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ラグビー ニュース 2019年8月19日

日本と同じプールAの強豪スコットランド、テストマッチでフランスに完敗。ラグビーワールドカップ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ラグビーワールドカップ日本大会の開幕まで、あと1ヶ月あまり。世界各地では、出場国が本大会に備えてテストマッチを行なっている。

8月17日(土)は、日本代表とプール最終戦を争うスコットランド代表(世界ランキング7位)が、アウェイでフランス代表(8位)と激突した。

スコットランド代表はワールドカップ前に4試合のテストマッチを予定しており、この試合がその初戦となった。

キャプテンのSH(スクラムハーフ)グレイグ・レイドロー、LO(ロック)ジョニー・グレイ、SO(スタンドオフ)フィン・ラッセルなどは出場せず。

HO(フッカー)スチュアート・マキナリーがゲームキャプテンを努めて、70キャップを超えるFL(フランカー)ジョン・バークレーとFB(フルバック)スチュアート・ホッグがバイスキャプテンを務めた。

FW(フォワード)は来年からスーパーラグビーのブルズでプレーする南アフリカ出身のジョシュ・ストラウス以外の先発は、すべてエジンバラ所属の選手で構成。

また控えにはノンキャップのLOスコット・カミングス、WTBローリー・ハッチソンが入り、ベンチから代表デビューをうかがった。

試合前、スコットランド代表のグレガー・タウンゼントHC(ヘッドコーチ)は「この2ヶ月間、キャンプでハードワークを重ねて強固なスコッドができたと思っています。

その成果をこのテストマッチ4試合で見ることができるのを楽しみにしています。システムやコンビネーションを確認することももちろんですが、ワールドカップに出場する31人にふさわしい選手が、誰なのかを見極める機会でもあります」と話した。

フランス代表は6月18日にすでにワールドカップスコッド31名を発表しているがケガ人が多い。

主将のHOギエム・ギラドはメンバー外で、カミーユ・シャが2番を背負い、ゲームキャプテンのPR(プロップ)ジェファーソン・ポワロ、ベテランのPRラバ・スリマニで第1列を形成する。

FL(フランカー)にはウェンススラ・ロレ、ヤクバ・カマラがケガのため、初キャップのフランソワ・クロ、久しぶりの代表復帰となるシャルル・オリヴォンのバックアップ組が先発でアピールすることになった。

ハーフ団は若きSHアントワーヌ・デュポンと経験値の高いSO(スタンドオフ)カミーユ・ロペスがコンビを組み、クレルモンで8トライを挙げたWTB(ウィング)アリヴェルティ・ラカが初キャップとなり21歳のダミアン・プノーと両翼を担った。

CTB(センター)ガエル・フィクー 、ウェスレー・フォファーナ、FBマクシム・メダールのベテランで固めたバランスのとれたBK(バックス)ラインとなった。

フランス代表のジャック・ブリュネルHCは「スコットランド代表というチームは我々に似ているところがある。前半に30点差をつけたとしても後半に急速に追い上げてくるようなチームだ」。

「本大会のつもりで臨むがフォーカスは個々の選手のパフォーマンスだが、その結果が勝利につながるだろう」とコメントしていた。

25度という暑い気候の中、フランス南部のニース・アリアンツアレナで2万5000人の観客が見守る中でキックオフされた。スコットランド代表は1999年以来のフランスの地での勝利を目指したが、開始早々、ピンチを迎える。

フランス代表は2分、スコットランド代表のラインアウトのミスから敵陣でボールを奪い、ラックからHOシャが持ち出す。

そこを起点に再びつないでCTBフォファーナから内側に切れ込んだWTBラカにボールが渡って、デビュー戦ののラカが初トライ。SOロペスのゴールも決まってホームのフランスが7-0と先制する。

その後も規律が乱れ、リズムのつかめないスコットランド代表に対して、フランス代表の猛攻が続く。

そして迎えた23分、HOシャが突破し敵陣に攻め込むと、SOロペスのグラバーキックにスコットランド代表のディフェンスは反応できす。

CTBフィクーが拾い、SHデュポン、CTBプノーとつないで、最後はFBメダールが左隅にトライ。5点を追加しフランス代表が12-0とリードを広げる。

スコットランド代表も26分、SOアダム・ヘイスティングスが40mのPG(ペナルティゴール)を決め、3点と返し12-3とする。しかし、そのヘイスティングスが、インテンショナルノックオンで32分にシンビンで10分間の退場。

数的有利となったフランス代表はマイボールラインアウトをキープしモールで押し込み最後はNO8(ナンバーエイト)グレゴリー・アルドリットがトライ。17-3とし前半をリードして折り返す。

後半も流れはホームのフランス代表に傾いたままだった。14分、自陣からボールをつないでFBメダールがこの日2トライ目のトライを取り、22-3と突き放す。

さらに21分、フランス代表はカウンターからチャンスを作ると、WTBプノーが力強いランで中央を突破し、一気に敵陣深くに入り、最後はつないでSHデュポンがトライ。SOロペスのゴールも決まって、28-3とほぼ試合を決めてしまった。

その後はお互いにトライを奪えず、そのまま5トライを挙げたフランス代表が28-3で快勝した。

フランス代表はセットプレーも安定し、オフロードパスを多用する積極的なアタック、前に出るディフェンスが機能したと言えよう。スコットランド代表は反則やミスも多く、相手ゴール前での遂行力もやや欠けた試合となった。

フランス代表のブリュネルHCは「初戦としてはまずまずの出来で、ある程度満足している。トレーニングが始まった当初はフィジカルに問題があったが、ハードワークして強化された」。

そして、「前後半ともに入りで少しミスがあったが、ディフェンスがうまく機能したので、結果的に相手にスコアさせなかったのは良かった。もちろん、5トライを取ったアタックにも満足している」。

「BKのトライ、モールからのFWのトライと内容も良かった。ただ課題も多く、来週も同じように行くとは限らないので、試合をレビューし改善していきたい」と一定の評価を与えたものの、勝利に気を引き締めていた。

いい形なく敗れたスコットランド代表のタウンゼントHCは「次のホームでのフランス代表戦はメンバーを大幅に入れ替えることになるだろう。修正しないといけない点が多い」。

「相手が誰であれ、ベストのパフォーマンスをしなければならず、選手もコーチもこの試合のためにしっかりと準備をしてきたつもりだった。しかし、それは間違いだった。フランス代表はとても良かった」と不満を露わにした。

フランス代表とスコットランド代表は、来週24日(土)、今度はスコットランドのホーム、エジンバラのマリーフィールドで対戦する。

その後フランス代表は30日にホーム、スタッド・ドゥ・フランスにイタリア代表を迎えて、9月7日に日本に向けて出発。21日に東京・東京スタジアムで行われるアルゼンチン代表とのワールドカップ初戦に備える。

一方のスコットランド代表は今週のフランス代表戦の後、8月31日、9月6日にジョージア代表とホーム&アウェイで2戦行った後日本入りし、9月22日に神奈川・横浜国際総合競技場でヨーロッパの難敵アイルランド代表と戦う。

文:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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