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写真:突進するファカイ。相手を次々となぎ倒し進み続けMOMを受賞
9月14日、鶴見緑地球技場。京都産業大学は今シーズン勢いに乗る近畿大学に勝利し、前半戦を2勝1敗で終えた。
京産大は今年が40年以上指揮を執った大西監督のラストイヤー。初の大学日本一を目標に掲げるも、6月に絶対的キャプテンだった伊藤鐘平(札幌山の手・4)が足の負傷で離脱。
いきなり計算が崩れ、チームは結果を残せない日々を送る。春季トーナメント決勝で天理大学に惨敗し、夏合宿では中央大学に敗れた。不安を抱えたまま迎えた9月1日の開幕戦では、格下の関西学院大学に敗北してしまう。
しかし、赤紺軍団は苦しみながらも見事にチームを立て直した。4回生の宮崎達也(伏見工)がゲームキャプテンになり、「京産のプライドを取り戻す」という合言葉のもと、練習の意識から見直した。
9月7日の大阪体育大学戦では練習の成果を発揮し、FW(フォワード)が前に出て、BK(バックス)が取りきる京産ラグビーが炸裂。61-10の大勝となった。
「天理に負けてから開幕戦も負けて、今季は苦しい時間が非常に長かった。でも、開幕戦を落としたことで、いい勉強をさせてもらったと思います」。
「今、思えばあそこで1点差とかで勝っていても、どこかでは必ず負けていた。あの負けがあったからこそ日本一になれたといえるように、これからも頑張ります」(大西監督)。
第3戦の相手は近畿大。近畿大は同志社大学には惜敗したものの、昨季2位の立命館大学に圧勝。U20日本代表に4人が選出されるなど、タレントも揃っている。
大西監督も夏合宿中からシーズン前半戦の大きなヤマ場として近畿大戦をあげ、チームとしても近畿大を意識してきた。
周囲からは苦戦を予想されるも、京産大には勝算があった。近畿大の試合を分析し、立命館大、同志社大から40点以上とった得点力を生み出したのはショートパスだと断定。
9月7日の大体大戦から1週間、ボールを持った相手と、その選手からのショートパスの受け手となる2番手の選手から目をそらさないディフェンスの練習を徹底。対近畿大にみっちり時間を使った。
オフェンスでは原点を見つめ直すため、自分たちの強みであるモールを磨いた。試合前日は学生だけで最終調整。「京産特有のモールにおける理屈」(大西監督)を確認した。
写真:トライを奪い喜ぶ選手と観客。スタンドと一体になって掴んだ勝利
迎えた近畿大戦。第1試合は関学大が立命館大を下す波乱の展開。夜6時開始のナイターには、多くの京産ファンがつめかけた。
前半開始早々、京産大がペースを握ることで、強豪を倒して自信をつけてきた近畿大の勢いを止めた。
前半5分、ゴール前でボールを持ったWTB(ウイング)堀田礼恩(京都成章・2)が右隅にトライ。難しい角度から城川斗武(常翔・3)が決めて、7点を先制する。
インサイドCTB(センター)として攻撃の起点となっていた青木悠紀(筑紫・3)がシンビンとなるも、自分たちの強みであるスクラムで優位にたち、ボールポゼッションでも相手を圧倒。
近畿大に攻める時間を与えない。すると前半34分、ゴール前ラインアウトモールからファカイ・フェインガ(日本航空石川・4)が右隅にトライ。城川がゴールを決め、前半は14-0で折り返す。
後半、相手にペナルティゴールを決められるも、39分に再びモールからファカイがトライ。ディフェンスでは全員が一貫して前に出るタックルで相手にやりたいことをやらせなかった。
その後、後半ロスタイムに1トライを返されるも、21-10の快勝となった。大西監督も「チームの精神状態は今シーズン一番良かった」と目を細める。
そんな監督にスタンドからは「大西先生ありがとう」の声が止まらなかった。チーム全体でヤマ場を乗り切った達成感で、選手達の顔も明るかった。
ワールドカップ中断期間明けの次戦は、11月4日。摂南大学戦だ。3ヶ月のリハビリを経てキャプテン伊藤鐘平が復帰する。
悲願の大学日本一に向けて、先ずは足元から。というチームの意識は変わらない。後半戦も一戦一戦全力でぶつかった先に、関西制覇、大学日本一が見えてくる。
文/写真:岩田悠吾(京産大アスレチック)
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