選手を入れ替えた後の17分、マイボールラインアウトをキープした南アフリカはボールを継続する。

そして、SOポラードの突破から、最後はCTBダミアン・デアリエンディが両チーム通じてこの試合初トライ。SOポラードのキックも決まり16-9とする。

南アフリカが押し気味に試合を進める中、初のファイナル進出へ何としても勝ちたいウェールズは、敵陣5mのラインアウトからキープし、FWで近場を攻める。

そこから21フェーズを重ねたウェールズは、ペナルティを得るとPGではなくスクラムを選択。

25分、そのスクラムから左に展開し、CTBジョナサン・デーヴィスからブラインドサイドに控えていたWTB(ウィング)ジョシュ・アダムスが今大会6つ目のトライ。

ベンチへ下がったビガーに代わってキッカーとなったFB(フルバック)リー・ハーフペニーがゴールを決めて、ウェールズが16-16とまた同点に追いつく。

ウェールズはその後も粘り強く敵陣でフェーズを重ねて、32分、最後は途中交替で入ったSOリース・パッチェルが、40mのDG(ドロップゴール)を狙うが惜しくも届かなかった。

直後の33分、南アフリカは途中出場のFL(フランカー)フランソワ・ロウがジャッカルを決めて、タッチに蹴り出す。

そのラインアウトからモールを形成すると、ウェールズFWはたまらずコラプシングの反則。35分、SOポラードが決して優しくない右からのPGを沈めて、再び19-16とリードする。

ウェールズは最後まで諦めずに戦うも、追いつくことができず、そのままノーサイド。南アフリカが19-16で2007年以来、3度目の決勝へ駒を進めた。

プレイヤー・オブ・ザ・マッチは、19点中14点を右足で挙げた南アフリカSOポラードが選出された。

ポラードは、「相手がスタイルを崩さず、苦労しましたが、この試合はFW陣が素晴らしかった。勢いをついてペナルティを取ることができた。タイトなマッチではそれが重要です」と語った。

惜しくも一歩及ばなかったウェールズのウォーレン・ガットランドHC(ヘッドコーチ)は「力勝負になると分かっていた。われわれは食らいついたし挽回した」。

「残り4、5分は試合の流れが相手へ傾いたと思う。消耗戦の中で戦い続けた選手たちを誇りに思う」と振り返った。

続いて、3位決定戦がウェールズ指揮官として最後の試合になることを受けて、「私の(ウェールズHCとしての)最初の試合はイングランド戦で、最後の試合もそうなることが夢だったがかなわなかった」。

「しっかり回復して、オールブラックスとのゲームに備えなければならない。次の金曜日が(チームのみんなと)一緒に過ごす最後の時間になるので、楽しめるようにしたい」と前を向いた。

キャプテンのLO(ロック)アラン ウィン・ジョーンズも、「僕らは最後まで諦めなかった。2度追いついたことを誇りに思う。追う展開になってしまって、あと少しのところで追いつけなかった」と唇を噛んだ。

一方、決勝進出を決めた南アフリカのヨハン・エラスムス監督は「彼らが優勝した6カ国対抗を分析し、相手を窒息させるようなチームであることは見て取れた。選手たちは強みを保ちながらも相手のプレーに対応した」と称えた。

また、決勝戦に向けて監督は「ここ18カ月でイングランドと4度戦って2勝2敗だ。彼らのスタイルにも慣れている」。

「最後に戦った時より(イングランドは)良くなっている。昨夜ニュージーランドを倒したのを見れば明らかだ。ただ、チャンスはあると思っている」と気を引き締めた。

キャプテンのFLシヤ・コリシは「前半はペナルティを相手にたくさん与えるなど、規律面では良くなかった」。

「プレッシャーを相手に掛けたが、それを緩めるたびにペナルティを与えてしまった」と反省を口にしたが、「お互いにベストを尽くした。プレッシャーに最後まで対応できたことは本当にうれしい」と笑顔を見せた。

また、決勝戦に向けてコリシは「「2007年の優勝時はまだ子どもで、家にテレビがなかったから、その試合はみんなでパブのテレビで見ていた。決勝は自分とチームにとって多くの意味がある」と腕を撫した。

敗れたウェールズは11月1日(金)、東京スタジアムで、ニュージーランドと対戦し、1987年の第1回大会以来の3位を目指す。

また、3度目の優勝かかかった南アフリカは11月2日(土)、神奈川・横浜国際総合競技場で、エディー・ジョーンズHC率いるイングランドと決勝を戦う。

優勝杯「ウェッブ・エリス・カップ」を掲げるのは、イングランドキャプテンオーウェン・ファレルか、それとも南アフリカキャプテンのコリシか。

【ハイライト動画】ウェールズvs.南アフリカ

(c) Rugby World Cup Limited 2019

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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