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ラグビー コラム 2019年3月25日

サンウルブズ、リーグ除外発表後の一戦。スーパーラグビー2019「サンウルブズ×ライオンズ」レビュー

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ヒトコム サンウルブズvs.ライオンズ

■サンウルブズ(日本)×ライオンズ(南アフリカ)
■スーパーラグビー2019第6節/3月23日(土)/シンガポール・ナショナルスタジアム
■リーグ除外公表のサンウルブズが強敵ライオンズと激突。課題の規律面は克服ならず。

日本を代表して戦ってきたサンウルブズは、2020年をもってスーパーラグビー(SR)を去る。

SRの統括団体SANZAAR(サンザー)は、3月22日(金)、2020年限りでサンウルブズ(日本)をリーグから除外し、2021年から14チームによる総当たり戦にすると公表した。

公式発表はライオンズ戦の前日だったが、選手・スタッフには3月21日(木)に渡瀬裕司CEOから直接伝えられていたという。

パフォーマンスへの影響が懸念される状況だが、トニー・ブラウンHC(ヘッドコーチ)はライオンズ戦後、影響を否定するコメントを発表した。

「金曜のニュースは、今日の試合のパフォーマンスには全く影響はありませんでした。今週はライオンズとの試合に集中し、チームは非常にいい準備ができていました」

サンウルブズとしては目の前のゲームに集中し、今季2勝目という結果でプライド、存在価値を示したいところだった。

チームには今節より日本代表 RWCTS(ラグビーワールドカップ・トレーニングスコッド)の数名が、予定どおり沖縄キャンプから合流していた。

サンウルブズは31-34で逆転負けを喫した先週のレッズ(オーストラリア)戦から、先発6人(FW3人、BK3人)を変更したが、そのうちWTBに入ったセミシ・マシレワをのぞく5人がRWCTS組となった。

フォワードに入ったRWCTS組は、PR三上正貴、PR具智元、LOグラント・ハッティング。

そして先発バックスにはCTB立川理道、FB山中亮平が名を連ねた。

またリザーブにはこちらも合流組の田中史朗、山沢拓也がメンバー入りし、山沢はこの日後半途中出場でSRデビューを飾った。

サンウルブズとRWCTSとの連動性についてだが、FB山中は「やっていることはほとんど一緒です。すぐサンウルブズに溶け込んだというか、やり方は分かっているので、あまり違いはないです」と試合前に語った。

その言葉通り、年間通して気温30度前後の暑いシンガポールで、序盤のサンウルブズはスムースな攻撃で先制した。

狼軍団は開始早々、WTBゲラード・ファンデンヒーファーがビッグゲイン。

攻勢を強めると、前半7分、ボールを左右へ振りながら連続攻撃を続け、WTBマシレワから渡ればトライのラストパス。

しかしこのパスを相手14番シルヴィアン・マフザが手に当て、これが故意のノックオンによるトライセーブと判定されてシンビン(10分間の一時退出)に。サンウルブズにはペナルティトライが与えられ、7点を先取した。

サンウルブズは相手の強みであるスクラムに対しても奮闘した。

タイトファイブ(FW前5人)のうち3人(PR三上、PR具、LOハッティング)の合流組が今季初出場で、さらにはスタイルの違いもあった。

「代表とサンウルブズのスクラムは少し違いがあり、まだ慣れていないところもありました」(PR具)

万全ではない状況で、序盤3本のスクラムは劣勢気味となった。

しかし前半9分、自陣ゴール前で迎えたピンチのスクラムでは、低い姿勢でしっかり対抗した。

「スクラムに関しては、前半の最初に苦しみましたが、レフリーや一列目の選手とコミュニケーションを取ることで、前半の途中からいいスクラムが組めるようになっていきました」(HO坂手)

しかし誤算はディシプリン(規律)だった。

今季は反則数に苦しんでおり、第5節終了時で1試合の平均ペナルティ数は「13」と多い。イエローカードも4枚でリーグワーストタイだ。

2人の一時退場者を出して惜敗した第4節ブルーズ戦(20●28)など、反則数が少なければ、と悔やんだ試合は多い。

サンウルブズはスクラムでは比較的粘ったが、「ブレイクダウンまわり、オフサイド、規律の部分が疲れてくると守れなかった」(FB山中)。

ライオンズは前半13分、36分と連続トライを奪った。

どちらもサンウルブズが反則を犯し、精度の高いラインアウトから強力ラインアウトモールでHOマルコム・マークスがトライ、という展開だった。

そのままライオンズが7-12とリードして折り返す。

後半もサンウルブズは幸先の良いスタートだった。

この日もキック全成功だったサンウルブズのSOヘイデン・パーカーが、PG(ペナルティーゴール)で3点追加。10-12

しかしここから約20分間で失3連続トライ。

1本目はまたも反則から自陣へ下がり、モールこそ防いだものの、相手SHニック・グルームが間隙を突いてグラウンディング。

2本目もレイトタックルの反則から自陣へ後退。ここもモールはこらえたが、ショートサイドへ移動したSOエルトン・ヤンチースが押し込んで、リードは12点差(10-22)に。

3本目は攻守交代直後のカウンターから、CTBライオネル・マプーがスコアラーとなった。10-29

サンウルブズの反撃は後半23分、FW第1列が全員替わったこの日16本目のスクラムから。

敵陣ゴール前のマイボールスクラムという好機から、途中出場のアマナキ・レレイ・マフィが流石の突進でインゴール目前へ。

続けてNTTコムでチームメイトだったNO8ラーボニ・ウォーレンボスアヤコが突っ込み、後半最初のトライ。SOパーカーが難なく決めて29-17とした。

しかし試合巧者のライオンズは、後半29分にPG加点で32-17と突き放すと、同35分にはショートパントを捕球した途中出場のハチヴァ・ダイマニがトライ。

終了間際にNO8ウォーレンボスアヤコがこの日自身2トライ目を奪ったが、間に合わなかった。

最終スコアは24-37。

今季4勝目を挙げたライオンズは、南アフリカ・カンファレンス1位に浮上した。一方、今季5敗目を喫したサンウルブズは、オーストラリア・カファンレンスの最下位となった。

サンウルブズのブラウンHCは敗戦を振り返り、「スタートはよかったですが、ブレイクダウンでやられてしまいました」とコメント。

成功率71.4%(7本中5本成功)だったラインアウトについては、LOハッティングが「良いテンポ、ムーブはあったが、新しい選手が入ってきて(ムーブ等を)覚えなければならず、ミスが多かった」と語り、ラインアウトの連係不足を示唆した。

今季2勝目をファンに届けたいサンウルブズは、シンガポールから次戦の舞台、オーストラリアへ飛ぶ。

次戦の相手はワラターズ(オーストラリア)だ。

第6節で今季無敗だった2連覇王者・クルセイダーズを20-12で破る金星を挙げた強敵が、狼軍団の前に立ちはだかる。

「来週はワラターズと戦います。我々は残りのシーズンもしっかりと自分たちの考えているプランを実行して、そしてまた次の試合に集中していく事を繰り返していくだけです。私はこのチームが試合に勝てる、強いチームである事を信じています」(ブラウンHC)

少ない準備期間、長距離移動、流動的なメンバー…。

2016年のリーグ加入から4シーズン目、他チームより過酷な条件下ながら、通算7勝をもぎ取ってきたサンウルブズ。2019年も荒波の中を進んでいる。

多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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