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写真:常に優位に立ったセットプレー
8月も終わり、秋の始まり。いつもならばこの時期の菅平からはとっくに下山しているはずだ。
関東大学ラグビー対抗戦の初戦が長野・菅平で行われた。帝京大学の初戦の相手は昨年度と同じ成蹊大学だ。昨年度の対抗戦では、113-7と帝京大が快勝。
関東とは違い菅平というエリアもあり、気温は20度前後と非常に涼しい環境での一戦。
会場には1959人のラグビーファンが観戦に訪れ、グラウンドそばの斜面にいすを置いて観戦する人もいれば、芝生の上にシートを敷いてリラックスしながら試合を観戦する人もいた。
成蹊大のキックオフで試合が始まると前半4分、スクラムから右にパスをつなぎWTB(ウイング)木村朋也(3年=伏見工)がトライをあげた。
FB(フルバック)奥村翔(3年=伏見工)のゴールキックはポストの脇をそれノーゴールをなったものの、5-0と幸先よく試合の主導権を握った。
続く8分、成蹊大の落球のミスにうまく反応したCTB(センター)ニコラス・マクカラン(3年=ハミルトンボーイズ)がボールを拾いあげ木村にパスをする。ボールを受け取った木村がそのままインゴールに持ち込み追加点をあげた。
ここまでは完全に帝京が試合を支配したといって良いだろう。しかし、11分、帝京大は自陣でノットリリースザボール(タックルされた選手がボールを離さない反則)を取られる。
成蹊大のタッチキックで帝京大陣深くまで入りこまれ、ゴール手前で成蹊大ボールのラインアウト。成蹊大はリフトをせずに一番手前の選手に投げ入れ成蹊大はすぐにラックを形成。
不意をつかれた帝京大ディフェンスは急いでゴール前にディフェンスラインを形成したが、成蹊大が近場をFW(フォワード)で攻め、一瞬の隙間を突かれトライを奪われた。
しかし、一昨年度まで大学王者として君臨していた帝京大。気持ちを入れ替えその後の試合に臨んだ。
15分、木村が得意のランでゲインラインを突破し、前進。木村からFL(フランカー)リッチモンド・トンガタマ(2年=オタフフカレッジ)に渡り、最後はニコラスがトライをあげた。
写真:この試合で活躍した李
ここから帝京大はキッカーを交代。CTB李承信(1年=大阪朝鮮)が落ち着いてボールを蹴り、さらに2点を追加した。前半は45-7と成蹊大を圧倒し、ハーフタイムへと入った。
後半は帝京大のキックオフで始まると、すぐにプレッシャーをかける。ボールを奪い前進を試みるも、成蹊大の気迫のタックルなどでファンダメンタルの部分でのミスが連発。
しかし、その後のスクラムは激しいプレッシャーをかけ再獲得を繰り返した。その甲斐あって7分、敵陣ゴール前での帝京大ボールスクラムではじわじわと脚をかき、8人一体となって組まれたスクラムはインゴールまで進み、スクラムトライを奪った。
さらに後半、大量点を追加し、78-7でノーサイド。対抗戦初戦を白星で飾った。
試合後岩出雅之監督は「夏合宿の課題がまだまだ残っているような感じもしたが、いい面も出てきた」。
「さらに1年生も7名起用した。対抗戦という緊張感のある試合を経験してもらって、これからの成長を期待する。上級生、特に4年生には奮起してほしいと思っている」と語った。
本郷泰司主将(4年=京都成章)は「厳しいところで身体をあてる。また、今日の試合ではセットプレーで常に優位に立てたことが、試合を有利に進めるところでは良かったかなと思う」と語った。
試合を通して選手には冷静さを感じられた。例えばボールを持った時にタックラーが1人しかいなかった場面。
あえてタックルを受けて近くの選手にパスを出すことや、相手ディフェンスにギャップがあると判断した瞬間まっすぐ行くのではなくパスフェイントを1ついれて相手を引っ掛けて完全にスペースを作るなどの余裕をみせた。
次戦注目の選手は李だ。この試合で李はマンオブザマッチに選ばれた。ボールを持つと自ら前に出ようとし、フェイクなどを織り交ぜながらスペースを探す。ハンドリングスキルが非常に高い選手だ。
次戦の相手は日本体育大学。昨年は90-7で快勝。よほどのことがない限り帝京大が勝つだろう。
いよいよ開幕した対抗戦。帝京大は再び王者に返り咲くべく対抗戦を全勝する勢いで突っ走る。
文:太田和樹/写真:亀ヶ谷沙希(帝京スポーツ新聞部)
帝京スポーツ新聞部
1996年創刊。帝京大学体育局所属の公認クラブにして唯一の学生新聞。ラグビー部をはじめ、柔道部、空手部、野球部など帝京大体育局の情報を年4回の発行で熱く伝える。現在部員13名で活動。 Twitter @teikyo_sports
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