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残り2戦、チーム一丸で戦い続ける
スーパーラグビーのレギュラーシーズンもいよいよ残り3試合。6月1日(土)の第16節、オーストラリアカンファレンス5位のヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは今シーズンのホーム最終戦を迎え、同カンファレンス首位の強豪ブランビーズを迎えた。
両者は第13節にブランビーズのホームで対戦し、ブランビーズが33-0でサンウルブズに快勝していた。手強い相手ではあるが、サンウルブズは1万6741人の観客の前で、何としてもホームで白星を挙げたいところだった。
2勝11敗、勝ち点12のサンウルブズはケガ人や6月9日から日本代表合宿が始まることもあり、前節のレベルズ戦から先発メンバー7人を変更した。
先発でいい動きをみせたFL徳永
SO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカーがゲームキャプテンを務めて、控えだったPR(プロップ)浅原拓真、FL(フランカー)徳永祥尭が先発。負傷で長く戦列から離れていたCTB(センター)ラファエレ ティモシーがリザーブに入った。
今週召集されたLO(ロック)大戸裕矢のほか、SH(スクラムハーフ)内田啓介、SO/FB(フルバック)山沢拓也ら、日本代表候補入りをアピールしたい選手たちの多くがベンチに名を連ねた。
ケガから復帰したCTBラファエレ
一方、カンファレンス首位をキープし、プレーオフ進出に向けて前進したいブランビーズは、前節のブルズ戦から先発を1名の変更にとどめた。PR(プロップ)スコット・シオに代わってベテランのジェームズ・スリッパーが入った。
キャプテンのSOクリスチャン・リアリーファノ、今季10トライでトライランキング1位タイのHO(フッカー)フォラウ・ファインガア、PRアラン・アラアラトア、LOロリー・アーノルド、CTBテヴィタ・クリンドラニ、WTB(ウィング)ヘンリー・スパイトといったワラビーズ経験者を揃えた。
トライを挙げて喜びを爆発させるWTBサウマキ
試合は、サンウルブズは序盤から仕掛ける。前半キックオフ直後の1分、FBセミシ・マシレワが自らのハイパントキックをチェイス。
こぼれたボールをWTBホセア・サウマキホセア・サウマキがキャッチするとそのままインゴールまで走り切り、先制のトライ。SOパーカーのゴールも決まり、サンウルブズが7-0とする。
しかし、その後ブランビーズは9分にNO8(ナンバーエイト)ピーター・サム、21分にはCTBイラエ・シモネ、さらに29分FBトム・バンクスと立て続けにトライを決められ、7-21とされてしまう。
全トライにからんだWTBマシレワ
サンウルブズも反撃する。35分、マイボールスクラムからアタックを仕掛け、SOパーカーからパスを受けたWTBマシレワが相手の隙をついて、ディフェンスを3人抜き去り、今シーズン8つ目となるトライ。12-21として前半を折り返した。
後半も先に点を取って、追い上げムードを作りたいサンウルブズだったが、9分にブランビーズはラインアウトモールから、後半から出場したHOコーナル・マクルナニーにトライを許し、12-28と逆にリードを広げられてしまう。
後半、モールから3トライを許した
だが、意地を見せたいサンウルブズは11分、相手のキックカウンターからWTBマシレワが自陣から突破し、最後はSHジェイミー・ブースがトライ。19-28と再び点差を詰める。
しかし、19分と32分、ペナルティからブランビーズに再びラインアウトモールのチャンスを与えてしまい、HOマキナニーにハットトリックとなる2トライを献上してしまう。
結局、試合は19-42でノーサイドを迎え、サンウルブズはスーパーラグビーに参加して4年目で初めてホームゲームで白星を挙げることができなかった。
ヒトコム サンウルブズ vs. ブランビーズ
3トライ差以上のボーナスポイントも獲得し、勝ち点5を重ねて総勝ち点39としてカンファレンス首位をキープしたブランビーズ。ダン・マッケラーHC(ヘッドコーチ)は「前半はサンウルブズのプレッシャーを受け、ディシプリンの部分で時間を費やした」。
「ただ、BK(バックス)が少ないチャンスを生かしてくれた。後半は方向性が明確になり、チャンスの場面ではモールで行き、バランスのいい戦い方ができた」と満足げに試合を振り返った。
ブランビーズのマッケラーHC(右)とリアリファノキャプテン
SOリアリーファノキャプテンは「前半はボールを動かすことに注力しそれをBKが実行できた」。
「後半はよりゲームをコントロールできている感覚があった。FW(フォワード)が(自分たちの強みの)モールで(トライを獲るよう)変えて行うことができた」と話した。
また、ワールドカップについて質問されると「今はブランビーズに100%集中している。チームが目指していることに楽しめているので、残りの2試合にフォーカスしたい」。
「ワールドカップがこの日本で開催されることはもちろん知っているし、今日のこの雰囲気を感じると、日本のファンは本当に素晴らしい。ワールドカップが開催されると、もっと盛り上がると思うし、日本に来た選手たちはエンジョイできると思う」と答えた。
ハンセンHC(右)とゲームキャプテンSOパーカー
一方、敗れたサンウルブズのスコット・ハンセンHC代行は、「スクラムの部分は良かった部分も、良くなかった部分もあった。レフリーから見てサンウルブズの方に吹かれなかった部分もあった」。
「選手はすぐに立ち上がって、アタックのマインドセットとしてはボールキープして戦い続けることができた部分もあった」と悔しそうな表情を見せた。
ゲームキャプテンを務めたSOパーカーは、「正直、スコッドの多さによる難しさはある。しかし、みんなと一緒にホテルで過ごし、すぐに団結するという意味では利点もある」。
「シーズン最初はいいパフォーマンスができていたし、選手たちを誇りに思う。14試合やって2勝しかしてない中でも満員のファンが来てくれるので、すごくクールな環境だ」と語った。
ブランビーズはオーストラリアに戻り、次節は6月8日(土)にアウェイでワラターズと対戦する。
ホームで勝利は届けられなかったが、試合後にファンと集合写真を撮影するなどして交流したサンウルブズは6月9日(日)、敵地・ケープタウンで、ストーマーズ(南アフリカ)と対戦する。
プレーオフ進出がなくなったサンウルブズは残り2戦。南アフリカ、アルゼンチンという遠征を連勝で締めくくって、昨シーズンの3勝を上回ることができるか。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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