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ラグビー コラム 2018年12月25日

桐蔭学園、初の単独優勝を目指す東の横綱。全国高校ラグビー大会のみどころ

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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12月27日(木)から、大阪・東大阪市花園ラグビー場で始まる「花園」こと、第98回全国高校ラグビーフットボール大会。

優勝候補の一角を占めるのは、Aシードの桐蔭学園(神奈川)だろう。前回大会は準決勝で惜しくも大阪桐蔭(大阪)に敗れたが、今春の選抜大会ではその大阪桐蔭にリベンジし、2連覇を達成している。

昨年度のチームは桐蔭学園にしては珍しく、大きなフロントローがウリのチームだった。

大東文化一(東京)で花園の優勝を経験、日本体育大学を経て、2002年から監督となって15年目を迎えている藤原秀之監督。

15年目の藤原秀之監督

「(昨年度)FW(フォワード)に頼ってしまった部分を反省点として練習してきました。15人でボールを動かすということを前提にやってきました」と語る。

「サイズが大きくないため、ボール扱う球技を全面に出すラグビーをしていきたい」(藤原監督)と、新チームになってからは1月、2月はキャッチ、パスといった基本練習に時間を割いたという。

その成果はすぐに春の選抜大会に結果として出た。FWとBK(バックス)一体となってボールを大きく展開するラグビーを見せて、決勝で大阪桐蔭を29-14で破った。

藤原監督は初戦(2回戦)に関しても「本郷(東京第2)はOBががんばっていますが、2年生チームだから少々厳しいかな。花園の尾道(広島)も侮れない」と決して先をみることはない。

また、同じAシードのライバル・大阪桐蔭に関しての印象を聞くと「対戦するかはわからないですが、間違いなく頭1つ2つ抜けているチームだということもコーチ陣も選手たちも十分理解しています」。

「どこのチームが来ても1戦1戦、勝ちを拾えるような試合をしていきたい」と意気込む。

ユース五輪にも参加したSH小西主将

桐蔭学園の主将は、指揮官が「将来は日本代表として桜のジャージーを着てほしい」と期待をかける、SH(スクラムハーフ)小西泰聖(3年)である。

SH小西は10月には、ブエノスアイレスで行われたユース五輪で、南アフリカを2度破り、日本代表の銅メダル活躍にも貢献し「初めての日本代表だったのでいい経験になりました」と語る。

スピードとボール裁きに定評のある小西は、昨年は2年生ながら先発としてチームを引っ張った。しかし、準決勝では64フェーズ重ねたが、あと5点、1mが届かなかった。

「チームとして悔しかったですが、個人としてはSHとしてゲームを最後のボールをうまくコントロールできなかったことには、自分の力のなさを感じました」。

新チームにあたり、小西ら3年生は今シーズンのスローガンを「磨」と定めた。小西は「先輩たちが『礎』(昨年のスローガン)を作ってくれて優勝への道のりを示してくれたので、それを磨くという意味で『磨』としました」。

「このスローガンを掲げたので、この1年は身体づくりやフィットネス、ボールさばきやハンドリングスキルなど、しっかり準備してきてやってきたので、優勝したい」と腕をぶした。

主将としてSHとして個人としての意気込みも聞くと、「SHというポジションなので、FWとBKにバランスよくボールを捌くのが仕事の1つです」。

「また、キャプテンとして負けている一番きつい時間帯にいかにチームを盛り上げられる声を出すか、かつ冷静にプレーすることを求められていると思います」と冷静に語った。

桐蔭学園はAシードらしく、小西を筆頭に選抜決勝でハットトリックを達成したPR(プロップ)鈴木康平、突破力が武器のHO(フッカー)紀伊遼平、CTB(センター)からコンバートしたFL(フランカー)伊藤峻祐、運動量豊富な今野勇久。

さらにゲームコントロール光るSO(スタンドオフ)津田貫汰、決定力の高いWTB(ウィング)佐々木隼(いずれも3年)、冷静なプレーが光るFB(フルバック)伊藤大祐(2年)と、8人が高校日本代表候補に選出されているが、もう1人注目のルーキーがいる。

1年生NO8佐藤

予選決勝でも1年生ながら唯一の先発として躍動したNO8(ナンバーエイト)佐藤健次だ。身長175cm、体重93kgの恵まれた体格で、突破力が武器とする。

佐藤は、中学時代は横浜ラグビースクールを太陽生命カップで優勝に導いた主将でエースWTBだった。

小学校時代まで高崎ラグビークラブに在籍していたこともあり、ラグビースクールの先輩のPR/HO堀越康介(サントリー/日本代表)やFL高橋広大もプレーし、「憧れていた」という桐蔭学園に進学する。突破力を見いだされて、高校に入るとすぐにFW第3列にコンバート。

「中学時代はWTBでしたが、プレー自体はFWみたいなプレーをしていたので、あまり抵抗はなかったです。セットプレーはあまりやったことがなかったので大変ですが、FWの楽しさを見つけました」(佐藤)。

3年生が多い中、1年生としてプレーする苦労はないという。「周りの選手がすごい人たちばっかりなので、試合中は気が楽ですし、『次はこうしよう!』と励ます声をかけてくれるので、リラックスしてプレーできています」と満面の笑顔を見せた。

「突破力をアピールしていきたい!」という佐藤は初の花園に向けて、「96名の部員がいる中で、1年生で出られることは嬉しいです。先輩、後輩に関係なく、自分の強みをアピールして、全国優勝に向けて 少しでも力になれればと思っています」とまん丸い目を輝かせた。

選抜大会との2冠、そして初の単独優勝が期待されている桐蔭学園の藤原監督。

「私も金子(俊哉FWコーチ)も花園で優勝を経験しているので、選手たちにも単独優勝してもらいたい」と言えば、キャプテンHS小西も「花園で単独優勝するという目標は、この1年ずっとぶれていないです」と語気を強める。

東大阪市花園ラグビー場が、2019年ラグビーワールドカップのために改修された。今年こそ「東の横綱」が、前評判通りに栄冠に輝き、桐蔭学園ラグビー部、そして新しい花園に歴史を刻むことができるか。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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