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参入4年目のヒトコム サンウルブズがアウェイで歴史的白星を飾った。
日本を本拠地とするサンウルブズは、3月2日(土)の第3節、FMGスタジアム・ワイカトでニュージーランドカンファレンスの強豪で、過去に2度優勝を経験しているチーフスと対戦。
前半から攻守にサンウルブズが上回り、30-15で快勝。サンウルブズはアウェイ24戦目にして初勝利で、アジア圏外でも初の白星となった。
サンウルブズは、直前でベンチメンバー入りしていたLO(ロック)ジェームス・ムーアが体調不良のため、FL(フランカー)ダン・プライヤーに替わったが、先発15人中、12人が日本代表として2019年に出場する可能性がある選手で臨んだ。
一方、チーフスも東海大学4年で日本代表3キャップのWTB(ウィング)アタアタ・モエアキオラがベンチ入りした。
開幕から連敗の両チームだが、チーフスはアウェイでブランビーズに17-54と大敗していたが、サンウルブズはワラターズに30-31と接戦していた。それもあってか、試合は序盤から前節で好調だったサンウルブズのペースとなる。
「最初の20分が大事」とサンウルブズフィフティーンは試合に臨んだ。開始早々、現役オールブラックスのチーフスSO(スタンドオフ)ダミアン・マッケンジーのキックオフのミスがあり、サンウルブズはセンタースクラムとなる。
サンウルブズはチャンスを逃さず、スクラムを起点にLOヘル ウヴェが力強い突破で前進した後、ボールを右に展開して最後は右端のFL松橋周平に回して、松橋が右隅にトライ。名手SOヘイデン・パーカーのゴールも決まって7-0と先制に成功する。
5分にCTB(センター)シェーン・ゲイツが負傷して、フィル・バーリーに交替するアクシデントもあったが、6分に相手反則により、SOパーカーがPG(ペナルティゴール)を決めて10-0。
その後は互いに決め手にかける展開となるが、21分、相手のSOマッケンジーにPGを決められ、10-3。しかし、26分にPGを返して13-10と再び10点リードする。
そして23分、自陣25m付近のスクラムから大きく右に展開し、前節の「ベスト15」にも輝いたWTB(ウィング)ゲラード・ファンデンヒーファーが、右サイドを大きくゲインしチャンスメイク。
最後はLOトンプソン ルークにサポートされたLOウヴェがインゴール中央右に押さえてトライ、ゴールも決まって20-3。35分にはSOパーカーがPGを決めてアウェイのサンウルブズが23-3と大きくリードして前半を折り返した。
後半、ホームのチーフスも逆転を狙って積極的なラグビーを展開し、6分、ゴール前でSOマッケンジーがディフェンスラインの裏へキック。
そのボールをワンバウンドでキャッチしたCTBアレックス・ナンキヴェルがトライ、ゴールも決まって23-10と追い上げる。その後もチーフスが攻め続けるもサンウルブズが守り切ると、17分に相手のノータッチキックからチャンス。
右サイドでWTBファンデンヒーファー、NO8(ナンバーエイト)ラーボニ・ウォーレンボスアヤコ、再びファンデンヒーファーとつなぎ、そのまま走りきってトライ。ゴールも決まって、30-10と突き放した。
チーフスはペナルティをもらった後、PG狙わず攻め続けた。24分にはWTBエテナ・ナナイ セトゥーロが左隅にトライを挙げて30-15とする。
残り15分、チーフスはWTBモエアキオラを投入し猛攻を仕掛けるが、サンウルブズは、途中出場のFLダン・プライヤーがジャッカルを成功させるなど守り切って、そのまま30-15でノーサイド。
参入4年目のサンウルブズが、今季初勝利を挙げるとともに、アウェイ24試合目で嬉しい初勝利を飾った瞬間となった。サンウルブズは勝ち点4を獲得して総勝ち点を5とした。チーフスは勝ち点を挙げることができず、総勝ち点は1のままとなった。
3連敗してしまったチーフスのコリン・クーパーHC(ヘッドコーチ)は「とてもフラストレーションがたまる試合だった。前半はボールを奪えず、相手に先手を取られてしまった」。
「後半は修正できたが、それでも十分ではなかった。今は我々にとって厳しい状況にあるが結束していかなければいけない。先週の敗戦も辛かったが、今週も負けてしまった。もう一度、どうしてボールを失ったのか、ミスをしたのか見つめ直さないといけない」と話した。
アウェイで初勝利したサンウルブズのスコット・ハンセンHC代行は、「選手たちの努力を誇りに思う。日本のファンにとっても今日は素晴らしい勝利となった」。
「選手たちはサンウルブズのジャージを身に纏い、強豪チーフスに誇りを持って挑みました。今日の試合に勝利するという強い信念を持っていたこと、準備した戦略・戦術をしっかりと実行できたことが勝利の要因です」。
「今晩は勝利の余韻に浸りたいと思いますが、明日からは次のブルーズ戦に向けて勝利できるよう準備を始めます」と試合を振り返った。
CTBマイケル・リトル共同キャプテンは、「チーフスはフィジカルが強いチームなのでタフな試合ではありましたが、自分たちのフィジカルもたくましかったですし、メンタルも努力しました」。
「スピーティーなラグビーを展開することができてよかった。今日の結果は、自分たちのラグビーを信じてプレーした事で繋がったものだと思います」と胸を張った。
また、先制トライを挙げたFL松橋は、「今日の試合では個人的にもコンタクトの部分では相手より勝っていたと思います」。
「先週のワラターズ戦では1点差という惜しい負けとなりましたが、その結果が今週、チームにはポジティブに働き、いい形にまとまって常に全員が同じ設計図を見ることができました」とコメントした。
サンウルブズはSOパーカーが6本のプレースキックをすべて成功。122m走ったWTBファンデンヒーファーもチャンスメイク、トライと大活躍。LOウヴェもトライを挙げるだけでなく、ディフェンスではジャッカルを成功させて気を吐いた。20回のタックルをした37歳のLOトンプソンは80分間出場した。
CTBゲイツ、SH茂野海人のケガが気の状態が気になるところだが、次週もチーム一丸となって、アウェイの地で勝利を目指してほしい。
3連敗となったホームのチーフスは3月9日(土)の第4節、アウェイで同じニュージーランドのライバルである前年度王者のクルセイダーズと対戦する。
一方で歴史的勝利の勢いのままサンウルブズは同日、オークランドのQBEスタジアムでニュージーランドのブルーズと対戦し、アウェイで初の連勝を狙う。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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