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関東大学春季大会Aグループは残り2週。6月9日(日)は神奈川・慶應義塾大学グラウンドで、昨季対抗戦3位の慶大が、昨季リーグ戦2位の大東文化大学を迎え撃つ。ともに3敗で勝てば大会初勝利。
大東大の新指揮官は、1988年度の主将として大学日本一を経験した日下唯志氏。'13年度から6季率いた青柳勝彦氏からバトンを受けた。
昨季のモスグリーン軍団は、大学選手権準々決勝で天理大学に敗戦(17-30)。大学随一の強力スクラムを中心としたセットプレーが強力だった。
古畑翔(パナソニック)、ファカタヴァ兄弟(リコー)ら大駒が抜けた今季は、フィットネスメニューを強化し、運動量を武器とするべく進化中だ。
ただ青柳監督時代に磨いたオフロードパスなど、他の強みも多い。突如として加速するアタックは脅威だ。スクラムは'16年度から元パナソニックの木川隼吾コーチが強化を担当している。
今季の大東大で注目したいのはハーフバック団(スクラムハーフとスタンドオフ)だ。
FWのスタメンは過去3戦で8人中7人が固定されているが、SHとSOは流動的。
SHは昨季レギュラーの南昂伸(3年)が有力候補だが、NZの強豪校ロトルア・ボーイズ高出身の松田武蔵(1年)も楽しみな存在。ウイングでも先発できる俊足は魅力だ。
SOは開幕から2試合は奈良・御所実出身の青木拓巳(1年)が先発した。ルーキーらしくディフェンスはこれからの印象も、キックなどのスキルでは非凡さを見せた。
ピッチ上の発信力を含めて存在感抜群のFB鈴木匠(3年)は、スタンドオフ経験もある。
はたして慶大戦にはどんなメンバーで臨むのか。NO8佐々木剛主将のもと、大会初勝利を目指す。
慶大の新たなヘッドコーチ(HC)は、創部100周年('99年度)で大学日本一を経験している栗原徹氏だ。
元日本代表の名キッカーは現役引退後、'14年度から5年間はNTTコムでスキルコーチを務めていた。
日本代表キャップを保持するNTTコムのSO小倉順平が「僕は徹さん(栗原HC)で変わった。一番お世話になったコーチ」と語るなど、選手からの信頼は絶大。慶大でも大きく成長する選手がいるだろう。
昨季の慶大は、大学選手権準々決勝で早稲田大学に惜敗(19-20)した。
対抗戦では優勝した明治大学に勝利(28-24)するなど、金沢篤前HC(今季よりパナソニックBKコーチ)は、指導4年目で大学王者に届くチームを作り上げた。
しかし準々決勝では勝利目前のスクラムで反則を犯し、早大が後半45分に逆転トライ。SH江嵜真悟とSO古田京主将のハーフ団、LO辻雄康(サントリー)、FB丹治辰碩(パナソニック)らの強力な4年生は、ショッキングな敗戦により学生ラストシーズンを終えた。
創部120周年の節目となる今季は、新主将にCTB栗原由太(4年)を据え、『UNITY』をテーマに一致団結での捲土重来を目指す。
慶大で注目したいポイントは、とはいえ注目すべき才能を抱えていることだ。
大山祥平(3年)は186センチの大型プロップ。LO相部開哉(3年)と共にジュニア・ジャパン、U20も経験している有望株だ。
バックローの山本凱(2年)は逸材中の逸材。攻守で爆発的な推進力を披露する。京都成章の主将だったCTB三木亮弥(3年)は優れたタックラーであり、最前線で体を張り続ける。
昨季よりグラウンドを広く使い、ディフェンス・システムも含めて進化中という慶大。
両軍ともに主力が多数卒業し、新指揮官を迎えて、一体感をより重視、新スタイル確立の途上にある――。共通点の多い両軍はどんな戦いを見せてくれるのだろう。
新体制同士の激突となった「慶應義塾大学×大東文化大学」は、J SPORTSオンデマンドでの限定配信となる。6月9日(日)午後0:55からLIVE配信がスタートする。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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