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◆ジャガーズ(アルゼンチン)×チーフス(ニュージーランド)
◆スーパーラグビー2019第7節/3月31日(日)/エスタディオ・ホセ・アマルフィターニ(アルゼンチン)
◆今季1勝の低迷チーフスvs.ホームで3勝目挙げたいジャガーズ。最終盤のトライで明暗。
第6節でようやく今季初勝利を挙げた1勝1分4敗のチーフスが、2勝3敗のジャガーズの本拠地に乗り込んだ。
迎え撃つジャガーズはBYE(休みの週)明けでコンディションは有利だったが、怪我人も多かった。
アルゼンチン代表の正SHマルティン・ランダホに加え、フッカーは前代表主将のアグスティン・クレービーではなく、長年2番手のHOフリアン・モントーヤが務めた。
ただメンバーは頼もしい。PRメイコ・ヴィバス以外の先発14人は、アルゼンチン代表キャップ保持者。FLマルコス・クレマー、WTBエミリアーノ・ボフェリら、次代もスターも並べた。
一方のチーフスは、フォワードではニュージーランド(NZ)代表のHOネイサン・ハリス、PRネポ・ラウララが先発。
両フランカーは24歳のラクラン・ボシャー、21歳のFLルーク・ジャイコブソンという若手コンビ。
特にFLジャイコブソンは元U20代表(NZ)キャプテンで好タックラー。NZ代表も狙える逸材だ。
バックスでは今季活躍のSHブラッド・ウェバー、SOマーティー・マッケンジー、その実弟であるダミアンは15番を背負い、アタックでは時にファーストレシーバーの位置で配球、キックを見せた。
また元東海大主将で今季よりチーフスの一員になったWTBアタアタ・モエアキオラは、遠征メンバーには入っていなかった。首の負傷の影響と見られる。
序盤はお互いに自陣で反則を犯してペナルティゴール(PG)合戦に。ジャガーズが2PGで6点、チーフスが1PG(3点)を決めた。
ジャガーズは序盤、攻防ラインでファイトし、何度もチーフスの攻撃を食い止めた。
さらに前半15分には成功率が今季リーグ最下位(70パーセント)と低かったスクラムで、コラプシングを獲得。
しかし先制点はチーフスだった。
反則を続けたジャガーズを自陣深くに追いやると、ゴール前でペナルティを獲得。チーフスはここで成功率が首位タイ(98パーセント)のスクラムを選択。
ここから攻撃を開始し、フォワードがフェイズを重ねたのち、最後はFBマッケンジーがスペースへアプローチし、難なくインゴールへ。ゴールも自身で決めてスコアは6-10に。
規律が不安定なジャガーズは、前半33分、ハイタックルの反則から自陣へ後退。
ここでチーフスはSOマッケンジーがゴールポストめがけてキック。
ポストカバーに当たったボールは手前に跳ね返り、これを捕球したCTBトゥムア・マヌが見事にトライ。
13人制ラグビーのNRL(ナショナルラグビーリーグ)でも、ポストカバーを利用した同様の奇抜プレーが見られる。チーフスがリードを11点(6-17)とし、前半を折り返した。
前半37分に反則の繰り返しでFLクレマ-がシンビン(10分間の一時退出)となっていたジャガーズ。後半3分にもPGを決められ、6-20という厳しい戦いに。
しかし司令塔の足技が冴えた。
後半6分、敵陣に入ったジャガーズはラインアウトモール。相手に反則が出ると、SOホアキン ディアス・ボニーラが大外へピンポイントのキックパス。
これをFBホアキン・トゥクレットがインゴールで捕球とほぼ同時にグラウンディングした。
2人の華麗な合わせ技でトライ(ゴール成功)を生み出すと、後半17分には、途中出場の代表主将パブロ・マテーラがビッグゲイン後の左サイドを攻略し、連続トライ。
コンバージョン成功で20-20となり、後半17分でスコアは振り出しとなった。
なんとか今季2勝目を挙げたいチーフスは、後半30分にPG追加で3点リード(20-23)。
ところがホームファンに勝利を届けたいジャガーズは、後半33分。
敵陣ゴール前でアドバンテージ状態からのキックパス、という今日1本目と似たパターンによる逆転トライが飛び出し、27-23と逆転に成功する。
残り約6分をしのげば勝利のジャガーズ。
ところが規律に問題を抱えるジャガーズは、キックオフ後のラックで、バインドせずに強烈なクリーンアウト。これがペナルティとなって一転ピンチに。
一度はインターセプトでマイボールにするが、キックチャージを受けて相手ボールスクラム。ここでチーフスがスクラムを優位に回し、広がった右スペースをエイトサイドで攻略。
オフロードパスを途中出場のSHテトイロア・ターフリオランギにつなげて、値千金の逆転トライ。
ジャガーズは重要局面での反則が大きな敗着となり、27-30で敗戦を迎えた。
ジャガーズは2勝4敗で南アフリカ・カンファレンス最下位。
一方、2勝目を挙げたチーフスは、戦績を2勝1分4敗としたが、NZカンファレンス最下位は変わらず。チーフスはこのまま上向いた調子を維持し、本拠地ワイカトの誇りであり続けたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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