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ラグビーワールドカップも大会5日目を迎え、9月24日(火)は、日本代表と同じプールAのロシア代表とサモア代表が激突した。なお、この試合が埼玉・熊谷ラグビー場で大会初の試合となった。
開幕戦に日本代表に10-30で敗れたロシアは、中3日の日程で2戦目を迎えたることとなった。だが、リン・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)、日本代表戦からまったくメンバー変更せず、同じ23名メンバーで臨んだ。
この試合がワールドカップ初戦となるサモアは、キャプテンのFL(フランカー)ジャック・ラムがケガのため、FLクリス・ブイがゲームキャプテンを務めた。
日本のトップリーグやスーパーラグビーでもお馴染みのSO(スタンドオフ)トゥシ・ピシ、FB(フルバック)ティム・ナナイ ウィリアムズら、ベテランと、サモアデビューして8試合で8トライの決定力を見せているWTB(ウィング)エド・フィドウらが先発に名を連ねた。
平日の夜ながら2万2563人が集った試合は、サモアボールでキックオフされた。
ロシアは日本代表戦と同じようにキックを使ってエリアを取りにいく戦術で臨んだが、サモアが代表も初戦のため勢いよく攻め込む。
しかし、序盤はロシアのディフェンスの前に、なかなかゴールラインを超えることができない。
試合が動いたのは前半15分、サモアはCTB(センター)レイ・リーローの突破から、FBナナイ ウィリアムズ、WTBアラパティ・レイウアとつないで左隅にトライ。SOピシのゴールは外れたものの、5-0と先制する。
負けじとロシアも18分、 SOユーリ・クシナリョフのPG(ペナルティゴール)で3点を返し、3-5とすると、さらに、25分、SOクシナリョフが再びPG決め、6-5と逆転に成功する。
さらにロシアに大きなチャンスがまわって来た。サモアCTBリーロー、HO(フッカー)モトゥ・マトゥウの2人が29分、30分と立て続けに、危険なタックルでシンビンとなり、10分間の退場となる。
しかし、数的有利に立ったロシアだが、結局、得点を挙げることができず、スコアは6-5のまま、ロシアが1点のリードで前半を折り返すことになった。
後半、ピンチをしのいだサモアのペースとなる。4分、ボールをつないでNO8(ナンバーエイト)アファ・アモサがトライを挙げて、10-6と逆転。
と同時に、ロシアのPR(プロップ)キリル・ゴトフツェフがハイタックルでイエローカード。今度はロシアが1人少ない状況に陥る。
ロシアも7分にSOクシナリョフのDG(ドロップゴール9で,9-10と1点差とするが、試合はここから一気にサモアペースとなる。
8分、WTBエド・フィドウがラインブレイクし、テストマッチ9試合で9つ目となるトライを中央に決めて、ゴールも決まり17-9。
12分にもラインアウトからボールを展開し、WTBフィドウが左タッチライン際に連続トライを挙げて24-9と点差を広げる。
攻撃の手を緩めないサモアは22分にはラインアウトを起点にボールを展開しCTBリーローが左隅に飛び込んだ。
さらに39分、スクラムから右に展開し、WTBレイウアが強さを見せてトライを挙げて、結局、試合は34-9でサモアの勝利でノーサイドを迎えた。
相手ゴール前に何度も攻め込んだロシアだが、結局、ノートライに終わった。
終盤、「ロシアコール」を受けて最後まで諦めることなく戦い、後半30分にマイボールラインアウトからモールで押し込むもTMO(ビデオ判定)の末、トライが認められなかったことが痛かった。
プレーヤー・オブ・ザ・マッチは2トライを挙げた、WTBレイウアが獲得した。
後半、BK(バックス)が力を見せたサモアは 合計6トライで、日本代表とアイルランド代表と同じく、4トライ以上のボーナスポイントを含む、勝ち点5を獲得。
得失点差でプールAの首位に立った。ロシアは善戦するも今回も勝ち点は奪えなかった。
勝利したサモアのスティーブ・ジャクソンHC(ヘッドコーチ)は、「(シンビンで)選手を2人欠き、13人での戦いを強いられたが、その時間帯を無失点に抑えたことを誇らしく思う」。
「タックルのテクニックをこの試合から学ばなければならない。いや、もう少し前から学ばなければならなかったが。その点については改善しなければならない」と勝利に安堵するも、シンビンが出たタックルという課題を口にした。
ゲームキャプテンを務めたFLブイは「タフなゲームだったが、みんなよくやってくれた。ベンチを信頼していたし、途中で入ったメンバーがピッチでインパクトを与えてくれた」。
「日本は(太平洋の)島々の気候と似ているので(熱いのには)慣れていた。日本の素晴らしいファンや人々は本当に素敵だ。勝利で始まりグレートだ」と顔をほころばせた。
一方、敗れたロシアのリン・ジョーンズHCは、「がっかりだ。サモアは後半、フットワークが良く、スピードがあり、いいゲームをした。もっと経験を積んで、力強さへの対応を学ばないといけない」と厳しい表情で語った。
キャプテンのFB(フルバック)バシリー・アルテミエフは、「フィジカル的にも対応でき、速いプレーができることを示そうとしたが、残念ながら前半のアドバンテージを生かせなかった」。
「しかし、素晴らしい経験だった」と悔しさをにじませつつも今後に向けて前を向いた。
サモアは9月30日(月)に、兵庫・神戸市御崎公園競技場で、初戦でアイルランド代表に敗れたスコットランドと対戦する。ロシアは10月3日(木)に、同じく兵庫で世界的強豪のひとつアイルランド代表と対戦する。
【ハイライト】ロシアvs.サモア ラグビーワールドカップ
(c) Rugby World Cup Limited 2019
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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