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エディ率いるイングランド、オーストラリアを撃破しベスト4へ。ラグビーワールドカップ2019 イングランド vs. オーストラリア
ラグビーレポート by 斉藤 健仁ラグビーワールドカップもいよいよ決勝トーナメントに入り、10月19日(土)は大分スポーツ公園総合競技場で、プールC・1位のイングランドと、プールD・2位のオーストラリアがベスト4をかけて戦った。
前・日本代表指揮官であるエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)になってから、イングランドはオーストラリアになんと6連勝中。
だが、2015年のワールドカップでは同じプールに入り、33-13でオーストラリアが勝利し、その勢いのまま決勝進出。イングランドは開催国として初めて決勝トーナメントに進めなかった屈辱を味わった。
イングランドを率いるジョーンズHCと、同じオーストラリアのクラブでプレーしていた、オーストラリアのマイケル・チェイカHCとの指揮官対決も注目を集めた。
好調なイングランドが順当に勝つのか。前回大会準優勝の「ワラビーズ」がトーナメントで力を発揮するのか――。3万6954人を集めた試合は、午後4:15にキックオフされた。
試合は序盤からオーストラリアが19歳のCTB(センター)ジョーダン・ペタイヤの突破など積極的にアタックを仕掛けていくが、イングランドも前に出てプレッシャーをかける。
12分、ワラビーズは自陣でのターンオーバーから、FB(フルバック)カートリー・ビールが独走で敵陣深い位置へと持ち込むと、ペナルティを獲得。
このPG(ペナルティゴール)をSO(スタンドオフ)クリスチャン・リアリーファノが決め、オーストラリアが3-0と先制に成功する。
対するイングランドは18分、ラインアウトからパスを繋ぎ、左サイドへと展開すると、最後はこの日が50キャップの節目となったWTB(ウィング)ジョニー・メイのトライで逆転。
キャプテンのSOオーウェン・ファレルも難しい角度のゴールを決めて7-3とする。
さらにイングランドは21分、自陣でのターンオーバーからCTBヘンリー・スレードが抜け出すと、キックパスをWTBメイへと繋ぎ連続トライ。SOファレルのゴールも決まり14-3とリードを広げる。
この後、前半は両チームがPGを取り合う展開となり、イングランドが17-9とリードして折り返した。
イングランドのキックオフで始まった後半は、後半開始早々の3分にワラビーズのWTBマリカ・コロインベテが、ハーフウェーから走り切ってトライを決めて17-16と1点差に迫った。
だが、イングランドもすぐに6分にPR(プロップ)カイル・シンクラーが力強いランでトライを奪い返して24-16と再び8点差となる。
その後、イングランドが試合をコントロールし、11分にSOファレルのPGで追加点を挙げると、26分と33分にもPGを決め、33-16とワラビーズを大きく突き離した。
勢いの止まらないイングランドは36分、WTBアンソニー・ワトソンが相手のボールをインターセプトして走りきって40-16として、試合はそのままノーサイド。
エディー・イングランドがオーストラリアに快勝し、4強へ名乗りを上げた。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチにはイングランドの21歳のFL(フランカー)トム・カリーが選出された。
「今日は世界的な2人のバックロー(ワラビーズのFLマイケル・フーパーとデービッド・ポーコック)とブレイクダウンで対峙することがわかっていたので、準備してきたことが結果になって嬉しい!」と笑顔を見せた。
またしてもイングランドに敗れ、ベスト4に進出できなかったオーストラリアのマイケル・チェイカHCは「かなりいい試合ができたと思う。特に50~60分間は良かった」。
「だが、前半にインターセプトで2回ボールを奪われたのが痛かったし、相手のディフェンスが良かった。応援に来てくれたオーストラリアの人たちのために勝ちたかったが、それができずに残念だ」。
「今は言葉が見つからない。選手は全力を出してくれた。ここにいるファンや母国のオーストラリア人はそれをわかってくれていると思う」。
「いくつかミスがあったが、選手は最後まで頑張ってくれた。本当にがっかりしている。それ以上に言えることはあまりない」と肩を落とした。
キャプテンのFLマイケル・フーパーも「アタッキングラグビーを展開して相手を脅かしたが、イングランドがリスタートをコントロールした。エリアを十分に取れなかったし、リスタートも思い通りにいかなかった。本当に悔しい」。
「今日でキャリアを終える選手もいる。すべてをかけて努力をしてきたが、望む結果を得られなかった。サポーターの応援のお陰でここまで来られたが、彼らのためにも勝てなかったのは辛い」と悔しい表情を隠さなかった。
一方、快勝したイングランドのジョーンズHCは「間違いなくベストのプレーができた。オーストラリアは速いゲームを仕掛け、最初の20分は素晴らしかった」。
「我々はそこで我慢しないといけなかった。勢いを取り戻して、必要な得点を挙げられた。奮戦して、こういう結果をもたらしてくれた選手たちにとても満足している」と話した。
続いて「ベストのサムライは常にゲームプランを持ち、(展開に)適応できてクールな頭脳を持っているが、攻撃性にも富んでいる。今日の我々はそういう状態だった」。
「いつも、もっといいサムライが間近にやってきているから、我々自身をどうやってさらに良くするかが課題だ。ニュージーランドとはやってみたい。我々にとっては大きな挑戦になるだろうが、対戦が楽しみだ」と準決勝に目を向けた。
キャプテンのSOファレルは「オーストラリアは最初から最後まで攻めてきました。私たちは良く守って、スペースを見つければ決めることができるので、それがうまくいった」。
「オーストラリアは全力でぶつかってくることはわかっていたので、私たちは彼らにペースを与えず、自分たちの主導でゲームができるようにすることができた」。
「自分のプレースキックは前の時よりはマシになりましたね。多くのイングランドファンの後押しが心強く、誇りに思います」と胸を張った。
予選プールから徐々に調子を上げてベスト4に入ったイングランドは10月26日(土)、神奈川・横浜国際競技場で、3連覇を目指す「オールブラックス」こと、ニュージーランド代表と激突する。
文:斉藤健仁
【ハイライト動画】イングランドvs.オーストラリア ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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