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8月10日(土)、大阪・東大阪市花園ラグビー場で「トップリーグカップ2019」のプレーオフ決勝戦、神戸製鋼コベルコスティーラーズvs.クボタスピアーズの一戦が行われた。
昨年度のトップリーグ王者の神戸製鋼は、準決勝で昨年度トップリーグ準優勝のサントリーを32-26で下し、ファイナル進出を決めた。一方のクボタは、準決勝で先制されるも逆転。31−24で東芝を振り切って決勝の舞台へ駒を進めた。
王者の神戸製鋼に、初タイトルを目指すクボタが挑む一戦は、やはり神戸製鋼が実力は一枚上ではという見方もあった。
ただ、昨年度のカップ戦ではクボタが24-22で勝利している。さらにクボタは今大会を全勝で勝ち上がってきており、両チームのハーフ団が好調だけに接戦も予想された。
しかし、7,890人のファンが集った西の聖地で行われた真夏の夜の決戦は、蓋を開けてみれば序盤から赤き王者が圧倒的な強さを見せた。
神戸製鋼は前半10分、敵陣22m近くでの相手ボールラインアウトをLO(ロック)タウムア・ナエアタがスチールし、ラックからWTB(ウイング)アンダーソン・フレイザーまでパスを繋ぎ、アンダーソンがキック。
そのキックしたボールをターンオーバーし、マイボールにすると左にBK(バックス)陣が展開。
最後はトライゲッターのWTB山下楽平がトライ。SO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカーのゴールは外れたが、5-0と神戸製鋼が先制する。
さらに16分、神戸製鋼はラインアウトからモールを形成しながら相手ゴールに迫り、この試合はSOではなく、本職のSH(スクラムハーフ)に入ったアンドリュー・エリス、CTBナイジェル・アーウォンとつなぐ。
そして、最後は日本代表としてワールドカップ出場を目指すPR山下裕史が中央にグラウンディングしトライ。SOパーカーのゴールも決まり、12-0とリードを広げる。
攻撃の手を緩めない神戸製鋼は、19分にもラックからSOパーカーのキックでインゴールに転がしたボールをWTB山下が押さえた。
さらにWTB山下は32分にもステップで相手をかわしてトライを挙げ、前半でハットトリックを達成した。神戸製鋼は24-0と大量リードで前半を折り返した。
後半、クボタも反撃に出たかったが、神戸製鋼のペースは変わらなかった。後半7分、ターンオーバーしたボールをパスでつなぎ、WTBアンダーソンがDFの裏にチップキックし、自らでキャッチし40mを走り切ってトライ。
16分に敵陣5mラインアウトからモールを形成し、そのまま押し込んでHO(フッカー)有田隆平がトライ。
さらに24分には敵陣ゴール前スクラムから途中出場のSH日和佐が持出し、走り込んできたCTBアーウォンのトライで、43−0と勝負を決定づけた。
クボタは36分、ゴール前中央のスクラムから右へボールを動かし、FB近藤英人がコーナーに飛び込み一矢報いたが万事休すだった。
結局、試合は43-7の大差で、昨年度のトップリーグ王者の神戸製鋼が快勝し、トップリーグカップを制して、令和初のタイトルを獲得した。
神戸製鋼フィフティーンは、昨年12月のトップリーグ優勝時に続いて「We are steelers」の替え歌を歌って歓喜を爆発させた。
リーグ戦に続いてカップ戦でも優勝した神戸製鋼のデーブ・ディロンHC(ヘッドコーチ)は「神戸製鋼には成長する思考がある」と語り、「昨季、高炉に火がともった。それをさらに強大にする」とさらなる飛躍を誓った。
一方、敗れたクボタのフラン・ルディケHCは、「神戸製鋼のショートパスはわかっていても止められなかった」と悔しさをにじませた。
今年はワールドカップがあるため、トップリーグの開幕は来年1月末からとなる。カップ戦も制した神戸製鋼時代の到来か。それとも他のチームが王者の連覇にストップをかけるか。
しばしのオフの後、再び各チームはリーグ戦に向けての準備を進めていく。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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