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プール戦最注目の一戦となった金曜日のナイターは、予想通りの熱い激闘となった。
7月19日(金)、トップリーグカップの最終節となる第5節が行われ、東京・秩父宮ラグビー場では、プールAの全勝同士、サントリーサンゴリアス(昨年度トップリーグ2位)とパナソニック ワイルドナイツ(昨年度同6位)が相まみえた。
6882人のファンが集った試合は、まず「負けられないファイナルゲーム」と、この試合にかけてきたサントリーが主導権を握る。
前半4分、相手ボールをラインアウトのボールをターンオーバーすると自陣から積極的にアタックし、最後は左サイドに張っていた好調のFL(フランカー)ジョーダン・スマイラーが抜けて左中間にトライ。
SO(スタンドオフ)マット・ギタウのゴールも決まって7-0と先制する。さらに10分、SOギタウがPG(ペナルティゴール)を決めて、10-0とリードを広げる。
写真:キックで2トライを演出したSO山沢
パナソニックも負けていない。20分、SH(スクラムハーフ)内田啓介がペナルティから速攻を仕掛けて、SO山沢拓也が裏にキック、自身でそのボールに追いつき、そのままトライ。WTB(ウィング)竹山晃暉のゴールは外れたが5-10と追い上げる。
26分にはこの試合、スクラムで優勢だったサントリーが、敵陣中央22mラインのスクラムから左に展開。ボールを動かし、最後は左サイドから内に、切れ込んだWTB塚本健太のトライ。SOギタウがゴールも決めて17-5とした。
一方、パナソニックも一瞬の隙を見逃さなかった。キックカウンターからSO山沢が左奥へとキックし、そのボールをWTB竹山が追いついてグラウンディング。SO山沢がゴールも決めて17-12で前半を終えた。
写真:パナソニックFL谷の力強いトライ
後半、先に得点を挙げたのは5点差を追うパナソニックだった。4分、ボールを継続し、最後ゲームキャプテンのFL谷昌樹が左中間にトライ。SO山沢がゴールを決めて、ついに19-17と逆転に成功する。
ただ、サントリーはボールを継続し、相手の反則したところを、10分、18分とSOギタウがPGを決めて23-19と再びリードする。
最後の20分は、攻めるパナソニック、守るサントリーという構図になる。残り10分、相手陣22m中央付近で、ペナルティを得たパナソニックはスクラムを選択。
写真:サントリーは勝負どころのスクラムを制した
しかし、勝負どころのスクラムでサントリーは反則を誘い、得点を許さなかった。
途中出場のPR(プロップ)須藤元樹は「競った試合はセットプレーが重要になる。(スクラムは)僕の仕事なので、セットプレーの重要性が見せられて良かった!」と胸を張った。
サントリーは試合終了間際、パナソニックのBK(バックス)の選手も加わったモールも、しっかりと止めきり、最後のアタックも粘りのディフェンスでしのぎ切って、そのまま23-19でノーサイドを迎えた。
ゲームキャプテンのPR垣永真之介か「BKも入ってきて13人くらいいたと思うのですが、モールディフェンスに関しては、押されたくない、トライ取られたくない気持ちが根本にあってのスキルです。選手たちにプライド、結束が見えた」と仲間を称えた。
プールAを無傷の5連勝で終えたサントリーが総勝ち点24とし準決勝に進出し、パナソニックは勝ち点1を得て総勝ち点20で、2位でトップリーグカップを終えた。
写真:MOMに選出されたWTB塚本のトライ
この試合のMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は前半、豪快なトライを挙げたサントリーのWTB塚本が選ばれた。
「先週、トライを取れなかったので、今日の試合では絶対、トライを取るという気持ちでプレーしました。僕じゃなくてFW(フォワード)が、MOMかと思っていました」(塚本)。
惜しくも敗れたパナソニックのロビー・ディーンズ監督は「非常に残念な結果になってしまいました。試合は勝てる要素十分で、勝つべき試合だったと思います」。
「サントリーすばらしかった。我々が思ったようにセットプレーでいかなかったことが(敗因に)あります。(後半、TMOが多く)非常にフラストレーションの多い要素の試合でした」と肩を落とした。
ゲームキャプテンのFL谷は「始まる前からハードになることはわかっていた。自分たちも、そのメンタルで用意したが、最後の最後で、2年前の(トップリーグの)決勝もこういう形で取り切れず、今回も取り切れなかった」。
「僕らのまだ成長できていないところかなと思います。今後、自分たちで高められるようにアップデートしていきたい」と先を見据えた。
写真:準決勝に進出したのはサントリー
プールA首位を決めたサントリーの田原耕太郎コーチングコーディネーターは「負けられない試合で、内容より結果がすべてでした。勝てたことが本当に良かった」。
「昨年度のチームだと負けていたかなというところが、キャプテン中心に選手たちが修正して、いろんなものを自分たちで改善した」と選手の成長に手応えを感じていた。
ゲームキャプテンのPR垣永は「チームとして、プール戦の最大の壁を乗り切ることできた。しっかり自信になった。決勝トーナメントという目標に進めたので、ここから2週間、準備して決勝に進めるように頑張りたい」と意気込んだ。
サントリーが激闘を制しプールA首位を決め、8月4日(日)、大阪・ヤンマーフィールド長居でプールD首位、昨年度のトップリーグ王者・神戸製鋼と対戦する。サントリーは昨年度のトップリーグファイナルのリベンジに挑むことになった。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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