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写真:常にチームを引っ張る主将・杉山
「昨年までは早稲田大学、慶應義塾大学、明治大学のどこかに勝てばいいというぬるい雰囲気を感じていた」。
「今年は、昨年日本一の明治大に勝つイメージをすることで、いい緊張感の中、トレーニングを積めている」と主将のSH(スクラムハーフ)杉山優平(体専4年・大阪桐蔭)は話す。
8月31日から始まる関東大学対抗戦。筑波大学の大事な初戦の相手は明治大だ。明治大とは今季、関東大学春季大会で一度戦っている。19-68で大敗したが、杉山は「実際に戦ったことで、日本一の強さを肌で感じることができた」。
「明治の強さを基準にして成長していきたい」と語っていた。この経験を活かし、リベンジなるか。筑波大の挑戦が始まる。
まずはここまでの筑波大の取り組みを振り返っていきたい。筑波が本来持つ「泥臭さ」を取り戻すことから始まった杉山組。加えて、「接点」と「動き勝つ」ことにこだわってここまで戦ってきた。
春季大会では、冬場から念入りに行ってきたタックルや泥臭いプレーで徐々に筑波大のスタイルを磨いてきた。初戦の法政大学戦でも接点で圧倒するなど成果が見られた。
6月、天理大学との定期戦でも、要所でやってきたことは出せた。22-36と敗れはしたが、昨年大学選手権準優勝の強豪相手に健闘した。
だが、春季大会では明治大に続き、日本大学にも破れた。重い相手に対し、スクラムや接点で押される展開が続いたことが敗因だった。
それでも杉山は「ミスした時や1つ1つのプレーに対するフィードバックができている」とここまでの取り組みを評価。スクラムでも、OBに指導を仰いだり、スクラムの強い大東文化大学へ出稽古に行くなど、修正を図った。
「(昨年と比べて)1人ひとりの意識が変わった。チーム発足時から求めてきたことが成果として現れている」(杉山)と手応えを口にした。
次に選手たちに目を向けたい。今年の筑波は4年生中心のチームだ。フロントローはPR(プロップ)北島純(城南)、HO(フッカー)吉田隼人(長崎北陽台)、そして副主将でスクラムの要、PR鎌田慎平(東福岡)が名を連ねる。
LO(ロック)にはどちらも長身、187センチの後藤海夏人(茗渓学園)と192センチの石松大空(明善)がいる。1年時からスタメンを張る土谷深浩(福岡)は今季からその献身性の高さからFL(フランカー)に。
空いたNO8(ナンバーエイト)には、BK(バックス)からコンバートした田上徳馬(熊本)がポジションを確立しつつある。
BKにも主将の杉山を始め、CTB(センター)野中亮志(東海大仰星)、WTB(ウイング)松岡祐斗(明和)、FB(フルバック)島田悠平(國學院久我山)など4年生が揃う。
写真:頼りになる存在副主将・石川
さらに、副主将・石川千暁(洛北)の存在も大きい。春季大会の明治大戦では前半劣勢の中、ハーフタイムでリーダーシップを発揮。
「強豪相手に最後まで気持ちを切らさず、勝負できたことは今までになかった。練習でも積極的に声出しをしたり、下のブロックの選手に声をかける、頼りになる存在」(杉山)と主将の信頼も厚い。
4年生中心ではあるが、メンバー争いは熾烈だ。春はケガやユニバーシアード大会、教育実習などで主力の多くが抜けたことで、控え選手の奮闘が目立った。
今季からHOに入った安里大吾(同3年・名護)や1年生のPR木原優作(東福岡)、FL深山竣介(同2年・長崎南山)らがスタメン争いを繰り広げている。
BKはSO(スタンドオフ)山田雅也(同3年・桐蔭学園)やWTB山本悠翔(同3年・刀根山)の成長で、ポジションが流動的になった。8月の練習試合・日本大戦では、SO松永貫汰(同2年・大産大付属)がFB(フルバック)に起用された。
今季から監督に就任した嶋崎達也監督(体育系・助教)は「選手の適性を踏まえながら、新しいパターンを試すことができている」と話す。スタメンの多くは昨年と大きく変わらない一方、戦い方は昨年と少し異なる。
「相手によって戦術を変えていきたい。筑波のスタイルを貫きつつも、相手の強さを出させないような戦い方、選手起用を模索したい」(嶋崎監督)。
昨年の対抗戦、筑波大は帝京大、明治大、早稲田大、慶應義塾大から勝利を挙げることができず、3年連続の5位で終えた。この壁を越えられなければ、全国大学選手権への切符を手にすることはできない。
今年のスローガン通り、「CHANGE」した姿を見せ、対抗戦のダークホースとなれるかどうか。初戦の明治大戦に注目したい。
文/写真:明石尚之(筑波大学新聞)
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