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ついにこの日がやってきた。
ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会の開催決定から10年。
世界ランキング10位の日本代表が、2019年9月20日(金)、開催国としてW杯初戦を迎える。
上位2チームが決勝トーナメントに進出できるプール戦(1次リーグ)は、参加20か国が5チームずつ4つのプールに分かれての総当たり戦となる。
9大会連続9回目のW杯となる日本は、ランキング1位のアイルランド代表などと同じプールAから、悲願のプール戦突破を目指している。
9月20日、東京スタジアムで対峙する初戦の相手は、ランキング20位のロシア代表だ。
ヨーロッパ予選は3位だったが、強豪ルーマニアやスペインが代表資格の規定違反により失格。2011年以来2度目のW杯出場を掴んだ。
日本はロシアと昨年11月に対戦しており、戦前予想に反して5点差(32-27)の辛勝。大柄な強力フォワード(FW)、司令塔10番のユーリ・クシナリョフやラミーリ・ガイシンの巧みなキックに苦しんだ。
しかし日本は昨年から一回りも二回りも大きくなっただろう。
2016年秋に誕生したジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)率いる「ジェイミー・ジャパン」は、今年は2月に代表候補合宿をスタート。
代表候補による特別チーム「ウルフパック」、南半球リーグ・スーパーラグビーに参加する「サンウルブズ」の2チームで強化し、約60人から42人に絞られた候補選手は、6月の過酷な宮崎合宿でスタミナなどを強化した。
31人の精鋭が参加した7月開幕の環太平洋6か国によるパシフィック・ネーションズカップ(PNC)では、8年ぶりの優勝。着実に成果を上げてきた。
上昇ムードで迎えたW杯直前の壮行試合、9月6日の南アフリカ代表戦は7-41で敗れたものの、2大会連続で日本代表キャプテンを務めるリーチマイケルは試合後、冷静にこう語っていた。
「このチームの修正力は高いので、十分時間はあると思います。W杯前に南アフリカとやって本当に良かったです」
世界が注目し、日本各地でパブリックビューイングも予定されている開幕戦。自身初のW杯となる日本代表のジョセフHCが意気込みを語った。
「ベスト8に入ることが我々の目標であり、過去ジャパンが達成していないことを達成したい。前回のW杯でも非常にいい1次リーグ戦だったが、その中でもベスト8には進出できなかったので、常に8強に入ることが目標だ」
「たどり着くためには、まずロシア戦でいい試合をして勝つこと。今週はロシア戦にフォーカスしている」
昨年のロシア戦で先発10番を任されていた松田力也は、ロシア戦へ向けて「スピードにフォーカスして、試合で出せるようにしている」と明かした。大柄な強力FWをスピードで振り回し、試合を有利に進めたい。
もちろんロシアの指揮官、リン・ジョーンズHCは、日本の強みを理解している。
「われわれはかなりプレッシャーを受けるだろう。ゲームは肉弾戦、かつ速い展開になると予想している」
「日本はスピードを生かそうとするので、われわれにとっては集中力が鍵だ。ゲーム中はともかく集中力を切らさないことだ。アウェーのプレッシャーに負けず、試合後のことなど気にしないでいく」
原稿執筆時点で出場メンバーは未定だが、怪我明けのHO(フッカー)堀江翔太、FL/NO8姫野和樹の出場も予想される。リーチ主将を筆頭にセットピース(スクラムとラインアウト)を安定させ、堅固な土台を築きたい。
司令塔とも呼ばれるSO(スタンドオフ)は田村優の先発が予想される。的確な判断によるパス、キックで得点機を呼び込む。
注目はWTB(ウイング)とFB(フルバック)のメンバーだろう。エースのWTB福岡堅樹は南アフリカ戦で右ふくらはぎを負傷し、開幕戦は回避見込み。
南アフリカ戦ではキック処理に課題を残した。ロシアはクシナリョフ、ガイシンというキックが得意な10番を擁しており、日本のバックスリーは警戒が必要だろう。
ジャパンが誇る精緻なスクラムは、南アフリカ戦で強みを発揮。ただロシアは相手1番のPR(プロップ)ヴァレリー・モロゾフが強烈。
3番のPRウラジミール・ポドレゾフは昨年の対戦で、劣勢時に故意にスクラムを崩していた。反則を見るナイジェル・オーウェンス レフリーとのコミュニケーションも重要になるだろう。
ロシアを格下と見る向きもあるが、参加20か国が死力を尽くす4年に1度の世界最強決定戦で、楽な試合はひとつもないはずだ。
リーチ主将は開幕戦へ向けて気を引き締めている。
「(初戦の相手)ロシアを非常にリスペクトしている。フィジカルにすごく自信があるし、強いバックスも多くセットプレーも強い」
「フィジカルで負けてはいけないが、それよりメンタルの部分。相手はこの試合に100%をかけてベストの状態でやってくる。ずっと前から言っているが、(プール戦)4試合の中で、一番きつい試合になる」
運命のキックオフは19時45分だ。多くの期待を背に受けて、勇敢な桜の戦士たちが走り出す。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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