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◆ブランビーズ(オーストラリア)×サンウルブズ(日本)
◆スーパーラグビー2019第13節/5月12日(日)/GIOスタジアム(オーストラリア・キャンベラ)
◆敵地で今季3勝目に挑んだ狼軍団だが、序盤に主力2選手が負傷交代、スクラムでも劣勢となりリズムに乗れず――。
第13節を迎えたスーパーラグビー(SR)2019で、オーストラリアに遠征中のサンウルブズ(2勝9敗)が、敵地でブランビーズ(5勝6敗)と激突した。
前座試合で日本代表候補による特別チーム「ウルフパック」が、ブランビーズBと対戦。66-17で勝利し、今季強化試合を4勝1敗とした。
ウルフパックに続きたいサンウルブズは、先発のFW第1列にPR三上正貴、HO堀江翔太、PR山下裕史。
LOコンビはマーク・アボットとグラント・ハッティング。ゲーム主将はFLダン・プライアーが務めた。
ハーフバック団は、NECでもコンビを組んだSH茂野海人(トヨタ自動車)、SO田村優(キヤノン)。田村は10番で今季初先発。
バックスリーは、好調の2人、WTBゲラード・ファンデンヒーファー、FB山中亮平。そして1週間の出場停止処分となったセミシ・マシレワに代わり、スキルフルなユーティリティBK、ジェイソン・エメリーが11番に入った。
また追加招集された元U20アイルランド代表のPRコナン・オドネルがリザーブ入り。この日の後半26分に途中出場し、SRデビューを果たした。
日本代表は6月の宮崎合宿前に「35~40人程度」に絞り込まれる。
サンウルブズに参加する代表候補選手にとっては、セレクションマッチの意味も帯びるが、この日特にディフェンスで精彩を放ち、主導権を握ったのはブランビーズだった。
ただ開始早々に輝いたのはサンウルブズ。
前半2分、ラインアウトからSO田村がショートパント。CTBジョシュ・ティムが確保すると、鮮やかにWTBファンデンヒーファーまで右展開してグラウンディング――
しかしここはビデオ判定の結果、足が出ていたとしてオーストラリアのデーモン・マーフィー主審はノートライの判定。
すると前半6分、2018年度の神戸製鋼優勝にも貢献したLOハッティングが負傷し、支えられながら徒歩でピッチ外へ。
この日のサンウルブズは、味方のキックに対する反応、ターンオーバー後の反応で遅れをとる場面が見られ、前半13分にはキックカウンターからWTBヘンリー・スパイトがフィニッシュ。
前半16分にはターンオーバーから一気に走られ、SHジョー・パウエルが仕留めた。
ここで中心選手の一人であるFB山中が、首を固定したままピッチ外へ。
急きょリザーブからヘイデン・パーカーがスタンドオフの位置に入り、田村はセンターへ。田村はセンター経験も豊富とはいえ、応急的な布陣で、残り60分以上を戦うことになった。
14点のビハインドとなった狼軍団だが、武器にしたいスクラムでも反則が続発。体重は889kg(サンウルブズ)と879kg(ブランビーズ)でほぼ互角だが、スクラムを崩すコラプシングを再三とられ、反撃のきっかけを掴むことができない。
ただブランビーズが得意とするラインアウトモールについては、「モールのディフェンスはよかった」(ゲーム主将のFLプライアー)。しかし前半27分にエリア隅で取りきられ、サンウルブズは前半を0-19で折り返す。
スクラムでのコラプシング、ノックオンなどのミスにより、後半も序盤から得点機を活かせないサンウルブズ。
FLプライアー、後半開始から途中出場の浅原拓真による懸命のタックルで、トライを防ぐ場面も見られたが、後半12分。
ブランビーズはスクラムからのサインプレーでWTBスペイトが鮮やかに突破。FBトム・バンクスがフィニッシュし、リードを26点に。
意地を見せたいサンウルブズも後半15分頃、細かいパスをつなげながら15次攻撃を繰り出すが、ブランビーズの堅守は崩れない。
第13節 ブランビーズ vs. ヒトコム サンウルブズ スーパーラグビー2019 ハイライト
狼軍団は後半20分、ゴールほぼ正面でペナルティを獲得。しかしショットは狙わずに敵陣ゴール前ラインアウトへ。しかしここでもブランビーズの徹底抗戦にあい、スコアすることができなかった。
直後の後半25分、クイックスローインからのアタックでもミスが起き、ターンオーバーからパスを繋がれ、元クルセイダーズのNO8ピーター・サムが独走トライ。0-33
終了間際の後半39分、敵陣ゴール前ラインアウトでノットストレート。得点機でのミスは最後まで続き、無得点のままノーサイドとなった。
6勝目を挙げたブランビーズは、カンファレンス首位に浮上。第15節でサンウルブズと対戦するレベルズが、勝点1差で2位につける。
4月26日のハイランダーズ戦以来、今季2度目の無得点で10敗目を喫したサンウルブズ。
指揮官のトニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)は「前半最初のファンデンヒーファーのトライが認められず、その後ターンオーバーから相手のソフトトライを取られてしまい、厳しい試合運びとなりました」
ブランビーズ得意のモールを止めたことは「評価できる内容」としつつ、得点機での個人プレーが増えて精度を欠いたと反省。「ゴールラインに近づけば近づくほど、個々のプレーや個々でのミスが目立つ結果となりました」とコメントした。
ゲーム主将を務めたFLプライアーは、ブランビーズの守備について「リロードも素早く、とくに 22メートル内でのディフェンスは素晴らしかった」と振り返った。
サンウルブズは次週のBYE(休養週)を挟んで、5月25日(土)に、東京・秩父宮で行われるレベルズ戦へ向かう。
リーグ戦は残り4試合。対戦するレベルズ、ブランビーズ、ストーマーズ、ジャガーズは、いずれもカンファレンス首位争いに絡んでいる。
サンウルブズは一戦必勝を期する相手を上回ることができるか。次こそファンの声援に応えたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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