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1月12日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、第55回目のラグビー全国大学選手権の決勝が行われる。
準決勝で帝京大学の連覇を止めた関西王者・天理大学は、昨年度準優勝の明治大学(対抗戦3位、4位扱い)と対戦する。天理大にとっては、2011年度以来、2度目の決勝進出となった。
なお、天理大は今シーズン練習試合で2度、明治大と対戦し、5月に24-17、8月には24-19で勝利している。
まず簡単に、1月2日の大学選手権9連覇中の帝京大(関東対抗戦1位)との準決勝を振り返っておきたい。
前半6分に帝京大はSO(スタンドオフ)が脳しんとうの疑いあるために交替し、攻撃にリズムがでない。
その隙を見逃さず、「前半最初からフィジカルにいこう」とHO(フッカー)島根一磨主将ら天理フィフティーンは、その積極的にアタックを仕掛ける。
前半11分、ボールを広く動かしてエースWTB(ウィング)久保直人(4年)が右端にトライ。
さらに19分、天理大が自慢のFW(フォワード)が武器であるスクラムを押し込んで、相手が故意に崩したということで、ペナルティトライの判定で12-0とした。
その後は帝京大の攻撃を、粘り強いディフェンスで守り切り、そのまま、12-0とリードして折り返した。
後半4分、選手交替も使って、ギアを入れてきて帝京大にトライを許し12-7と5点差に迫られる。
ただ、天理大の運動量は落ちることなくタックルを繰り返し、スクラムでは相手を圧倒して、後半だけで4度のペナルティを誘い、ゲームの主導権を握る。
13分には、プレー中からモールを組んで、CTB(センター)シオサイア・フィフィタ(2年)がトライを上げて19-7。
19分にはスクラムを起点に攻撃し、WTB久保が抜け出して、最後はNO8(ナンバーエイト)ファウルア・マキシ(4年)が中央にトライを挙げて26-7。
29分、SO松永拓朗(2年)のPG(ペナルティゴール)で勝負を決めた。最後まで天理大の守りは堅く、そのまま29-7で勝利。天理大が3度目の挑戦で初めて帝京大に勝ち、7年ぶり2度目の決勝進出を決めた。
1月12日の決勝の相手は、昨年度準優勝の明治大との対戦となった。天理大としては、基本的に関西リーグ、そして大学選手権での戦い方を踏襲するはずだ。
天理大は外国人留学生やWTBの突破力に目が行きがちだが、「ディフェンスのリアクションがチームカラー」とWTB久保が言うように、今シーズンの天理大は15人一体となった守備を軸に戦っており、最多失点は19点と堅守が光る。
もちろん、8人一体となって低く組むスクラムも大きな武器となっている。関西リーグでは京都産業大学、大学選手権の準々決勝では大東文化大学のスクラムにも打ち勝ち、プレッシャーをかけて主導権を握った。
決勝戦でもディフェンスとスクラムで、相手にプレッシャーをかけることができれば、おのずとトライも生まれて勝利に近づくはずだ。
恐らく、天理大メンバーは、帝京大戦と大きな変更はないだろう。FW(フォワード)はキャプテンHO島根一磨を筆頭に、PR(プロップ)加藤滉紫(ともに4年)、PR小鍛治悠太(2)がスクラムを支える。
控えに入るでだろうPR山川力優(3年)、谷口祐一郎(2年)もスクラムが強い。LO(ロック)は由良祥一(4年)、アリペリ・モアラ(1年)、
バックローは、アタックで光る日本代表2キャップのNO8モアラ、そして機動力が武器のFL(フランカー)岡山仙治(3年)と佐藤慶(4年)の2人がタックルを繰り返す。
BK(バックス)は昨年からハーフ団を組んできた2年生のSH藤原忍、SO松永拓朗がチームの中心だ。中盤では縦に強いCTBフィフィタ(2年)、CTB池永玄太郎(4年)の2人が存在感を見せる。
バックスリーにも決定力に長けたWTB久保、中野豪(4年)の2人がおり、後ろからFB(フルバック)立見聡明(3年)がゲームコントロールする。
天理大の小松節夫監督は「優勝目指してやってきているので、決勝は一番いい試合をできるよう準備したい」と冷静に語った。
HO島根キャプテンは「目標は日本一なのでそれに向けて全力でひたむきに行きたい」と語気を強め、WTB久保は「個人としは相手のBKに負けたくない。準優勝と優勝では重みが全然違います。勝ち切って優勝したい」と意気込む。
1月12日(土)の大学選手権決勝。天理大が1925年のラグビー部創部以来初、そして関西勢としては、1984年の同志社大学以来の大学王者に輝くことができるか。
◆ラグビー全国大学選手権決勝
・1月12日(土)午後4:30 天理大学 vs. 明治大学
※J SPORTS 2で放送、J SPORTSオンデマンドで配信
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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