快勝、接戦、リベンジ達成――。8強が激突したセンバツ、大会5日目の試合レポート

春の高校王者を決める第20回全国高校選抜ラグビー大会は、4月4日（木）、埼玉・熊谷ラグビー場（Bグラウンド）で、準々決勝（決勝トーナメント1回戦）4試合を行った。

参加32校の予選リーグを勝ち抜いた8強は、近畿ブロックから5校（京都成章、東海大大阪仰星、天理、関西学院、御所実業）。

そして関東から1校（桐蔭学園）、東海1校（中部大春日丘）、九州1校（東福岡）となった。

いずれも名のある全国強豪が快晴の熊谷ラグビー場に集結し、熱戦を繰り広げた。

第1試合「桐蔭学園×東福岡」

関東ブロック1位で大会2連覇中の桐蔭学園（17大会連続18回目）と、九州1位の東福岡（13大会連続16回目）が激突した。

熱戦が予想された好カードは、桐蔭学園の藤原秀之監督が「ビックリしました」と振り返る展開となった。

序盤で両軍1トライずつ獲りあったのち、その後桐蔭学園が3連続トライ。自陣からボールを動かし、東福岡のエリア外側をNO8佐藤健次（2年）、3年のSO伊藤大スケ（示右）、WTB秋濱悠太（2年）らが次々に攻略した。

東福岡も優れたパサーでもあるCTB廣瀬雄也主将が中心となり、ランも鋭いSO森駿太（3年）、決定力のあるWTB高本とむ（3年）がスコア。前半20分、23分と連続トライで反撃した。

ボールを保持すればお互いに高い攻撃力を発揮し、乱打戦の様相。しかし試合はここから一方的な展開に。

桐蔭学園は前半を40－21とリードして折り返すと、後半に4連続トライ。東福岡は後半無得点に終わり、前後半で計10トライを浴びた。

最終スコアは67－21。東福岡の67失点はセンバツ16回目で同校史上ワーストとなった。

桐蔭学園の藤原監督は、大勝を落ち着いた様子で振り返っていた。

「今日はラインアウト、スクラムからも（トライを）獲れました。ウチに足りない部分でした」

「（大差は）ビックリしました。今日はやられたとしても良い試金石になると思っていました。予選の3試合はチャレンジできていなかったですが、今日は選手が『100パーセントでやろう』というキーワードで（頑張った）」

3連覇を狙う桐蔭学園は4年連続で準決勝に駒を進めることになった。

第2試合「京都成章×関西学院」

近畿ブロック1位通過の京都成章（2大会ぶり8回目）と、近畿4位の関西学院（11大会ぶり2回目）が対戦。

注目の近畿勢対決は接戦に。大型FW擁する京都成章に対し、関西学院の懸命なディフェンスが光った。

先発FWで身長180cm以上がLO濱崎真一（3年／184cm）ひとりの関西学院に対し、京都成章はPR西野拓真（3年／186cm）からNO8村田陣悟（3年／185cm）まで、計5人擁していた。

圧巻のサイズを誇るが、近畿予選で京都工学院を破るなど快進撃を続けてきた関西学院。タックラーのHO兪瑛士キャプテンを中心に、攻防ラインで粘りを見せた。

前半は京都成章が2トライを挙げ、12－0で後半へ。

しかし関西学院は後半3分、大外の突破からフォロワーでボールを運び、FL木下裕翔（3年）がトライ（ゴール失敗）。7点差（12－5）に詰めた。

しかしスクラムで上回る京都成章は、スクラムの圧力から敵陣ゴール前で攻撃権を奪うと、後半10分、NO8村田が力強いキャリーでチーム3トライ目（ゴール成功）。19－5

ただ関西学院にも豪快なボールキャリアーがいた。

後半24分、関西学院はNO8平生翔大（2年）が強い足腰で防御をこじあけてゴール前へ。最後もNO8平生がボールをもらってポスト左へ飛び込み、ゴール成功で7点差（19－12）とした。

しかしこのままフルタイムを迎え、最終スコアは19－12。

勝利に手の届かなかった関西学院の安藤昌宏監督は「アタックはこれから」としつつも、「近畿のチャンピオンにこれだけディフェンスできたことは自信になると思います」と防御に手応えも感じた様子だった。

一方、大型FWの優位性を存分に発揮できなかった京都成章。指揮官の湯浅泰正監督は、笑いを交えながら辛勝を振り返った。

「『今日はどんな展開になっても黙っていよう』と思っていましたが、最後はワーワー言ってしまいました。ウチは（予選で）タイトなゲームばっかりだったので疲れもありました。帰って温泉ですね。今日は勝って反省。（次戦は）チャレンジしたいです」

