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ラグビー コラム 2019年9月23日

東北・釜石の夢が現実になる日。「フィジー vs. ウルグアイ」プレビュー。ラグビーW杯日本大会

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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フィジーvs.ウルグアイ

9月25日(水)、夢が現実になる。ついに東北唯一の開催都市、岩手・釜石で、初めてラグビーワールドカップ(W杯)の熱戦が繰り広げられる。

舞台は釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアム。全国12会場で唯一の新設で、2011年3月の東日本大震災で被災した釜石東中、鵜住居小の跡地に建てられた。

東北、釜石に世界のラグビーを届けてくれるのは、世界ランキング10位のフィジーと同ランク19位のウルグアイだ。

震災から2か月後の2011年5月、「完全復興するまで活動を続ける」という宣言のもと、松尾雄治氏ら“北の鉄人”新日鉄釜石(現釜石シーウェイブス)のOBが「スクラム釜石」を結成。W杯誘致へ動き出し、2015年3月、釜石は12開催都市のひとつに選ばれた。

いよいよ迎える9月25日では、一体どんなラグビーが展開されるのか。

フィジーはW杯前にニュージーランド・マオリ代表を破るなど“歴代最強”の呼び声が高い。

スピードとパワーを兼備し、華麗なオフロードパスを次々に繰り出す波状攻撃は“フィジアン・マジック”と形容される。

フィジーは9月21日、札幌でオーストラリア代表とW杯初戦を行っており、21-39で敗れたが、後半20分までは1点リード(21-20)という熱戦を披露。

反則の増加に加え、スクラム、モールといったFWの組織プレーから劣勢になったが、優勝候補のオーストラリアを苦しめたことは間違いない。

フィジー指揮官のジョン・マッキーHC(ヘッドコーチ)は「前半はキックとランを織り交ぜ、ゲームを優位に進められた」と惜敗を振り返った。

この熱戦から中3日で迎えるウルグアイ戦は、FWではキャプテンのFLドミニコ・ワンガニンブロトゥ、7人制ラグビーでリオ五輪金メダル獲得に貢献したNO8レオネ・ナカラワらが先発する。

バックスでは、危険なランナーであるCTBセミ・ラドラドラ。WTBジョシュア・トゥイソバの兄で同じくWTBのフィリポ・ナコシら、世界最高峰のラインブレイカーが登場する。

一方、「ロス・テロス」の愛称を持つウルグアイは大会初戦だ。

アメリカのプロラグビーリーグ「MLR」(メジャーリーグ・ラグビー)参加選手も増えており、実力は年々増しているようだ。アルゼンチンに次ぐ南米NO2として、フィジーにチャレンジする。

キャプテンは代表70キャップに迫るFLフアンマヌエル・ガミナラ。ハーフバック団はSHサンティアゴ・アラタ、優れたプレースキッカーであるSOフェリペ・ベルチェシが登場する。

釜石で開催されるW杯2試合では、特例的に黙とうが行われることが23日に発表された。

東日本大震災で犠牲となった方々へ哀悼の意を表するため、両国国歌斉唱前、スタジアムは静寂に包まれる。

日本ラグビーに栄光を刻んできた釜石が迎える歴史的な一日。未来へ向けた大きな一歩だ。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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