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“平成最後のセンバツ王者”を決める第20回高校選抜ラグビー大会は、4月2日(火)、埼玉・熊谷スポーツ文化公園で、大会4日目を迎え、予選リーグ最終戦の16試合が行われた。
予選は参加32校が8組に分かれての総当たり戦。大会3日目には4校が8強トーナメント進出を決めた。
「当該チーム同士の対戦成績」により予選を通過したのは、関西学院(Aグループ)、東福岡(Bグループ)、御所実業(Cグループ)、春日丘(Gグループ)だ。
そして大会4日目、残る4つ椅子をかけた全勝対決も4試合が行われた。
ただ決勝トーナメントばかりがセンバツではないだろう。
参加校にとってセンバツの意義のひとつは、全国強豪と対戦できること。多くの指揮官が異口同音に、春時点で全国トップレベルと戦えることは大きい、と口にした。惨敗した悔しさも糧になるはずだ。
チーム・選手にとっては、予選の1試合1試合に大きな意味がある。大会4日目にも、そんな目の前の1勝に懸ける熱いドラマがあった。
各校がそれぞれの目標をもって臨んだ予選リーグ最終日は、公園内の3会場(Bグラウンド、Cグラウンド、補助陸上競技場)で、快晴のもと行われた。
それでは大会4日目の16試合を見てみよう。キックオフ時間は、第1試合から①9時30分、②10時45分、③12時、④13時15分、⑤14時30分、⑥15時45分だ。
【Bグラウンド】
第1試合(Cグループ)
(5T3G)御所実業○31-7●名古屋(1T1G)
第2試合(Dグループ)
(6T5G)東海大大阪仰星○40-21●日本航空石川(3T3G)
第3試合(Dグループ)
(13T)長崎北陽台○111-0●太田
第4試合(Eグループ)
(7T4G)桐蔭学園○43-14●大分東明(2T2G)
第5試合(Eグループ)
(8T6G)尾道○52-5●黒沢尻工(1T)
近畿の第5代表決定戦を勝ち上がった奈良・御所実業(近畿5位)は、東海2位の名古屋に勝利して3連勝。名古屋は3敗となった。近畿2位の東海大大阪仰星は21-0で前半リード。日本航空石川に後半3トライで猛追されたが競り勝った。
少数精鋭の長崎北陽台は惜敗が続いていたが、第3試合で111得点の大勝。第5試合では中国2位の尾道が、52-5で黒沢尻工に快勝し、大会初勝利を挙げた。
そして第4試合は全勝対決となった「桐蔭学園×大分東明」。
推薦枠の大分東明は、初出場ながら大会2連勝。センバツ3連覇を狙う“東の横綱”桐蔭学園に挑戦した。
先制点は風上の大分東明。敵陣右スクラムからのサインプレーでWTB立山諒(3年)がトライ。
しかし桐蔭学園は完成度の高いブレイクダウンワークで連続攻撃。
身長186センチLO青木恵斗(2年)が連続トライを挙げるなどして主導権を握り、後半28分までに計7トライ。2連覇王者の力を見せた。
最後はボールを蹴り出してノーサイド、となるはずだったが、後半33分(ランニングタイム)、ノーサイドを狙ったと思われるキックが強風に煽られてタッチに出ず。
ここからボールを再獲得した大分東明は、後半37分に機動力に長けたHO富田大智(3年)が意地のトライ。王者相手に2トライを挙げ、最終スコアは14-43。
全勝対決を制した桐蔭学園は8強入りを決めた。
大分東明の白田誠明監督は、大会2勝を挙げたセンバツを振り返り「こうした全国トップレベルのチームにチャレンジできる、自分たちのオリジナリティを身につけて勝負をしたいです」と再スタートを誓った。
【Cグラウンド】
第1試合(Hグループ)
(8T6G)天理○52-7●流経大柏(1T1G)
第2試合(Hグループ)
(5T3G)大分舞鶴○31-5●北越(1T)
第3試合(Fグループ)
(13T10G)京都成章○85-0●早稲田実
第4試合(Fグループ)
(2T2G)高知中央●14-21○秋田工業(3T3G)
第5試合(Gグループ)
(2T1G)中部大春日丘●12-38○高鍋(5T5G1PG)
第6試合(Gグループ)
(1T)金光藤蔭●5-40○本郷(6T5G)
Cグラウンド第2試合は、大分舞鶴が新潟・北越を下して大会1勝。北越は3敗目を喫した。京都成章は早稲田実との全勝対決で圧巻の13トライ。85得点完封を披露した。
第4試合はともに2敗同士の対決。秋田工業が高知中央を下して大会1勝を手にした。8強進出を決めている中部大春日丘は先発メンバーを大幅に変え、ここで花園常連の宮﨑・高鍋が38-12で意地を見せ、大会初勝利を挙げた。
第6試合は金光藤蔭×本郷。前半は好勝負に持ち込んだ選抜初出場の金光藤蔭だが、本郷の大型FWに押し込まれて後半寄り切られた。
Cグラウンドの注目カードは、こちらも全勝対決の第1試合「天理×流経大柏」だった。
