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9月20日(金)に開幕したラグビーワールドカップは、決勝トーナメント進出に向けた熾烈な戦いか激しさを増している。
10月4日(金)は、静岡・小笠山総合運動公園エコパスタジアムでプールBの南アフリカ代表対イタリア代表の一戦が行われた。
南アフリカ代表は初戦でニュージーランド代表に13-23で敗れたものの、ナミビア代表戦には57-3と8トライで快勝した。
イタリアには2016年に一度黒星を喫した相手だが、決勝トーナメント進出にはしっかりと勝たなければいけない相手だった。
一方、イタリア代表は初戦でナミビア代表を47-22、2戦目でカナダ代表を48-7と格下相手にボーナスポイントも獲得して勝ち点10とし、初のベスト8を狙っている。
互いに負けられないプールBの大一番は、フィジカルバトルが予想されたため、両チームともにリザーブには6人のFW(フォワード)を入れて臨んだ。
連日蒸し暑さが取りざたされている今大会だが、夜ということもあり幾分涼しい中でキックオフされた。4万4148人が集まった試合は「スプリングボクス」こと、南アフリカ代表が最初から積極的に仕掛けていく。
イタリアの悪い予兆は最初からあったのかもしれない。開始早々いきなり右PR(プロップ)シモーネ・フェラーリがハムストリングを痛めてしまい、マルコ・リチョーニを投入する。
前半5分、南アフリカがラインアウトからボールを展開し、最後は右サイドラインを走り抜けたWTB(ウィング)チェスリン・コルビが2人をかわして、自身ワールドカップ初となる先制トライ。SO(スタンドオフ)ハンドレ・ポラードのゴールも決まって7-0と先制する。
気合十分のイタリアも8分、SOトンマーゾ・アランのPG(ペナルティゴール)で3点を返し3-7として、勢いに乗りたいところだった。
しかし、11分、今度はイタリアがハイタックルの反則で南アフリカにペナルティを与えてしまう。PGをSOポラードが決めて南アフリカ代表が10-3とする。
イタリアも何度か敵陣ゴール近くまで攻め込むものの、南アフリカにうまくキックを使われエリアを挽回され、トライラインを越えることができない。
そんなイタリアにさらに不運に見舞われる。17分、交替で入った右PRリッチョーニも肋骨の痛みとHIA(ヘッドインジャリーアセスメント)で退いてしまい、それ以降、スクラムを組み合わないアンコンテストのスクラムになる。
右プロップを失い、スクラムでの攻撃オプションが減ってしまったイタリアはそれでも何度か敵陣まで攻め込むが、やはりミスで得点には結びつけることができない。
逆に26分、南アフリカは敵陣5mのマイボールラインアウトからドライビングモールで押し込み、マルコム・マークスに替わって先発したHO(フッカー)ボンギ・ンボナンビがトライ。SOポラードのゴールも決まり17-3とリードを広げた。
その後、前半残りの10分は両者攻め手に欠き、南アフリカ代表が17-3とリードして前半を折り返す。
「17-3であれば、まだなにかできる」とイタリア代表のコナー・オシェイHC(ヘッドコーチ)。
後半、なるべく早く点を取って流れを変えたいイタリアは、FL(フランカー)、ジェイク・ポレドリ、エイブラハム・ユルゲン ステイン、NO8(ナンバーエイト)セルジオ・パリセら、バックローがブレイクし、敵陣5mまで勢いよく攻め込んでいく。
アドバンテージもあり、落ち着いて攻めていけばスコアできるはずだった……。
しかし、後半2分、PRアンドレーア・ロヴォッティとニコラ・クアーリョが南アフリカ代表のNO8ドウェイン・フェルミューレンをひっくり返して、頭から落とすよう危険なタックルで倒してしまう。
ロヴォッティはレッドカードとなり、チャンスから一転、イタリアはさらに左PRを失い、14人での戦いを強いられることになる。
その後は、当然のように南アフリカが試合の主導権を握る。10分にポラードのPGで3点を加え20-3とすると、12分、SOポラードのオープンスペースのキックをWTBコルビが拾い上げてトライ。25-3とリードを広げる。
イタリアも厳しい状況の中でもなんとかパスをつないでチャンスを作るが、17分、ミスからこぼれ球を南アフリカのCTB(センター)ルカニョ・アムに奪われ、そのまま一気に走りこまれてトライを許す。
南アフリカは4トライ目となりボーナスポイントを獲得した。SOポラードは、パーシー・モンゴメリーの記録を抜く113得点で南アフリカ史上ワールドカップの最多得点となるゴールも決めて、32-3とイタリアを突き放す。
27分にもWTBマカゾレ・マピンピ、35分にLO(ロック)のRG・スナイマン、終了間際の40分にHOマルコム・マークスもトライを決めて、南アフリカ代表が結局7トライを挙げ49-3で快勝しノーサイドを迎えた。プレイヤー・オブ・ザ・マッチには2トライを挙げたWTBコルビが選出された。
快勝した南アフリカ代表のヨハン・エラスムスHC(ヘッドコーチ)は「戦術や技術的なミスは多く出てしまったが、この試合のテーマだったフィジカルについて選手達はよくやっていたと思う。ラインアウトも良かったし、この大会で足りなかった一貫性も出せた」と評価した。
キャプテンのFLシヤ・コリシは「コーチ陣には強度とワークレートを要求されていたが、それは遂行できただろう。見映えはどうあれ、点を取ることが大事」とチームのパフォーマンスに満足した表情を見せた。
またエラスムスHCは、日本vs.アイルランドの試合が教訓になったかと問われると、「それは間違いない。プールAのその試合は我々にとってのイタリア戦だった。これはどちらのチームが進歩しているかが勝敗を分けたと思う。私たちはニュージーランドに負けたことで大きく学んだ」と答えた。
一方、予想外の大敗で悲願のベスト8進出がかなり厳しくなったイタリアのオシェイHCは、「今まで積み上げたことが全て崩れるような試合だった」。
「南アフリカに勝つためには、完璧にプレーしなければいけなかったし、その準備をして自信を持って臨んだ。前半に(PR2人を失うという)不測の事態があったが、17-3で後半に入った時までは、まだ何か食らいついていけると思っていた」。
「後半の入りもよく、ラインブレイクでスコアできるところだった。だが(レッドカードという)、極めて愚かなことが全てを終わりにした。選手達は最後まで気丈に戦ったが、この相手に14人で勝つのは不可能だ。その時点で試合は終わった」と声を詰まらせた。
また、オールブラックス戦を残すが「ベストな23名を選ぶにはあまりにも今日の試合のダメージが大きい。正直言葉が見つからない」と肩を落とした。
キャプテンのNO8パリセは、「17-3で折り返し、後半あの時にトライが取れていたら、もしかしたらなにかが起きたかもしれなかった。それがあのレッドカードでチャンスを失ってしまった」。
「この試合から、せめて何かを学んで未来に繋げないといけない」と語り、自信のテストマッチ出場142キャップ(元ニューイーランド代表リッチー・マコウに次いで2位)には、「個人のことはチームを前にしてはなんの意味もない」と厳しい表情を見せた。
快勝で総勝ち点を10とした南アフリカは、最終戦で10月8日(木)に神戸でカナダと対戦する。
イタリア代表総勝ち点は10だが、10月12日(土)の豊田での最終戦の相手は3連覇を狙うニュージーランド代表で、3位以内は確定したものの、決勝トーナメント進出はかなり難しくなったと言えよう。
文:斉藤健仁
【ハイライト動画】南アフリカvs.イタリア ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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