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ラグビー コラム 2019年4月27日

サンウルブズ、スーパーラグビーで初の完封負け

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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ホームで相手の勢いを止めることができず完敗に終わった。

4月26日(金)スーパーラグビー第11節、先週に引き続きヒトコミュニケーションズ・サンウルブズは、ホームの東京・秩父宮ラグビー場で、ニュージーランドの強豪で、2015年の優勝チームであるハイランダーズを迎えた。

小雨が降っていたものの、先週に続いての金曜ナイターでの開催に1万3423人のファンが集った。

サンウルブズは前節ハリケーンズに前半リードしながらも後半逆転されて23-29と敗戦。2勝7敗、総勝ち点11でオーストラリアカンファレンス5位。

一方のハイランダーズも、先週はホームで同じニュージーランドのブルーズに24-12で勝利したが、引き分けを挟んだ5連敗が響き、これまで3勝1分5敗とニュージーランドカンファレンス4位でプレーオフ進出に向けて苦戦していた。

また、サンウルブズにとってハイランダーズは、浅からぬ縁のあるチームだった。

トニー・ブラウンヘッドコーチ(HC)が現役時代にプレーし、2017年には指揮官を務め、先発のハーフ団SH(スクラムハーフ)田中史朗、SO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカー、リザーブに入っていたCTB(センター)ジェイソン・エメリーらも過去に在籍。

また、現日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)は、2015年にハイランダーズをスーパーラグビー初優勝に導いた指揮官だった。

サンウルブズはゲームキャプテンを務める予定だった、やはり元ハイランダーズのFL(フランカー)ダン・プライヤーがケガの影響で急遽欠場。

ゲームキャプテンLOトンプソン

代わって、今年38歳でスーパーラグビーデビューを果たしたLO(ロック)トンプソン ルークがゲームキャプテンを務めた。また、日本代表候補合宿から合流したHO(フッカー)堀江翔太、SO田村優がベンチから出場機会をうかがった。

対するハイランダーズは、かつてサンウルブズSH田中のチームメイトでライバル、オールブラックス82キャップのSHアーロン・スミスが先発。

また、共同キャプテンのFLルーク・ホワイトロック、HO(フッカー)リアム・コルトマンらいった、オールブラックス経験のある強力なメンバーが名を連ねた。

リーグ戦も残り7試合。ともに上位進出のために何としても勝ちたいゲームだったが、特にサンウルブズにとってはファンに今シーズン、ホーム初勝利をプレゼントすべく臨んだ。

アタックは相手の激しいタックルに寸断された

ただ、試合開始から気迫で上回っていたのはハイランダーズだった。サンウルブズはアタックでは相手のタックルに攻撃が寸断され、ディフェンス、接点でも後手に回ってしまった。

サンウルブズはスクラムでのコラプシングをきっかけに自陣に攻め込まれると、前半5分、昨シーズン神戸製鋼でも活躍したLOトム・フランクリンにトライされ、ハイランダーズに先制される。SOジョシュ・イオアネのゴールも決まり0-7。

さらに相手の攻撃は止まらず、その後も12分にはボールを奪われ、PR(プロップ)ティレル・ロマックス、14分にはオフサイドの反則から展開されWTB(ウィング)テヴィタ・リー、20分にはSOイオアネにと3本立て続けにトライを決められてしまい、0-26と大量リードを許してしまう。

前半のうちにトライを返し、なんとか立て直しを図りたいサンウルブズだったが、今日の試合は自分たちのミスも多く、なかなかチャンスを作ることができない。

そんな中、32分、ハイランダーズのラインアウトモールからHOコルトマンにトライを与えて、結局0-33で前半を折り返す。

状況を打開すべくサンウルブズは後半はHO堀江、SH茂野海人らベンチメンバーを積極的に投入するものの、なかなか相手ゴールラインは遠かった。

ハイランダーズに隙を突かれ、12分、WTBリーに2トライ目、20分にCTBロブ・トンプソン、24分にはWTBシオ・トムキンソンとトライを奪われ、0-52と大きくリードされる。

