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3月16日(土)、スーパーラグビーの第5節、サンウルブズはホームの東京・秩父宮ラグビー場に、同じオーストラリアカンファレンスのライバル、レッズを迎えた。
前節、接戦するものの敵地での連勝ならず1勝3敗となってしまったサンウルブズとしては、ホームに駆けつけた1万5000人あまりの観客の前で今シーズン初勝利を挙げたいところだった。
一方のレッズは開幕から3連敗中と低迷していたため、アウェイでの試合だが、何としても今シーズン初勝利を挙げたいところだった。
サンウルブズ、レッズの指揮官はニュージーランド出身であり、ともにニュージーランド出身の選手がいることもあり、キックオフ前に両チームの選手がグラウンド中央で一緒に輪を作って、前日にニュージーランドのクライストチャーチの銃乱射事件の犠牲者に対して黙祷が捧げられた。
またサンウルブズの選手たちは左腕に喪章の代わりに、黒いビニールテープを巻いて臨んだ。
アタッキングチームであるサンウルブズのスコット・ハンセンHC(ヘッドコーチ)代行は「サンウルブズのラグビーをすることが大事。ワイドでプレーすること、ボールを動かし自分たちのスキルを表現したい」と意気込んでいた。
前半はそれをまさしく実現したと言えよう。ボールを保持し、大きく動かし攻め込んでいたサンウルブズは前半12分、ハーフウェイラインあたりの左サイドでキャプテンCTB(センター)マイケル・リトルが抜け出し、FL(フランカー)ダン・プライアーがフォロー。
最後はSH(スクラムハーフ)ジェイミー・ブースに渡り左中間にトライ。名手SO(スタンドオフ)ヘイデン・パーカーもきっちりゴールを決めて7-0と先制に成功する。
18分、すぐにモールから相手に1本返されてしまったが、23分、左サイドで今シーズン初先発となったWTB(ウィング)ホセア・サウマキらで前に出て、相手のディフェンスを寄せて、そこから大きく右に展開し、今シーズン好調のNO8(ナンバーエイト)ラーボニ・ウォーレンボスアヤコがインゴールを陥れて14-5とする。
さらに攻撃の手を緩めないサンウルブズは37分、再び左サイドでWTBサウマキ、FB(フルバック)ジェイソン・エメリー、FLプライアーと細かいパスを見事につないでトライ。前半は結局21-5と16点リードで折り返した。
しかし、後半、最初のチャンスで得点を挙げられないでいると流れは一気にレッズに傾いてしまう。サンウルブズはスクラム、ラインアウトで劣勢であり、簡単なミスやペナルティも重なり、なかなか相手陣でボールを持ってプレーできなかった。
ディフェンスで耐えていたが、後半19分、ついに相手HO(フッカー)ブレンダン・パエンガ アモサにトライを許し、さらに21分にもボールをつながれてPRハリー・フーパートにトライを献上。さらに26分、FW周辺を攻められHOパエンガ アモサに再び、インゴールに押し込まれて、一気に21-26と逆転されてしまった。
しかし、29分、相手ミスからやっと敵陣に入ったサンウルブズは、初の試合となったNO8アマナキ・レレィ・マフィなどを途中から起用して攻めに転じる。
ラインアウトを起点に、そのマフィの突破からチャンスメイク。最後は同じく途中出場のSH内田啓介がピックアンドゴーからトライ。SOパーカーがゴールを決めて、28-26と再びリードする。
さらに33分、SOパーカーがPG(ペナルティゴール)を沈めて、31-26とリードを広げる。しかし、35分、サンウルブズはキックオフから簡単に途中出場のCTBフィリポ・ダウングヌに突破を許してしまい、自陣に攻め込まれてしまう。
そしてゴール前のラックでSH内田がキックをチャージされて、そのまま相手SHテイト・マクダーモットに左中間にトライを与えてしまい、31-31と同点にされてしまった。
さらに40分、再び攻め込まれてしまったサンウルブズは、自陣でペナルティを犯してしまい、PGを相手FBハミッシュ・スチュワートに決められて31-34で悔しい逆転負けを喫した。
