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日本を本拠地とするヒトコム・サンウルブズ(オーストラリアカンファレンス)はオーストラリアに渡り、3月29日(金)の第7節、オーストラリア・ニューキャッスルで同カンファレンスに所属する2014年の王者ワラターズと対戦した。
サンウルブズは第3節にアウェイでチーフスに30-15と敵地で初めて勝利した。だが、その後、善戦するものの、なかなか勝てない状況が続き、1勝5敗の総勝ち点6で、オーストラリアカンファレンスでも5位&全体で最下位となってしまった。
敵地で厳しい戦いが予想されているがサンウルブズとしては、ホームで30-31ともう少しで勝てそうだったワラターズが相手だけに、SH(スクラムハーフ)茂野海人ら5人の先発メンバーを交替し、何とか2勝目を挙げようと臨んだ。
もちろん、前節スーパーラグビー全体の「ベスト15」を受賞したNO8(ナンバーエイト)ラーボニ・ウォーレンボスアヤコとSO(スタンドオフ)はキックの名手ヘイデン・パーカーの2人はもちろん先発。
また前節、今シーズン初先発だったCTB(センター)立川理道、FB(フルバック)山中亮平の2人もこの試合も先発に名を連ねた。23番に入っていたCTB/WTB(ウィング)ジョシュ・ティムは試合直前にWTBホセア・サウマキに代わった。
一方のホームのワラターズは前節、連覇中の王者クルセイダーズ20-12で下し、3勝2敗で総勝ち点を14に伸ばし、同カンファレンスで首位に立ち、全体でも3位に浮上した。
この試合はワールドカップに向けて、オーストラリア協会の選手管理の規定に従い、オーストラリア代表SOバーナード・フォーリー、NO8(ナンバーエイト)ジャック・デンプシー、CTBアダム・アシュリー クーパーの3人が休養となった。
だが、キャプテンのFL(フランカー)マイケル・フーパー、LO(ロック)ロブ・シモンズ、SHニック・フィップス、CTBカートリー・ビール、FB(フルバック)イズラエル・フォラウら、オーストラリア代表経験豊富なビッグネームたちは先発した。
「走り勝つ」をテーマに掲げたサンウルブズだが、試合は開始早々、相手のプレッシャーもありペナルティを重ね、相手にチャンスを与えて押し込まれる展開に。
前半2分、ワラターズにラインアウトからFLフーパーに突破を許し、フォローしたSHフィップスにトライされて、0-7と先制される。
11分にはサンウルブズはPG(ペナルティゴール)を返すものの、15分には再びラインアウトを起点にCTBビールにオフロードパスを通され、WTBキャメロン・クラークに2トライ目を決められてしまい、3-12とリードされる。
だが、アタッキングチームであるサンウルブズもすぐに反撃する。20分、スクラムを起点に集中力を途切れさせず攻撃を継続し、最後はLOグラント・ハッティングが左中間に左手を伸ばしてトライ。ゴールも決まって10-12と追い上げる。
さらにサンウルブズは30分に、相手のキックをキャッチしカウンターを仕掛け、敵陣22mラインから左に展開。
FLツイ ヘンドリックがオフロードパスをFLダン・プライアーにつなぎ、フォローしたWTBセミシ・マシレワが、左中間にトライを挙げて12-17と逆転に成功する。
35分にワラターズにPGを決められたが、前半はサンウルブズが17-15とリードして前半を折り返した。
勝負の後半、先に点を挙げたのはホームのワラターズだった。後半3分、連続攻撃から、最後はキャプテンFLフーパーが押さえて、ゴールも決まり17-22と逆転されてしまう。
しかし、10分、サンウルブズはハーフウェイライン、右ラインアウトからCTB立川、SOパーカーとつないで、WTBマシレワとつなぎ、マシレワがそのまま走りきって、右隅にダイブしながらトライ。
SOパーカーが難しい角度のゴールもしっかりスライス回転で決めて、24-22と再び逆転に成功する。
さらに13分、サンウルブズはCTB立川がディフェンスで相手にプレッシャーを与えると、そのこぼれ球をWTBマシレワがそのまま拾い上げて、ハットトリックとなる3トライ目を中央に決め31-22とリードを広げた。