勝者が8強入りを決める一戦は、流経大柏が先制した。
風上の天理は自陣奪取のキックを試みるが、これをFL飯岡開成(3年)がチャージ。そのまま捕球してスコアした。0-7
ここから天理はCTB前川風雅(3年)が鋭いランコースから再三突破。
HO森山優大(3年)らFWも運動量豊富に走り回り、磨き抜いたムーブをハイテンポで連発。ゴール前のFW勝負でも強かった。
天理はフォワードがPR中山律希(3年)の2トライを踏む5トライ、バックスで3トライを挙げて52-7で快勝した。
8強入りを決めた天理の松隈孝照監督は「去年のメンバーがたくさん残ったので、去年一生懸命に取り組んだ分がすこしプラスアルファで残っています」と振り返った。
一方、流経大柏の相亮太監督は、敗戦を受けて「天理さんとはいつ戦っても勉強になります。我慢する力が格段に上です。前半20分のところまでは良かったです」と語っていた。
【補助陸上競技場】
第1試合(Cグループ)
(2T)石見智翠館●10-26○國學院栃木(4T3G)
第2試合(Aグループ)
(10T6G)関西学院○62-14●浦和(2T2G)
第3試合(Aグループ)
(12T9G)佐賀工業○78-0●秋田中央
第4試合(Bグループ)
(12T9G)東福岡○78-7●札幌山の手(1T1G)
第5試合(Bグループ)
(3T3G)城東○21-15●慶應義塾(3T)
実力校同士の対戦となった第1試合は、國學院栃木が後半突き放して2勝目。Cグループ2位となった。8強を決めている関西学院は開催県枠の浦和に快勝。浦和は3敗となった。
第3試合は佐賀工業が78得点快勝。大会2勝目でAグループ2位に。秋田中央は1勝2敗で3位となった。8強を決めている東福岡は、札幌山の手から78得点を奪って3勝目。札幌山の手は悔しい3敗となった。
そして第5試合「城東×慶應義塾」が、大熱戦だった。
四国2位の徳島・城東は前半、強烈な風下に立って防戦一方。
しかし「四国大会が終わってからディフェンスの練習をしてきました」(城東SO三木海芽主将)というチームは、助っ人のテニス部員1人を含めた先発15人が身体を張り、0-0で前半を折り返す。
この日最初のスコアは慶應義塾。
後半3分、慶應義塾のFB大野嵩明(3年)がワンステップで相手を抜き去りスコアした。5-0
ところが城東は堅守から敵陣でボールを奪うと、NO8橋本青空(2年)のビッグゲインなどでゴール前に侵入。
最後は後半11分にLO安部伊吹(3年)がトライ、ボックスキックが得意なSH遠藤岳歩(3年)のゴール成功で逆転した。5-7
攻勢を強めたい城東だったが、ここでNO8橋本が右肩を痛めた。
チームOBで、約20年城東のS&Cなどを担当してきた稲垣宗員トレーナーが駆け寄ると、NO8橋本はプレー続行を申し出た。
「控えの2人はサッカー部員でした。代わるわけにはいかなかったです」(NO8橋本)
しかし4分後、慶應義塾が反撃。PR末永拓三(3年)のトライで逆転を披露した。10-7
しかし諦めない城東は後半19分、ふたたび得意のDFターンオーバーから敵陣で攻勢。FL伊藤優汰(3年)がゲインしてインゴールを割って、再逆転に成功する。
さらに4分後には、小学校低学年から共にプレーしているSO三木主将、FL伊藤によるサインプレーで、FL伊藤がインゴールへ。フォローしていたLO安部にパスがつながり自身2トライ目を挙げた。
慶應義塾も後半27分にLO杉山諄(3年)がスコアラーとなったが、21-15で逃げ切り、歓喜の瞬間を迎えた。
関東の強豪を破ったSO三木主将は、「人数が少ない分、チームの仲が良いです。一人ひとりに責任感があり、チームワークはあると思います」とチームを誇っていた。
センバツ初戦では、チーム史上初のセンバツ初勝利を挙げた城東。この勝利により、徳島県勢初のセンバツ2勝を挙げたチームとなった。
全試合終了後、5時15分頃から準々決勝の組み合わせ抽選会が行われた。
4月4日(木)、埼玉・熊谷スポーツ文化公園(熊谷ラグビー場)Bグラウンドで行われる決勝トーナメント4試合の組み合わせは、以下のようになった。
第1試合「桐蔭学園×東福岡」(10:30)
第2試合「京都成章×関西学院」(11:45)
第3試合「御所実業×東海大大阪仰星」(13:00)
第4試合「中部大春日丘×天理」(14:15)
センバツ王者に上りつめるのはどのチームか。熱戦が続いた予選リーグをへて、高校ラグビー最高峰の戦いは佳境を迎える。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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