第3試合「御所実業×東海大大阪仰星」

近畿5位の奈良・御所実業（2大会連続7回目）と、近畿2位の東海大大阪仰星（7大会連続18回目）。

センバツ予選を兼ねた近畿大会2回戦で、東海大仰星に敗れている御所実業。

指揮官の竹田寛行監督は、「近畿大会で負けて『次は仰星さんにリベンジ』ということで、練習を組み立ててきました」を明かした。並々ならぬ覚悟でこの試合に臨んでいた。

前半は1トライずつを獲り合った。東海大仰星が前半8分に相手ゴール前のFW勝負からねじ込み、御所実業はモールからインゴールを割った。

7－7で迎えた後半も、序盤は互いに譲らない展開。

御所実業は後半2分、相手ペナルティからの敵陣ラインアウトモール。「自分らのスタイル」（御所実・竹田監督）でチーム2トライ目を挙げた。12－7

東海大仰星も後半8分、ゴール前のFW戦からPR志水孝吉（3年）が同点トライをねじ込み、ゴールキック成功で逆転した。12－14

ところが御所実業が反撃。相手反則から敵陣で堅固なモール攻撃を組み立て、2連続トライを挙げる。

後半16分にペナルティからのモール形成で1トライ、同28分にはまたも相手反則から敵陣で得点機となり、モールを起点にCTB谷中廉（3年）が走り込みフィニッシュ。

最終スコアは26－14となり、雄叫びを上げた。

目標だったリベンジを達成した御所実業の竹田監督は、「近畿大会で対戦したときは反則が多く、前半だけで7つペナルティがありました。今日はそこだけを修正しようと。今日は前半が2本、（相手が）3本だった。そこで主導権が握れました」

「仰星戦で出来なかったことをチャレンジしようと思っていました。それが出来たことで、また次のランクにステップアップできたと思います」と語った。

第4試合「中部大春日丘×天理」

東海1位の愛知・中部大春日丘（3大会連続10回目）と、近畿3位の天理（3大会連続8回目）の対戦となった。

両軍は今年1月1日の花園3回戦で対戦しており、そのときは天理が21－10で勝利している。

あれから4か月が経ち、春日丘はその天理戦に出場していた当時の1年生トリオ（NO8福田大晟、SO堀日向太、FB阿曽有馬）を含め、新2年生6人が先発入り。比較的若い布陣でベスト4を狙った。

試合は天理がペースを握った。

前半10分には、ラインアウトから先制トライ。

スピード感のあるリフトに、フッカーが本職というCTB蔦新之助（3年）が正確なスローイングを合わせてボールを確保。

そこからフラットな仕掛けでCTB前川風雅キャプテン（3年）が鮮やかに抜け出し、WTB真部広誠（3年）がフィニッシュした。0－7

さらに似たパターンから今度はPR中山律希（3年）がラインブレイク。プロップ離れしたステップを見せると、そのまま独走トライ（ゴール成功）を決めた。0－14

春日丘も前半20分、CTB笠井将英（3年）が細かいステップワークからオフロードパスを決め、受けたLO三村和真（3年）がこの日チーム初トライ。7－14で前半を折り返す。

しかし天理は後半4分、7分、13分と連続トライを決めるなど、この日は一度もリードを許さなかった。

春日丘も反則が増えた天理に攻勢をかけ、後半22分、26分に連続トライをスコアしたが届かず。

17－38でノーサイドを迎えた。

2年連続でセンバツ準決勝に進むことになった天理の松隈孝照監督は、「一戦一戦やっていたら、たまたまここまで来られました。セットプレーから（トライを）獲れたところは助かりました」

準決勝の相手が、県内のライバル・御所実業になったことについては「（御所実業は）避けて通れない相手。近畿大会では当たりませんでした。どことやるのも嬉しいですけど、（御所実業と）ベスト4でやれて嬉しいです。『ここで燃えへんかったら、いつ燃えんねん』という感じです」と意気込んだ。

この大会5日目の結果により、4月6日（土）に行われる準決勝2試合のカードが決定した。

・第1試合「御所実業×天理」（11:00 K.O.）
・第2試合「桐蔭学園×京都成章」（12:20 K.O.）

第1試合は注目の“奈良勢対決”。第2試合は“センバツ2連覇王者VS.近畿王者”だ。午前11時のキックオフが今から待ち遠しい。