ワラターズも25分、サンウルブズ陣に攻め込み、最後はペナルティからCTBビールが、クイックリスタートからそのまま持ち込み、ゴールも決めて31-29と2点差に迫った。
しかし、サンウルブズは最後までペナルティせず、ディフェンスでプレッシャーをかけ続けて、そのまま逃げ切って31-29でノーサイドを迎えた。
サンウルブズはスーパーラグビー参入4年目にしてオーストラリアの地で初めて勝利。勝ち点4を積み上げ、総勝ち点は10とした。ワラターズは7点差以内の敗戦で勝ち点1を得て、総勝ち点を15にした。
サンウルブズの今日の勝利は、まずペナルティの数が6と前節の12から半減したこと、そしてディフェンスで粘れたことが大きかった。
そしてスクラム、ラインアウトのセットプレーが安定し、モールのディフェンスでも奮闘。もちろん、5本のプレースキックを決めたSOパーカー、ハットトリックを達成したWTBマシレワの存在も頼もしかった。
ワラターズ vs. ヒトコム サンウルブズ ハイライト
ホームで敗れたワラターズのキャプテンフーパーは「完全にやりかえされてしまいました」。
「サンウルブズは足を使ってくるし、コンテストも激しいので、簡単にゲインさせてしまい、なかなか自分たちのペースに持っていくことができなかった。先週と比べると一貫性のないパフォーマンスにがっかりしています」と肩を落とした。
ホームで行われた2節では1点差で敗戦していたが、敵地でリベンジに成功したサンウルブズのトニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)は「過去2年間にわたってディフェンスを改善することに取り組んできました」。
「そして、勝利のために十分な数のトライを取ることも大事でしたので、今日の試合では攻撃面もよかったと思います。日本のファンが我々を支えてくれた事がこの素晴らしい勝利に繋がった」と話した。
続いて指揮官は「今週は準備においても、試合のパフォーマンスにおいても、選手たちはよくやってくれました。とくにディフェンスについては素晴らしかった」。
「今週の我々の目標は、走り切って勝つという事でした。以前から申し上げているとおり、我々は勝利する実力を持ったチームです」。
「自分たちはできるという事を信じてやってきましたし、その自信は今日の試合でさらに強くなりました。来週に向けてそれがさらに強くなっていくと信じています」と胸を張った。
ゲームキャプテン、FLダン・プライアーは「選手たちはほぼ休みないスケジュールで毎週練習してきました。疲れもありますが、そうした積み重ねが報われましたし、パフォーマンスにも出ました」。
「途中で流れが良くない場面やミスもありましたが、みんなで諦めずに声を掛け合っていき、勝利につなげられました。WTBマシレワの足は魔法だし、SOパーカーの足も素晴らしい。素晴らしい選手たちの力が出せた結果だと思います」と満足げに話した。
SH茂野海人は「うれしいの一言です。自分たちのゲームプランを信じること、フィジカルの部分で負けない、そして相手の攻 撃に対してしっかりとディフェンスで対応する。今日の試合では、それができた結果です」と声を弾ませた。
また、CTB立川は「 4シーズン通してサンウルブズに参加している選手は少ないですが、今日の勝利は本当に大きい。 個人的にも初年度(2016年)の勝利以来の勝ち試合となったので嬉しい」。
「前回の日本でのワラターズ戦では接戦の末、勝利を逃してしまいましたが、今日の試合では相手のミスもありましたが、自分たちのシステムの中でプレッシャーをかけることができましたし、全体的によかったと思います。こういったラグビーを継続してやっていきたい」と先を見据えた。
敗戦したワラターズは、次の第8節は4月6日(土)、アウェイでブルーズ(ニュージーランド)と対戦する。
2勝目を挙げたサンウルブズは、このままオーストラリアで調整し、同じく6日(土)、メルボルンでレベルズと対戦し、今日の勝利の勢いのままアウェイでの連勝を目指す。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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