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日本代表の勝利から始まった、ラグビーワールドカップは早くも7日目を迎え、9月26日(木)は、神戸市御崎公園球技場で、プールCのイングランド代表(世界ランキング3位)とアメリカ代表(13位)が激突した。
エディ・ジョーンズ前日本代表HC(ヘッドコーチ)が指揮を執る、イングランドは、22日(日)に札幌で行われたトンガ代表との初戦から、中3日での第2戦目という日程のため、10人の先発メンバーを入れ替えた。
ゲームキャプテンをSO(スタンドオフ)ジョージ・フォードが務め、フィジーにルーツを持つ新星WTB(ウィング)ジョー・ゾカナシンガ、セブンズ・リオ五輪英国代表で、15人制代表ではまだ1キャップのWTBルーリー・マコノキーらがワールドカップの初舞台となった。
一方、この試合が今大会初戦となるアメリカは、元神戸製鋼HC南アフリカ出身のギャリー・ゴールドHCが率いてから強化がさらに進んでいる。
キャプテンのFB(フルバック)ブレイン・スカリー、セール・シャークスでプレーする司令塔のSOのAJ・マギンティ、サラセンズのPR(プロップ)ティティ・ラモシテルら、イングランド・プレミアシップでプレーする選手。
また、セブンズ代表も兼ねるWTBマーティン・イオセフォ、NFL経験のあるCTB(センター)ポール・ラサイク、HO(フッカー)ジョー・タウフェテエといった経験値とパワーのある布陣で挑んだ。
過去、イングランドはアメリカに負けたことはないが、中3日という日程で戦うイングランドに、アメリカがどこまで迫れるかが注目された。
神戸でのワールドカップ初戦となるこの試合には、2万7194人の観客が見守る中キックオフされた。
序盤から格上のイングランドが押し気味に試合を進める。アメリカは前半3分に19歳の新鋭PR(プロップ)デヴィッド・アイヌーがいきなり負傷交代を余儀なくされる不運に見舞われる。
5分、イングランドは中央でのラインアウトからキックでエリアを取り、キャッチした相手にプレッシャーをかけてボールを奪い返し、フェーズを重ねる。
最後はSOフォードが相手2人のギャップをついて、回り込んで中央にトライ。SOフォードは自身でゴールも決めて7-0とイングランドが先制する。
イングランドはさらに敵陣でプレッシャーをかけ続けるが、アメリカはキャプテン、FBスカリーのタックルなどのディフェンスで、イングランドになかなか追加点を与えなかった。
しかし、24分、ペナルティを獲得したイングランドは、相手ゴール前5mのラインアウトをFL(フランカー)トム・カリーがキャッチし、ドライビングモールで押し込む。
最後はNO8(ナンバーエイト)のビリー・ヴニポラがトライ。SOフォードのコンバージョンも成功し、14-0とリードを広げる。
アメリカも何度か敵陣まで迫るが、なかなか得点チャンスを作れないでいると、32分、逆に、イングランドにスクラムでペナルティを与えしまう。
イングランドは再びラインアウトからモールで激しく押し込み、最後はHOルーク・カーワン ディッキーのトライ。19-0とし、イングランドが大きくリードして折り返した。
後半に入っても、やはりイングランドの優勢は変わらない。7分、右のスペースにボールを展開し、CTBジョナサン・ジョセフがいっきに突破すると、回り込んでいたWTBゾカナシンガがパスを受けて右中間にトライ。24-0とし、この試合4トライ目でボーナスポイントを獲得。
さらに17分、スクラムでのペナルティを獲得したイングランドは、クイックタップから右にバックスが展開し、WTBマコノキーがトライ。
SOフォードのゴールも決まり7点を追加し、31-0と大きく突き放す。26分にもSOフォードのパスからFLルイス・ルドラムのトライが決まり、38-0とさらに点差を広げる。
29分、アメリカはFLジョン・クイルがノーバインドのショルダータックルで、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の末、今大会初のレッドカードが出て退場となってしまう。
イングランドは35分にも、WTBゾカナシンガのトライで追加点を挙げ45-0とし、このまま完封勝利かと思われた。だが、アメリカはロスタイムに意地を見せる。
ラストプレーでイングランドが攻め続ける中、ボールを奪ったアメリカは攻撃を継続し、最後はCTBブライス・キャンベルがトライ。SOマギンティのゴールも決まり、7点を返すことに成功した。
結局、試合はイングランドが大量7トライで、45-7でノーサイド。プレイヤー・オブ・ザ・マッチはこの日のゲームキャプテンを務め、15点を挙げたSOフォードが獲得した。また、イングランドは勝ち点を10とし、プールCのトップに立った。
初戦で大敗を喫してしまったアメリカのゴールドHCは、「非常に失望している。イングランドのようなチームにミスをすることは許されないのに、40回近くタックルをミスしてしまった。ディフェンスを含めて全てを改善しないといけない」と肩を落とした。
キャプテンのFB(フルバック)ブレイン・スカリーは、「イングランドは強かった。ほとんどの時間ゲームを支配されてしまった。しかし、最後にトライが取れたことは良かった。ここから学んで明日からまた次のゲームに向けてやっていきたい」と前を向いた。
一方、快勝し、「神戸がまた新しいラグビーシティに加わった」と話したイングランドのジョーンズHC。
「気温27度、湿度80%いう気候のなかで、ボールが滑りやすく大変なこともあったと思うが、ジョージ(・フォード)のゲームコントロールが素晴らしく、キャプテンとしてもチームをよく導いていた。2試合で勝ち点10が取れた。この雰囲気の中で試合ができて良かった」とご機嫌だった。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチにも輝いたキャプテンのSOフォードは、「アメリカはフィジカルが強いチームなので注意していた。イングランドのFW(フォワード)は伝統的に強い。スクラムもラインアウトも素晴らしかった」とチームメイトの奮闘をたたえた。
2連勝のイングランドは、10月5日(土)に東京スタジアムでアルゼンチン代表と戦い、3連勝を狙う。一方のアメリカは10月2日(水)に福岡・博多の森競技場でフランス代表と対戦し、初勝利を目指す。
文:斉藤健仁
【ハイライト】イングランドvs.アメリカ ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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