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雨中のフィジカルバトル、オーストラリアがジョージアに勝利。ラグビーワールドカップ2019 オーストラリア vs. ジョージア
ラグビーレポート by 斉藤 健仁9月20日(金)に開幕し、連日大きな盛り上がりを見せてきたラグビーワールドカップもいよいよ今週末でベスト8が出揃う。
10月11日(金)は、静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムで、プールDのオーストラリアvs.ジョージアの一戦が行われた。
オーストラリアは、ウェールズには負けたが、3試合を終えて2勝1敗で勝ち点11となり、すでに決勝トーナメント進出を決めている。
ジョージアに勝利すれば13日(日)のウェールズvs.ウルグアイの結果次第で、通過順位と対戦相手が決まる。負ければ2位が確定し、準々決勝ではプールCで1位のイングランドとの対戦が決まる。
一方のジョージアは、1勝2敗で勝ち点5、すでに予選プール敗退は決まっているものの、勝利すればフィジーを抜いて3位となって2023年大会の出場権を得るため、なんとか勝利をもぎ取りたいところだった。
静岡での最終戦となるこの試合は、台風の影響で激しい雨と風の中、キックオフされた。
濡れたピッチとボールのため、ノックオンなど互いにミスが目立つが、やはり総合力で上回る「ワラビーズ」こと、オーストラリアが積極的にボールを展開し攻撃する。
しかし、ジョージアも10分間で50本のタックルとディフェンスで食い止める。
前半13分、オーストラリアはFB(フルバック)カートリー・ビールが脳震盪で退き、デイン・ハイレット ペッティと交替する。
ようやく22分、ワラビーズが連続攻撃で相手ディフェンスを打ち破り、FW(フォワード)が敵陣ゴール前までゲイン。
最後はSH(スクラムハーフ)ニック・ホワイトが飛び込んでトライ。SO(スタンドオフ)マット・トゥムーアのゴールも決まり、7-0と先制する。
だが、ジョージアも28分にオーストラリアHO(フッカー)トル・ラトゥのハイタックルでペナルティを獲得、FBソソ・マティアシュヴィリがPG(ペナルティゴール)を決め、3-7とする。
35分、オーストラリアはNO8(ナンバーエイト)イシ・ナイサラニが危険なプレーで10分間の一時的退場となってしまう。しかし、人数が少ない中で逆にSOトゥームアの45mのPGで3点を追加する。
前半、ジョージアはわずか15%のテリトリー、21%のボールポゼッションだったが、128本のタックルを見せて、なんとか3-10で折り返した。
後半に入り、オーストラリアは、キックも交えて陣地も取っていく戦略に変えた。
FL(フランカー)デービッド・ポーコックが、ジャッカルを見せるなどして、徐々に相手陣でのプレーが増えていくが、やはり互いにミスが目立ち、なかなか試合が動かない。
それでも19分、オーストラリアWTB(ウィング)マリカ・コロインベテがセンターライン付近で、ボールを拾い上げて、一気に駆け抜けて中央にトライ。SOトゥームアのゴールも決まり17-3とする。
ジョージアも29分、SOラシャ・フマラゼのブレイクからWTBサンドロ・トドゥアが左サイドを独走しトライ。FBマティアシュヴィリのゴールは外れたが、8-17と点差を詰める。
だが、34分、オーストラリアはラインアウトからモールで押し込み、最後はFLジャック・デンプシーがインゴールにボールを押さえて22-8。
さらにノーサイド間際の39分にはLO(ロック)ロブ・シモンズ、PR(プロップ)タニエラ・トゥポウのオフロードからと、途中出場のSHウィル・ゲニアが滑り込んでトライ。
結局、4トライのボーナスポイントも獲得したオーストラリアが、27-8でジョージアを下した。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチには80分間フル出場し、3つのラインアウトをスチールしたワラビーズのLOアイザック・ロッダが選出。
「ジョージアは非常にフィジカルに向かってきてFWの戦いになった。FWの勝利だと思う」(ロッダ)。
今大会終了後、サントリーの指揮官となる予定のジョージアのミルトン・ヘイグHC(ヘッドコーチ)は、「ワールドカップの最終戦で自分たちの実力を証明したかった」。
「後半35分まで食らいついていた選手たちを誇り思う。ただ、自分たちの攻撃の時にセットピースをうまく活かせなかった」。
「でも、オーストラリアは強豪なので仕方がない。今日のディフェンスは勇敢だった。ジョージア国民も誇りに思ってくれるだろう」と試合を振り返った。
続いて指揮官は「長い間にはアップダウンがあったが、常に前進し、全力でやってきた。今日、選手たちは全身全霊で守った。だから責められない。彼らは全力を出し切った」と選手たちをねぎらった。
キャプテンのCTBメラブ・シャリカゼも「よく戦った。精いっぱいやったが、十分得点できなかった。ミスが多すぎた。相手はそういうミスを見逃さない」。
「今後はチームを強化し、もっと創造性のある攻撃をしてトライを決められるようにしたい。守備は良くても得点できなければ勝てない。でも、チームや祖国を誇りに思う」。
「チームには若手もいる。次のワールドカップに向けて強化して、今度はもっといい成績を残したい」と悔しさをにじませつつも次へと気持ちを切り替えた。
勝利したオーストラリアのマイケル・チェイカHCは、「FW陣にはハードなプレーをしてほしかった。ちょっと後退気味だったが、このトリッキーなピッチ状態では仕方ない」と振り返った。
「次は強敵が待っている。われわれは成長してきたが、強化し続ける必要がある。攻撃をもっと精度を上げていかないといけない」と早くも準々決勝へと目を向けていた。
ゲームキャプテンを務めたFLポーコックは「初めてのジョージアとの対戦だったので、フィジカルな戦いになることはわかっていたし押し込まれたが、私たちのセットプレーはパーフェクトだった」。
「それでボールをワイドに展開しようとした。しかし、ジョージアのディフェンスは最後まで素晴らしかった」と試合を振り返った。
さらに、「今日はロブ・シモンズが100キャップ達成したので、それを祝い、次の準々決勝に備えたいですね」と笑顔を見せた。
ジョージアはこれで4位以下が確定し、2023年のフランス大会は予選から参加しなければならなくなった。
また、長く「レロス」こと、ジョージアを牽引してきたベテランFLマムカ・ゴルゴゼにとってもこれがワールドカップ最後の試合となった。
一方、オーストラリアは勝ち点を16まで伸ばし、ウェールズvs.ウルグアイの結果次第で、準々決勝の対戦相手がイングランドかフランスか決まる。
文:斉藤健仁
【ハイライト映像】オーストラリアvs.ジョージア ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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