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平成最後のセンバツ王者は神奈川の桐蔭学園だった。
第20回全国高校選抜ラグビー大会“センバツ”の決勝戦が、4月7日(日)、埼玉・熊谷ラグビー場で行われた。
決勝の舞台に辿りついたのは、関東1位の桐蔭学園(神奈川)と、近畿5位の御所実業(奈良)。
快晴の午前11時、微風のコンディションでキックオフされた檜舞台で、まずは御所実業がペースを掴んだ。
青のセカンドジャージに身を包んだ御所実業は、FL長船鉄心(3年)がタックルでノックオンを誘って攻撃権を得ると、前半8分だった。
相手ゴール前でペナルティを獲得し、ここでタップからチーム伝統のモールを形成。なだれ込んでFL長船がグラウンディング。
相手反則からのモール攻撃、という得意パターンで7点を先制した。
一方の桐蔭学園は攻撃を継続できずペースが掴めない。御所実業のPR津村大志キャプテンのボールハント、自軍のハンドリングエラーもあった。
ただ桐蔭学園もラインアウトDFが冴え、相手のスローイングをたびたびカット。得意のカウンターラックも見せ、御所実業のチャンスの芽を摘んだ。
しかし前半19分だった。
御所実業はWTB石岡玲英(3年)のランで敵陣に入ると、左スクラムからのサインプレーでFL西林勇登(3年)が抜け出し、ポスト左にトライ。14点をリードした。
14点を追いかける展開となった桐蔭学園。
すると大会2連覇王者は前半25分、CTB桑田敬士郎(3年)のPG(ペナルティーゴール)成功で3点を奪う。
じわり詰め寄ると、前半31分、ゴール前のフォワード勝負からSH亀井健人(3年)が潜り込み、ゴール成功でビハインドを4点(10-14)とした。
追い上げムードで後半を迎えた桐蔭学園。
後半4分、規律が乱れた御所実業を追い込み、PR岡広将(3年)がトライラインの先へ逆転トライ(ゴール)。17-14
ついに14点差をひっくり返した。
御所実業はWTB石岡が快走を連発するが、桐蔭学園に手薄になったラックを制圧されるなどし、ペースを握れない。
すると桐蔭学園は後半16分、後半のスタートから予定通りに途中出場したSH島本陽太(3年)の仕掛けから、FL石塚勝己(3年)が走りきりチーム3トライ目。
14点ビハインドからハーフタイムをまたぎ、約20分間で12点リード(24-14)を奪った。
しかしセンバツ初優勝へ邁進する御所実業は、ふたたびモールが威力を発揮。ダイレクトタッチがあり、青ジャージーの御所実が、敵陣でラインアウトモールを形成した。
この日カウンターラックなど密集戦で活躍した桐蔭学園のLO青木恵斗(2年)は「御所実さんのモールはずらして、ずらして、という感じです。今日は対応しきれませんでした」。
ラインアウトモールから前進した御所実業は、後半21分、こちらも獅子奮迅だったWTB石岡が右隅を突破してスコアラーに。5点差(24-19)に迫った。
残り約8分で、5点ビハインドの御所実業。
しかし御所実業は自陣脱出のタッチキックから攻め込まれ、ゴール前の攻防に。
PR津村キャプテンを中心に懸命なディフェンスで失点を許さず、途中出場の坂下友哉(3年)も身体を入れてトライセーブ。
しかし桐蔭学園のボール保持は続き、後半28分、勝利を決定づけるトライを決めたのは、類い稀なボールキャリアーのNO8佐藤健次(2年)。
残り1分で、桐蔭学園のリードは安全圏の10点(29-19)となった。
最後も御所実業のWTB安田昂平(2年)が好走、あわやトライの場面で、桐蔭学園のSO伊藤大祐キャプテンがタッチへ押し出す。
そしてノーサイドの笛。最終スコアは29-19。
桐蔭学園の東福岡以来史上2校目となる、センバツ3連覇が決まった。
ペナルティの数は桐蔭学園が「2」(前半2、後半0)、御所実業が「4」(前半1、後半3)。反則の少ない決勝戦でもあった。
惜しくも敗れた御所実業の竹田寛行監督。
準優勝という結果だった大会を振り返り、「センター前、ゴール前のディフェンスがしつこくなってきました。そこは自分たちのスタイルなので、そこは構築できたかなと思います」
「あとは点の獲り方、マネジメントの仕方をもうひとつバージョンアップしたチームにしたいです」と展望を語った。
そして大会3連覇を達成した桐蔭学園の藤原秀之監督。
3連覇王者になったことについては「大したものだと思います」と選手を労った。
「今日の試合展開は0-14からでした。よくひっくり返しました。こういう試合ができるんだなと」
「(御所実業のいる)近畿はタイトな試合を勝ち抜いてきたので、相当コンディションも悪かったと思います。モールは上手かったですね。対策しないといけません。それにしても価値ある勝利かなと思います。(御所実業に勝ったことは)嬉しいですね。一度も勝ったことがなかったので」
平成最後のチャンピオンになったことについては「令和最初のチャンピオンになりたいですね」と語り、史上初のセンバツ4連覇へ意欲を見せていた。
熱戦が繰り広げられた第20回全国高校選抜ラグビー大会。
平成最後のセンバツは、御所実業の準優勝、桐蔭学園の3連覇という結果で幕を閉じた。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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