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1月3日(木)、大阪・東大阪市花園ラグビー場では「花園」こと、全国高校ラグビー大会の準々決勝の4試合が行われた。
関西勢の4校が登場したこともあり、2試合目には約2万人と大勢の観客が集った。
4試合とも実力伯仲の好ゲームとなったが、東福岡、大阪桐蔭、桐蔭学園のAシード3校が勝利し、さらに流通経済大柏が逆転勝利し、千葉県勢としては初のベスト4に進出した。
準決勝1試合目は、Aシードの東福岡とBシードの長崎北陽台の九州勢同士の対決だった。
試合開始早々の前半2分、7分、東福岡は持ち前のグラウンドを広く使ったラグビーで、FB(フルバック)古里樹希(3年)、WTB(ウィング)志氣陸王(2年)がトライを挙げて、14-0でリードする。
だが、長崎北陽台も主将のNO8(ナンバーエイト)山添圭祐を中心に粘り強い守りを見せて追加点を許さない。さらに後半、FW(フォワード)戦で上回り、山添主将がトライを挙げて14-7と追い上げを見せる。
だが、そこから王座奪還を目指す東福岡は本領を発揮。モールやキックも巧みに使いつつボールを展開し、WTB志氣がハットトリックを見せる活躍もあって、4トライを重ねて40-12で勝利した。
2試合目は近畿大会の決勝の再戦となり、Aシードの大阪桐蔭にBシードの報徳学園がチャレンジした。
6分、大阪桐蔭のFL(フランカー)奥井章仁(2年)がフリーキックから持ち出しトライ。そこからFWの圧力で上回る大阪桐蔭ペースとなり、さらに3トライを重ねた。
29分、報徳学園はやっとFL小山健太(6年)が1トライを返して、26-7で前半を折り返した。
後半もやはり、大阪桐蔭ペースは変わらず、2分、11分と連続攻撃からPR(プロップ)江良颯(2年)が飛び込み、38-7と大きくリードを広げた。
ロスタイム、報徳学園もFB山田響(2年)らの意地の2トライを挙げたが、試合は大阪桐蔭が38-17で快勝した。
3試合目はAシードの選抜王者・桐蔭学園と、Bシードの選抜大会ベスト4の天理の激突となった。ともに体格の大きなチームではないが、スキルと展開力があるチームだけに、試合序盤からボールが動いた。
桐蔭学園がSO(スタンドオフ)津田貫汰(3年)のPG(ペナルティゴール)で先制したが、前半は点の取り合いとなる。
4分、7分に天理がトライを挙げるが、16分、桐蔭学園はボールを大きく動かしWTB佐々木隼(3年)がトライ。さらに両チームともにトライを挙げて、前半は天理が19-20で折り返す。
後半はAシードの桐蔭学園が実力を発揮し、ボールを継続。3,8分にWTB佐々木、WTB西川賢哉(2年)の両翼がトライを挙げるなどして、37-19と大きくリード。
天理も伝統のフラットパスを使い2トライを返すが、26分に1年生NO8佐藤健次が、力強い突破からトライを挙げた桐蔭学園が44-29で勝利した。
4試合目は夏の7人制大会王者の流通経済大柏と、優勝5回を誇る常翔学園というBシード同士の激突となった。
前半は常翔学園がディフェンスでプレッシャーを与えて、攻撃でもFW、BK(バックス)が一体となって前に出ると、4分にはWTB高井優志、18分にはCTB(センター)北田駆(ともに3年)がトライを挙げて、14-0で折り返す。
後半は流通経済大柏もボールを大きく展開し、徐々にリズムをつかむが、なかなかゴールラインを超えることができない。
だが17分、相手のパスをインターセプトしたWTB永山大地(3年)が、トライを挙げて5-14と追い上げる。
さらに22分、モールを押し込み、最後は右に展開し、CTB土居大吾(3年)がトライを挙げて12-14と、2点差に追い上げる。
勢いに乗る流通経済大柏は26分、相手ペナルティからPGを狙わず、タッチに出してモールを選択。最後はHO(フッカー)作田駿介(2年)が押さえて、ついに19-14と逆転に成功。
残り5分はしっかり守り切って、流通経済大柏が、19-14で逆転勝利を飾った。流通経済大柏は26回目の同校史上、そして千葉県勢として初のベスト4進出を決めた。
◆1月3日(木)準決勝結果
☆:Aシード ★:Bシード
☆東福岡(福岡)40-12 ★長崎北陽台(長崎)
☆大阪桐蔭(大阪第3)38-17 ★報徳学園(兵庫)
☆桐蔭学園 44-29 ★天理(奈良)
★流通経済大柏(千葉) 19-14 ★常翔学園(大阪第1)
こうして準決勝に進出する4校が決まった。Aシード3校が揃って準決勝に駒を進め、ベスト関東勢が2チーム残ったのは6シーズンぶりのこと。
激闘が終わり薄暗くなった花園ラグビー場で、ベスト4に残った4校のキャプテンにより抽選が行われ、準決勝の組み合わせは下記のようになった。
◆1月5日(土)準決勝組み合わせ
12:45 ☆大阪桐蔭(大阪第一)vs.★流通経済大柏(千葉)
14:30 ☆東福岡(福岡)vs.☆桐蔭学園(神奈川)
1試合目はAシードの悲願の初優勝を目指す大阪桐蔭に、初のベスト4進出となった流通経済大柏がチャレンジする。
BKのタレントや展開力は互角なだけに、やはりFL奥井ら大阪桐蔭のFWの圧力を、PR葛西主将を筆頭に流通経済大柏のFW陣が止めることができるかが、鍵を握ることになろう。
大阪桐蔭は準決勝同様にFWがしっかり前に出て、トライを重ねて主導権を握りたいところだ。流通経済大柏としては接戦に持ち込み、モールからの攻撃や決定力のあるBK陣でチャンスにしっかり得点を挙げたい。
2試合目は王座奪還をもくろむ東福岡と、初の単独優勝を狙う桐蔭学園というAシード同士の対決となった。
今年度の選抜大会では桐蔭学園が40-34で勝利しているように、ともにボールを継続し、ボールを大きく動かし、トライを狙う攻撃的なスタイルの両チームだけに、トライの取り合いになりそうだ。
桐蔭学園としては主将のSH(スクラムハーフ)小西泰聖(3年)、SO津田がしっかりゲームコントロールして、FWとBK一体となってスペースを突いてトライを重ねたい。
東福岡としてはFW、BK関係なく、ランとパスで走りきって両翼の高本とむ、志氣という2年生WTBにいい形でボールを集めたいところ。
今年度の花園もいよいよ残り2日となった。1月5日(土)の準決勝を経て、1月7日(月)の決勝に進む2チームはどこになるだろうか。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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