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ベスト8進出一番乗りはイングランド。14人のアルゼンチンを破る。ラグビーワールドカップ2019 イングランド vs. アルゼンチン
ラグビーレポート by 斉藤 健仁ベスト8進出をかけて連日熱戦が続くラグビーワールドカップ。10月5日(土)は、プールCで首位のイングランド代表と、前回大会ベスト4のアルゼンチン代表が東京スタジアムで激突した。
イングランドは初戦でトンガ代表に35-3、続くアメリカ代表には45-7と快勝し、いずれも4トライ以上のボーナスポイントを獲得。勝ち点10で首位に立ち、この試合に勝てばベスト8が決まる可能性があった。
エディ・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)はアメリカ戦から9人の先発を変更し、ケガから復帰したPR(プロップ)マコ・ヴニポラ、万能BK(バックス)のジャック・ノウェルがベンチに入った。
SH(スクラムハーフ)ベン・ヤングズはこの試合で92キャップとなり、2003年にイングランドが優勝した時の立役者、SO(スタンドオフ)ジョニー・ウィルキンソンを超え、イングランド史上3位となる。同じくリザーブのPRダン・コールも出場すれば同じく92キャップとなる。
一方のアルゼンチンは、初戦はフランス代表21-23で惜敗。2戦目のトンガ戦では28-12で勝ち、現在勝ち点6で、ベスト8進出するためには、これ以上負けられない状だった。
マリオ・レデズマHCは、トンガ戦から1名の変更のみにとどめた、ハットトリックを決めたHO(フッカー)フリアン・モントーヤは引き続き先発。「イングランドはつまらないラグビーだ」と発言して物議を醸したベテランのアグスティン・クレービーはリザーブスタートとなった。
また、2015年大会の得点王SOニコラス・サンチェスはメンバー外となった。この起用に地元メディアから疑問の声も上がったが、指揮官は「私は勝つためのメンバーを選んだ」と語気を強めた。
夏のような暑さが残る中、17時にキックオフされた試合は、何としても勝利したいアルゼンチンが果敢に攻撃を仕掛ける。
プレッシャーを受けたイングランドは序盤からペナルティを重ね、6分、アルゼンチンSOベンジャミン・ウルダピジェタがPG(ペナルティゴール)を決めて3?0と先制する。
しかし、イングランドも8分、敵陣でのラインアウトからモールで押し、最後はSOジョージ・フォードのパスを受けたWTB(ウィング)ジョニー・メイがトライ。CTB(センター)オーウェン・ファレルのコンバージョンは外れたが、5?3と逆転に成功。
その後は、お互い規律が守れず、レフェリーから何度も注意を受けていたが、17分、アルゼンチンはLO(ロック)トマス・ラバニニが相手のCTB(センター)オーウェン・ファレルへのショルダータックルで、一発レッドカードで退場となってしまった。アルゼンチンは残り60分以上を14人で戦うことを余儀なくされた。
その後は互いにキックを使って、エリアを奪い合う時間が続いたが、35分、イングランドはラインアウトから左右に展開し、スペースを見つけたFBエリオット・デイリーがトライ。
さらに、前半終了間際にはラインアウトから19フェーズを重ねて最後はSHベン・ヤングスが自ら持ち出してインゴールに飛び込み、イングランドが15-3とリードして前半を折り返す。
後半も数的有利のイングランドペースは変わらない。後半4分、イングランドはFW(フォワード)がピックアンドゴーを繰り返し、最後はSOジョージ・フォードがトライ。
イングランドは4トライ目を挙げてボーナスポイントを獲得し22-3とする。13分にはCTBファレルがPGで3点を追加し、25-3と大きくリードする。
アルゼンチンも31分、ラインアウトからWTBマティアス・モローニがトライ、FB(フルバック)エミリアーノ・ボフェリのゴールを決めて一矢報いる。
しかし、優勝候補の一角・イングランドも強さを見せて、後半から出場したWTBジャック・ノウェルが気を吐き、33分、相手のタックルをかわして右隅に飛び込んでトライ。
さらに39分にラストプレーでラインアウトからHO(フッカー)ルーク・カーワン ディッキーがダメ押しのトライ。
イングランドが結局6トライを挙げて39-10の快勝でノーサイド。3試合すべてでボーナスポイントを得て3連勝したイングランドが、決勝トーナメント進出一番乗りを決めた。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチには16のタックルを決め、ハンドリングエラーを1つもしなかったイングランドFL(フランカー)サム・アンダーヒルが選ばれた。
イングランドのエディ・ジョーンズHCは「私たちも2年前、アルゼンチン相手にFBエリオット・デーリーがレッドカードで70分を4人で戦わないということがありました」。
「こういう時は気持ちの面で難しくなりますが、それでも試合にフォーカスするキャプテンのオーウェン(・ファレル)のリーダーシップは素晴らしかったし、復帰したノウェルはトライを取り、マコ・ヴニポラもいいプレーをしました。
決勝トーナメント進出をしましたが、やはり1試合1試合良くなることが大事なので、次のフランス戦のことだけを考えます」と話した。
また、ジョーンズHCは「アルゼンチンのラグビーは本当に健全な未来があり、沢山の素晴らしい選手を生み出しています。ジャガースが素晴らしい若い選手を輩出する流れを作り、そこに未来があります」。
「14人でも情熱を持って戦ったチームは素晴らしく、アルゼンチンの人々は誇りに思うでしょう」と14人でも60分間奮闘したアルゼンチンを称えた。
イングランドのキャプテンのCTBファレルは「ちょっと雑になってしまったが、ベンチからの選手が試合を落ち着かせてくれた。自分のキックはもっと修正しないといけない」と反省を口にした。
アルゼンチンのレデズマHCは「私たちは16人の選手が今大会でワールドカップデビューを果たしました。経験から多くのことを学ぶでしょう」。
「レッドカードも含め、責任は指揮官である私にあります。目標を達成することができませんでした。14人で戦うのは厳しかったですね」と淡々と語った。
キャプテンのFLパブロ・マテーラは「1人減っても、15人で戦っているのと変わらないようにプレーしようとしましたが、やはり十分ではなかった。ただ選手たちはみんな自分たちの持てる力を出した」と前を向いた。
ベスト8進出を決めたイングランドは、首位通過をかけて、10月12日(土)の予選プール最終戦で、神奈川・横浜国際総合競技場でフランスと相見える。
自力での決勝トーナメント進出がなくなったアルゼンチンは10月9日(水)に埼玉・熊谷ラグビー場でアメリカ代表と対戦する。
文:斉藤健仁
【ハイライト動画】イングランドvs.アルゼンチン ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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