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ラグビー コラム 2019年6月10日

敵地ケープタウンでキバ剥いた。狼軍団サンウルブズがストーマーズと熱戦。スーパーラグビー2019

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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第17節 ストーマーズvs.ヒトコム サンウルブズ

狼軍団の闘志は観る者に伝わったはずだ。

今シーズンの総合最下位が決定していた。南アフリカでのアウェーゲームだった。それでも、サンウルブズは何度も会場を沸かせ、ノーサイドの瞬間まで戦い続けた。

「スーパーラグビー(SR)2019」は第17節。

2勝12敗の日本チーム・サンウルブズは、6月8日(土)、南アフリカのニューランズ・スタジアム(ケープタウン)で、6勝1分7敗のストーマーズ(南アフリカ)と対戦した。

レギュラーシーズンが残り2節となり、各カンファレンスのプレーオフ進出争いは激化。

しかしサンウルブズは前節ブランビーズ戦に敗れたことで、総合最下位(15位)が決定。

2020年限りでのリーグ除外も公表されており、南アフリカ、アルゼンチンでの残り2試合は、モチベーションの維持が困難と思われた。

そんな狼軍団をゲーム主将として率いるのは、前節に続いて精確無比なキックで成果を出しているSOヘイデン・パーカー。また出場23人には、日本代表の宮崎合宿メンバーも名を連ねた。

6月3日(月)に日本代表の宮崎合宿に参加する42人(フォワード26人、バックス16人)が発表されたが、その中から、PR三上正貴、HO北出卓也、CTBラファエレ ティモシーがリザーブに入った。

一方で選外となって注目された山田章仁もリザーブ入りを果たした。先発では松橋周平が7番を背負い、6番に入った長谷川崚太は記念すべきSRデビュー。

さらにPR浅原拓真、LO大戸裕矢、FL西川征克、SH内田啓介もリザーブに入り、日本代表入りへ向けてアピールに備えた。

対戦するストーマーズは南アフリカ・カンファレンス最下位(勝点30)だが、プレーオフ進出の可能性が残されている状況。

プレーオフ進出のためには絶対に落とせない一戦。FLシヤ・コリシ主将などの主力を欠いた若い布陣ながら、必勝態勢で狼軍団を迎えた。

先制点はサンウルブズだった。

前半11分、ここまでプレースキック成功率93%のSOパーカーがPG(ペナルティゴール)を決め、3点を先制。

しかし5分後、ストーマーズは相手反則から敵陣ゴール前へ侵攻し、ラインアウトモールから抜け出したHOボンギ・ンボナンビが逆転トライ(ゴール)。

サンウルブズは前節ブランビーズ戦でも後半に3トライを許した「反則→ゴール前ラインアウトモール」の展開で、逆転を許してしまう。3-7

ストーマーズは前半17分にも球際の好守からボールを強奪し、最後はWTBクレイグ・バリーがトライ。 3-14

次第に劣勢になるサンウルブズだが、この日は懸命な姿勢を貫いた。

FL松橋がジャッカル、また好タックルで落球を誘えば、W杯までの日本代表資格を満たせないことが報じられたNO8ベン・ガンターは、得意のタックルで相手を翻弄。ボールキャリーでも再三突進した。

前半36分にはストーマーズがスクラムでPKを犯し、SOパーカーのPG成功で3点追加。6-14で前半を折り返した。

前半はトライがなかったサンウルブズだが、後半は2トライを奪取。ゲーム主将の試合後コメントは、充実感を帯びていた。

「チームとしてはステップアップができた日でした」

「素晴らしいタックル、素晴らしいトライもいくつか挙げることができました。そして特にディフェンス面でも非常に素晴らしいパフォーマンスでした」(SOパーカー・ゲーム主将)

後半8分に落球からのターンオーバーで自陣へ下がり、相手NO8ヤコ・クッツェーにラック正面を破られてトライを許したが(6-21)、狼軍団は後半22分だった。

相手のラインアウトモールを防いで逆襲したのち、敵陣でアタックを仕掛けると、途中出場の山田が突破。

今季初出場とは思えぬ試合勘でWTBセミシ・マシレワにオフロードパスを通し、チーム初トライを演出。ゴールも成功して13-21と迫った。

サンウルブズの逆襲を受け、前回のラインアウトモールでスコアできなかったストーマーズは後半25分、得点機の敵陣PKで、ラインアウトを選ばずに手堅くPGを選択。3点を加えて13-24とした。

それでもサンウルブズは規律意識に欠ける選手がいたこともあり、後半33分、反則からふたたび自陣ゴール前のピンチ。ここで押しきられてNO8クッツェーがグラウンディング成功。13-31

ここで嫌なムードを断ち切ったのは山田。

キックオフボールを巧みなランコースから見事に捕球。サンウルブズは敵陣で高速アタックを仕掛けた。

途中出場の内田がハイテンポな配球を見せれば、いずれも途中出場の北出、大戸、三上、ラファエレが次々とボールキャリー。

持てばゲインを繰り返していたWTBゲラード・ファンデンヒーファーは、ここでもゲインメーターを稼いでみせた。

そしてフィニッシュはアタック好調のWTBマシレワ。右隅に2トライ目をスコアして(ゴール不成功)、インゴールでお馴染みの「スネークポーズ」を披露した。

サンウルブズは後半ロスタイム、自陣ゴール前のピンチからも逆襲を披露。

最後はノックオンにより18-31でノーサイドを迎えたが、一つひとつのプレーに気迫がみなぎる好ゲームだったろう。

スコット・ハンセン ヘッドコーチ代行は、試合後のコメントで手応えを語った。

「我々は今日、ボールを保持し続けて、攻撃の勢いを作ることができました」

「結果は残念な形でしたが、我々としては次の試合に集中することが最も大事だと思っています。今日の試合をしっかりレビューし、今季最終戦であるジャガーズ戦を迎えたいと思います」

プレーオフのないサンウルブズにとって、6月15日(土)、アルゼンチンで行われる第18節ジャガーズ戦(アルゼンチン)が、今シーズンの最終戦となる。

すでに南アフリカ・カンファレンスで初優勝を決めたジャガーズは、2年連続のプレーオフ進出。

ジャガーズは2016年、共にSR参入を果たした“同期”だ。敵地で意地を見せ、待望の勝利で2019年シーズンを締めくくりたい。

文:多羅 正崇

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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