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プール戦(1次リーグ)の熱戦が続く、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会。
10月3日(木)は、兵庫・神戸市御崎公園球技場で、プールAのアイルランド×ロシアが行われた。
第2戦で日本に史上初黒星を喫し、1勝1敗(勝点6)となったアイルランドは、プール戦突破へ絶対的な司令塔ジョナサン・セクストンが先発復帰した。
ただ中4日という日程もあり、日本戦からは先発11人を変更した。
一方、中8日で臨んだ開幕2連敗(勝点0)のロシアだが、先週から先発9人を変えてきた。
この日のアイルランドは密集脇のスペースへ、サインプレーでアプローチした。
開始1分、シンプルなループプレーをおとりとして、内側を走ってきたFBロブ・カーニーが防御突破。
そのまま同国史上W杯最速となる開始1分での独走トライを決めて、SOセクストンのゴールも成功。7点を先取した。
強敵と相対したロシアは、キック名手、SOラミリ・ガイシンのハイパント攻撃に勝機を見出す。この日はSOガイシンのロングキックも冴え、アイルランドを再三自陣へ後退させた。
スクラム戦は、序盤はアイルランド優勢。前半10分のファーストスクラムで、いきなりコラプシングによるPKを奪った。
すると前半12分、アイルランドが誇るファイター、FLピーター・オマーニーが、SOセクストンの防御裏へのキックを捕球してチーム2トライ目(ゴール成功)。14-0とリードを広げる。
反撃したいロシアだが、反則が続き、LOボグダン・フェドトコが反則の繰り返しによりシンビン(10分間の一時退場)に。
ここでアイルランドは14人となったロシアを攻め立て、前半34分、この日13タックルを全成功させてMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたFLリース・ラドックが3本目のトライを決めた。
21-0とリードして折り返したアイルランド。
4トライ以上を獲ればボーナスポイント(BP)「1」を獲得できる。あと1トライが必要な状況となった。
後半最初からSOセクストンは下がり、日本戦で先発したジャック・カーティーが投入される。
ただロシアは後半、途中出場のスクラムの猛者、ヴァレリー・モロゾフの奮闘もあってスクラムで対抗。同7分のスクラムでは初めてPKを奪うなどし、アイルランドのゲームプランを崩していく。
ところがロシアは後半10分、途中出場のアンドレ・オストリコフが危険なクリーンアウトにより、今日2人目の一時退場者に。
しかしアイルランドはFWで圧倒できない。ロシアは懸命なディフェンス、FLカジエフのジャッカルなどで徹底抗戦した。
「アイルランドの攻撃に備えて調整し、多くの点でうまくいったが、相手は我々の後ろにボールをキックして陣地を稼いだ。(中略)ラグビーをよく分かってないサポーターに言いたいが、これは我々にとってすごいことだ」(ロシア・ジョーンズHC)
アイルランドの突破口は後半21分、10番からの防御裏のショートキックだった。
セクストンに代わり途中出場のカーティが防御裏へショートキック。これを捕球し、最後はWTBアンドリュー・コンウェイが独走トライを決めた。
ようやく待望の4トライ目を奪うと、後半36分には途中出場のジョーダン・ラーマーが防御網を裂き、ラストパスを受けたCTBギャリー・リングローズが5トライ目を決めた。
ファイナルスコアは35-0。
ロシアは後半からスクラムで奮闘し、アタックでは終始ハイパントに勝機を見出そうとしたが、ボールの再獲得率は高くなく、スコアの土台にすることができなかった。
完封勝利を挙げたものの、後半20分間で無得点に抑えられるなど、圧勝とはならなかったアイルランド。
しかし指揮官のシュミットHCは「勝つこと、いいパフォーマンスをすることで自信が持てる。厳しいコンディションの中、試合をしっかりコントロールしてくれた」と選手を讃えた。
また、前半で抜群の存在感を示したSOセクストンは、「先週(の日本戦の負け)から立ち直り、狙い通りボーナスポイントも奪った。組織がしっかりした相手をゼロに抑えられてうれしい」と勝利を振り返った。
一方、大会初勝利を逃したロシアのリン・ジョーンズHCは、優勝候補に最後まで対抗したメンバーを誇った。
「我々のプレーには間違いなく喜んでいる。アイルランドの(ボーナスポイントを得られる)4トライを阻止するつもりで来た。選手たちは全力を出してくれたし、組織立ったプレーをして戦術も良かったが、残念ながら1点も取れなかった」
2勝目を挙げたアイルランドは勝点11として、プールAの首位に。苦しみながらも“ジャパン・ショック”から立ち上がり、プール戦突破へひとつ前進した。
文:多羅正崇
【ハイライト】アイルランド vs. ロシア ラグビーワールドカップ2019 プールA
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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