レッズは今シーズン初勝利を挙げて勝ち点4を得て総勝ち点を5とした。一方のサンウルブズは敗れたものの、7点差以内の敗戦だったため、勝ち点1を獲得し総勝ち点を6とした。
そのため、オーストラリアカンファレンスでの順位は4位サンウルブズ、5位レッズと変わらなかった。
4戦目にして今シーズン初勝利を挙げたレッズのブラッド・ソーンHCはまず「前半はハードで、我々はリズムがまったくなかった。その点についてはサンウルブズが素晴らしく最初から全力でプレッシャーをかけてきました」とサンウルブズを称えた。
そして「私たちはハーフタイムを使い、改善を試しました。自分たちの強みでもあるセットプレーでいけるという気持ちになれば、心配はないと言いました。小さなことの積み重ねが試合を変えたと思います」と試合を振り返った。
効果的な突破を繰り返していたキャプテンCTBサム・ケレヴィは「前半はサンウルブズにエナジーを与えてしまい、プレッシャーを受けて受け身にまわってしまった」。
「後半、アタックもディフェンスも我々がどうプレーをすればいいのかということをハーフタイムで話をすることができ、我々のエナジーと本来持っているフィジカルを出すことができた。ハーフタイムで16点差だったと思いますが、勝利を勝ち取ることができたのはより嬉しく思う」と胸を張った。
サンウルブズのスコット・ハンセンHC代行は「レッズが後半勢いに乗ったプレーをして、プレッシャーをかけてきたことが大きかった。プレッシャーをうけてタックルでのミスや良い状況判断ができていなかった」。
「後半は苦しい展開となってしまいましたが、レッズが勢いに乗れたのはレッズがいいチームだからだと思います。彼らはいいプレーをしていました」と相手を称えた。
また、クライストチャーチ出身であるハンセンHC代行は前日の事件に関して問われて、目を赤くしながら「チームにもクライストチャーチ出身の選手が多くいますし、お子さんがいる関係者もいる。サンウルブズ代表として応援のメッセージを送りたい」。
「(2011年に)地震もありましたし、本当に今回の事件は辛かったと思います。こういう状況のなかでゲームができたということはとても幸せなことで、自分たちにとって何が大切なのかを強く感じました。いいラグビーをすることで皆さんに元気を送りたい」と気丈に話した。
キャプテンのCTBリトルに替わり、会見に出席したFBエメリーは「前半と後半でやろうとしていたディフェンスは一緒でした。タックルのところで何回かミスをしてしまい、そこから勢いをつけさせてしまった」。
「自分たちのやりたいラグビーができなかったし、レッズは自信を取り戻してしまいました。何回か判断のミスもしましたし、相手の強みであるセットピースでやられてしまった」と肩を落とした。
1勝4敗となってしまったサンウルブズだが、今後に向けてハンセンHC代行は「一貫性が重要ということです。(今日の試合では)頑張りすぎるところがありました。入らなくてもよい部分でラックに入って疲れてしまうなど、ブレイクダウンでも悪い判断だったところもあった」。
「試合に対する姿勢はよかったですが、もっとスマートに試合をすることが大切です。ディテールにもフォーカスし、他の選手を信じてプレーをすることでいい結果が出ます」と前を向いた。
レッズはこの後はホームに戻り、ブリスベンでブランビーズ、レベルズ(ともにオーストラリア)、ストーマーズ(南アフリカ)と3連戦。サンウルブズは、3月23日の第6節はホームのひとつであるシンガポールでライオンズと対戦する。
そして、オーストラリアに移動し、アウェイでワラターズ、レベルズと戦い、「BYEウィーク」(休みの週)を迎える。まずはBYEウィークまで勝利を積み重ねたいところだ。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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