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前日までの大雨が嘘のような快晴に包まれ、令和元年の王者を決める天気には持ってこいだ。
さらに会場は帝京大学のホームグラウンドである百草グラウンド。対抗戦、そしてチームの目指す「大学選手権優勝」という目標のためには負けられるはずがない。春季大会ラストゲームの早稲田大学戦は61-24で快勝。そして2年ぶりの優勝を果たした。
早稲田大のキックオフで試合が始まった。先制は早稲田大。帝京大のディフェンスのギャップをうまくつかれたところからだったが、その程度では帝京大は崩れない。その結果をトライで示した。
まずは前半11分、SO(スタンドオフ)北村将大(3年=御所実)が早稲田大ディフェンスの裏のスペースにゴロパンを蹴ると見せかけ真横に転がすと、すかさずWTB(ウイング)木村朋也(3年=伏見工)が反応。同点に追いついた。
続く19分、スクラムのコラプシングで得たペナルティからキックで大きく前進。そこから左にFW(フォワード)がボールを動かし、PR(プロップ)北隼人(4年=筑紫)が手薄だったラックの正面を突き、トライをあげ、逆転に成功した。
37分、今度はスクラムを猛プッシュし、プレッシャーをかけた。その後、早稲田大の落球したボールを拾い、右に展開。CTB(センター)小村健太(2年=ハミルトンボーイズ)が空いているスペースにキックでボールを転がす。
うまくバウンドを読んだ木村がキャッチ。木村は早稲田大のディフェンスに捕まるが、フォローに走った小村がボールを受け取り、トライ。前半を26-5で折り返した。
ハーフタイムには帝京大チアリーディング部バッファローズの華麗な演技も行われ、会場を沸かせた。
後半も帝京大の勢いは止まらない。16分、起点はまたもスクラムからだ。早稲田大のラインアウトの反則から得たスクラムを猛プッシュ。
鋭角に走りこんできたCTB本郷泰司(4年=京都成章)がゴールラインのすぐ手前まで持ち込み、北が素早くインゴールに持ち込んだ。
写真:春を通して活躍した李承信
15分、WTB李承信(1年=大阪朝鮮)がキックをキャッチし、FB奥村翔(3年=伏見工)にボールが渡ると相手を引きつけ、スペースをうまく作り木村へとパス。木村が約60mを走り切りトライをあげた。
36分には一時、ゴール前5mまで下げられていたが、オフロードパスを貰った木村が約90mを走り切りトライ。
最後は李承が早稲田大ボールをインターセプトし、トライをあげ、ノーサイド。61-24で勝利。他会場の結果を踏まえ、2年ぶり、7度目の優勝が決まった。
この試合でのキーポイントはスクラムだ。帝京大があげた得点のうち、ほとんどがスクラム後のプレーだった。また、11本組んだスクラムのうち、4本が早稲田大のペナルティ(うち3本はコラプシング)だった。
PR細木康太郎(2年=桐蔭学園)は「3番として、自分が一番強いと印象付けられたと思う」とニヤリ。スクラムについては「自分がスクラムを安定させよう、自分から押していこうと思っていた」。
「相手がどう組んでこようと、レフリーの声を聞いて強いポジションを取ること、自分たちのスクラムを真っ直ぐ押すことを意識した。その結果が良いスクラムに繋がったと思う」と振り返った。
この試合、初スタメン出場の小村は「フィジカル面をもっと鍛えたい」と目標を見つけた。「これまでFBでプレーをしていた時はボールを受け取ることがメインだったがボールを渡す役目もある。いろんなポジションを経験する事でわかることも増えた」。
この試合で優勝が決まったわけだが、多くの選手は「あまり実感がない」と語っていた。春シーズンでは東海大学、明治大学に敗れたこと。そして何より選手たちは「大学選手権優勝」しか見えていないからだ。
この目標を達成するために一番大事なことは、なるべく「ケガを減らすこと」だ。春シーズンではケガ人が多かったこともあり、試したい選手を試せなかったこともあった。
今年はラグビーワールドカップの影響で、対抗戦は前期、後期と別れることがすでに発表されている。空いた期間には練習試合なども組まれるが、この期間にケガ人が増えると、春に悔しい思いをした明治大戦に間に合わなくなる恐れもある。この点は要注意である。
春は1年で王座に返り咲くことができた。対抗戦は連覇を継続中。となると残っているのは何か。「大学選手権優勝」だ。今年のチームのスローガン「挑越」を体現する場面は近い。
文:太田和樹/写真:牟田春風、亀ヶ谷沙希(帝京スポーツ新聞部)
帝京スポーツ新聞部
1996年創刊。帝京大学体育局所属の公認クラブにして唯一の学生新聞。ラグビー部をはじめ、柔道部、空手部、野球部など帝京大体育局の情報を年4回の発行で熱く伝える。現在部員13名で活動。 Twitter @teikyo_sports
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