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PNC優勝、代表選考もかかるアメリカ戦へ 楽しみなメンバー編成となった日本 南半球4カ国対抗戦 最終節もRWCへ要注目!
村上晃一ラグビーコラム by 村上 晃一パシフィックネーションズカップ(PNC)に参戦する日本代表は、フィジー、トンガに連勝する好スタートを切った。そして、8月10日、フィジーの地でアメリカ代表イーグルスとの優勝をかけた一戦に臨む。ここまでの2戦で活躍したメンバーから、LOトンプソン ルーク、NO8アマナキ・レレイ・マフィ、CTB中村亮土らが抜けているが、SH田中史朗、PR山本幸輝が怪我から復帰。NO8ツイ ヘンドリック、FB山中亮平もPNC初登場となり、楽しみなメンバー編成となった。
フィジー戦、トンガ戦でFBを務めたウィリアム・トゥポウはCTB(13番)に入り、13番だったラファエレ ティモシーは12番(インサイドCTB)として、田村優とともにゲームをコントロールする。LOコンビは、仕事量の多いジェームス・ムーアと、パワフルなヘル ウヴェ。このコンビが機能すれば、トンプソン ルーク、ヴィンピー・ファンデルヴァルトとともにLO陣の層も厚くなる。NO8ツイは、マフィ同様、ボールを前に運ぶ突破役としての期待がかかる。両FLは、リーチ マイケルキャプテン、フィジー戦では負傷退場したピーター・アブスカフニ。早い復帰を喜ぶファンは多いだろう。
対するアメリカは、PNCに入ってカナダ、サモアに連勝し、世界ランキングが13位に上がった。国代表戦の経験は少ない選手が多いが、キャプテンのWTBブレイン・スカリー、SOのAJ・マギンティらは国際経験も豊富で、CTBポール・ラシカは元アメリカンフットボールのプロ選手で突破力がある。2018年に発足したプロラグビーリーグ「メジャーリーグラグビー」は2シーズンを終え、ラグビーは現在アメリカで急成長するチームスポーツ。セブンズ(7人制ラグビー)では2020年の東京オリンピックでメダルを狙える位置におり、選手の能力は高い。けっして侮れない相手だ。
日本代表としては、ラインアウトからのモール攻撃などアメリカの得意の形をしっかりと食い止め、田中と田村優のHB団を軸にゲームを支配し、素早いテンポでボールを動かし続けたい。それぞれの選手にとって、ラグビーワールドカップ(RWC)日本大会の日本代表登録メンバー(31名)入りに向けての最終選考試合でもある。力を出し切る戦いを見せてほしい。
RWCの優勝争いを占う上で注目の選手権といえば、南半球4強が激突する「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」だ。今年はRWCのために、例年のホーム&アウェイでの総当たり戦ではなく、ショートバージョン。それぞれが一度ずつ顔を合わせる。ここまで2節を終え、1勝1引き分けの南アフリカ代表スプリングボクスが首位に立ち、同じく1勝1分けのニュージーランド代表オールブラックスが勝ち点1の差で追いかけ、1勝1敗のオーストラリア代表ワラビーズ、2連敗のアルゼンチン代表プーマスと続く。
最終節は、ワラビーズ対オールブラックス(8月10日)、プーマス対スプリングボクス(8月11日)というカードだ。ワラビーズは、ヨーロッパから戻ったジェームズ・オコナーが13番をつけて先発する。瞬時の加速でタックラーを置き去りにするオコナーと、タックルされても倒れず前に出るサム・ケレヴィとのCTBコンビがどう機能するか。この試合は、両国の定期戦「ブレディースローカップ」でもあり、ワラビーズは2002年以来のカップ奪還に燃えている。
オールブラックスは、前節に続いて、SOリッチー・モウンガ、FBボーデン・バレットという布陣だ。どちらが正SOになるかに注目が集まっていたが、キックの良いモウンガ、ランの才能豊かなバレット、それぞれの良さを引き出す編成となる。2人のプレーメイカーを同時出場させるスタイルは、RWC三連覇に向けて試運転の意味もあるだろう。また、この試合のオールブラックスは「637」という番号が刻まれた特別なジャージでプレーする。これは、8月3日に亡くなったブライアン・ロホア氏(享年78)への弔意を示すもの。ロホア氏は元オールブラックスのNO8で、同国で最も尊敬されるラグビーマンの一人。18テストマッチでキャプテンを務め15勝。1987年の第1回ラグビーワールドカップでは監督としてオールブラックスを優勝に導いた。637はロホア氏のオールブラックスナンバーである。
もう一試合は、アルゼンチンのサルタで開催される。プーマスは連敗中だが内容は互角に戦っており、スプリングボクス相手にもアグレッシブにボールを動かすだろう。前節、オールブラックスと16-16で引き分けたスプリングボクスは、NO8デュアン・フェルミューレンをキャプテンに、クワッガ・スミス、ピーターステフ・デュトイという機動力とパワーを兼ね備えたFW第三列を組んできた。負けなしでの優勝なるか。RWC日本大会に向けて両チームともに弾みをつけたい試合だ。
文:村上晃一
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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