絶好調WTBマシレワもトライならず

なんとかトライを取って反撃したいサンウルブズは29分、後半15分過ぎから入ったCTB田村のパスを受けたWTBセミシ・マシレワがトライを決めたかに見えたものの、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)の結果、田村のパスがスローフォワードという判定となりトライは認められなかった。

それでも、サンウルブズは試合の最後まで諦めずにラストプレーでも、自陣でパスを受けたFB(フルバック)山中亮平が突破しチャンスを作ったが、相手の堅固なディフェンスの前にトライまで持っていくことができず、結局0-52のままノーサイド。

スーパーラグビー参入4年目にしてサンウルブズとしては、初の完封負けを喫してしまった。

スクラムの劣勢も響いた

試合後、サンウルブズのブラウンHCは、「しっかり準備しないと、こてんぱんにやられてしまうということ。メンタル面で十分な準備ができていなかった。最初の40分はすごくがっかりした」。

「ハイランダーズのフィジカル、ブレイクダウン、セットピースがすごくよかったので、ハーフタイムは『しっかり自分たちのゲームをしよう』、そして『ボールをしっかりスペースに運ぼう』と話した」と悔しそうな表情を見せた。

今季初出場、後半から登場したHO堀江

ただ後半、ベンチから入ってきた堀江と田村というベテラン2人に関しては「非常にいいプレーをしてくれた。フレッシュな選手が合流するのはいいこと」。

「次に誰が合流するかはまだわからないが、しっかりといい準備をしていい試合ができるよう、ベストの23人を来週も選びたい」と前を向いた。

ゲームキャプテンを務めたベテランLOトンプソンは、「サンウルブズはナショナルチームとはまったく違うチームなので、1週1週、集中してやらないといけない」。

「学んだのは、ニュージーランドのスーパーラグビーのチームに対しては、ベストの状態で臨まないと52点差という結果になる。スロースターターなので、やはりこのような結果になってしまった」と悔しさをにじませた。

ただ、1週間後に試合があるため「修正点はありすぎるが、ここからまたステップアップしていかなければならない」と先を見据えた。

ランで気を吐いていたFB山中

山中は「前半はコンタクト、フィジカルといったラグビーの大事なところができていなかった。個人のスキルミスも多かった」と悔しそうに語った」。

また、古巣との対戦となったSH田中は「ハイランダーズは強かったです。自分たちの未熟さを知らされた。小さいミス、ハンドリングミスで向こうにペースを与えてしまった」と肩を落とした。

古巣相手に燃えたSH田中も、相手が一枚上手

勝利したハイランダーズのアーロン・メイジャーHCは、「今週、1週間かけてサンウルブズの話をチームでしてきた。サンウルブズはかなりやってくるだろうと、危険なチームだという認識のもと準備してきた。分析の面も1週間かけて十分に行ってきた」と満足げに試合を振り返った。

また「この1週間、日本のみなさんの温かいおもてなしを受けて、快適に1週間を過ごすことができた。観客も素晴らしく、今日の観客もスーパーラグビーのファンの一部だと思っている」と日本のファンを称えた。

共同キャプテンのFLルーク・ホワイトロックも「自分たちはボールを積極的に動かすことを掲げていた。それが今日のチームの全体の動きにつながった」。

「サンウルブズはもともとアタックが本当によく、かなり勢いをもって攻めてくるチームだと思っていた。我々のセットピースからのディフェンスがよく機能した」と勝因にディフェンスとFWのセットプレーを挙げた。

切り替えて来週の試合に臨む

4勝目を挙げたハイランダーズはニュージーランドに戻り、次節は5月4日(土)にホームで同じニュージーランドのチーフスを迎える。

一方のサンウルブズは、次節5月3日(金)、オーストラリアに渡って、同じカンファレンスのレッズと対戦する。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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