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試合をコントロールするハーフ団(スクラムハーフとスタンドオフ)は、初戦に続いてSH流大とSO田村優。
SH流はアイルランドの印象について、「すごくミスが少なく手ごわいチームだなと。ボール保持率も高いし、守備も集中力が切れずに戦ってくるので手ごわいことに変わりはないけど、こちらも速い展開でいけば、チャンスもあるし、スペースも出てくるので、そこを突いていく」
「キックも多用してくるので、そこの対処をしっかりしてボールをうまく使えれば、チャンスは出てくる」と分析した。
このキックの対処を多くの場面で担うのが、挑戦的な構成となったバックスリー(WTBとFB)だ。
両WTBはロシア戦でハットトリックの松島幸太朗、残る2人は身長188センチのWTBウィリアム・トゥポウ、FB山中で臨む。9月の壮行試合で右ふくらはぎを負傷したWTB福岡堅樹はメンバー外となった。
「(ウイングは)昨年、サンウルブズでレベルズ戦とシャークス戦でプレーしたと思う。ハイボールをキャッチしてサイドでチャンスを狙いたい」(WTBトゥポウ)
「(アイルランドは)守備もすごく良いし、ハイボールキックも結構、蹴ってきていた。試合に出たらキック処理を確実にやっていきたい」(FB山中)対するアイルランドも初戦から先発4人を変更した。
HOローリー・ベスト主将をはじめ強力なフォワード8人の顔ぶれは変わらず、バックスでは、大腿四頭筋を痛めたSOジョニー・セクストンに代わりSOジャック・カーティーが10番を担う。
また脳しんとうの影響により休養のバンディー・アキにかわりCTBクリス・ジャック。主力組であるWTBキース・アールズ、FBロブ・カーニーが、怪我からの先発復帰を果たした。
アイルランドのシュミットHCは日本について「今年は180~200日間というキャンプをしてきたチームで準備万全だ。(勝つためには)当然いいパフォーマンスをしないといけない」
ファースト・チョイスのセクストンに代わり、先発10番を担うSOカーティについては「24日にSOでの先発を伝えた。しっかりと準備してもらうためにも」と予定を前倒しして先発起用を伝えたと語った。
アイルランドは2018年ワールドラグビー年間最優秀選手であるセクストンが不在になったが、影の王様ともいえるSHマレーは健在だ。
日本のバックス最高身長に並ぶ188センチの巨人で、初戦のスコットランド戦では両チーム最多となる14本のハイパントを上げ、いずれもコンテストが起こる絶妙な位置に落とした。
巧みなパスさばきはもちろん、巨躯を活かしてエリア外側の守備にも貢献。スクラムハーフのイメージを覆すようなスター選手だ。
スクラムやラインアウトで劣勢になれば、当然ながら分が悪くなる。アイルランドのスクラムは安定性重視ではなく、PK(ペナルティキック)獲得を目的として押してくるのだという。
「すごくスクラムで押そうとする気持ちが強い。どこでもペナルティーを取ってこようとする。こっちはやることは変わらない。やってきたことを、80分通して最後までやることが大事」(PR具)
日本としてはセットピース(スクラム、ラインアウト)を安定させながら、相手を混乱に陥れたい。スローペースで相手を気持ち良くプレーさせれば、地力の差が現れるだけだろう。
今年6月の地獄の宮崎合宿では、プレーが継続している「ボールインプレー」を世界最高レベルの40分以上に伸ばすため、過酷なスタミナ強化に臨んだ。ボールインプレー時間を増やし、終盤のスタミナ勝負に持ち込めれば、勝機は広がるのではないか。
W杯では何が起こるか分からない。日本代表の勝利を願い、明日16時15分のキックオフを待ちたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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