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ラグビー コラム 2018年12月19日

東海大学「シーゲイルズ」、悲願の初優勝を目指す。ラグビー大学選手権

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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昨シーズンは関東大学リーグ戦2位、大学選手権ベスト4だった「シーゲイルズ」こと、東海大学ラグビー部。

今シーズンのリーグ戦は、流通経済大学に引き分け(33-33)たものの、最終戦の大東文化大学に28-21で勝利。5勝1分で東海大は2年ぶり8度目の関東大学ラグビーリーグ戦王者となって大学選手権に駒を進めた。

そして、12月22日(土)大阪・キンチョウスタジアムで、昨年度準優勝の明治大学(関東大学対抗戦同率3位/4位扱い)と激突する。

東海大の今シーズンのスローガンは、昨年度同様「力必達」だが、リーグ戦優勝、大学日本一という目標を達成するために、小さなことを積み重ねることを「Marginal Gain」という言葉で表現し、大事にしてきた。

春季大会Aグループでは、東海大は苦しんでいた。ケガや教育実習などの理由で中軸選手がメンバー入りすることができず、1勝4敗で6校中、5位に沈んだ。

見事にV字回復してリーグ戦王者に輝いた

ただ、アグレッシブな司令塔SO(スタンドオフ)丸山凜太朗(東福岡出身)、豪快なランが魅力のWTB(ウィング)望月裕貴(東海大静岡翔洋出身)ら1年生が試合に出場して経験を積んだことは大きかったと言えよう。

ようやく夏合宿からメンバーが整い出して、チーム練習をすることができるようになった。

木村由李監督は「夏からそれなりの選手が戻ってきた。若いチームですし、経験値もないので伸び盛りです」と言ったとおりのV字回復を見せ、開幕から無敗(4勝1分)で最終戦を迎える。

モエアキオラ主将(右)と加藤副将(左)がチームを引っ張る

11月25日、優勝が決まる決戦は、昨年の王者で5連勝中と好調の大東文化大との対戦となった。

東海大はこの試合は、ほぼベストメンバーを組むことができ、木村監督が「ようやく役者が揃ったので、このくらいやってもらわないといけない」というように、試合序盤から高いパフォーマンスを発揮した。

FW(フォワード)は、17トライを挙げてトライ王に輝いた副キャプテンHO(フッカー)加藤竜聖、FWリーダーFL(フランカー)西川壮一、突破力のあるNO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフと4年生が中軸を占める。

BK(バックス)は来年、チーフス入りが決定しているキャプテンCTBアタアタ・モエアキオラこそ4年生だが、SH(スクラムハーフ)山菅一史、インサイドCTB(センター)眞野泰地という身体を張る2人は3年。

1年生WTB望月、ベスト15にも選出

また、この試合がデビュー戦となったWTB(ウィング)杉山祐太が2年、SO丸山、WTB望月、FB(フルバック)酒井亮治(東海大相模出身)の3人がルーキーという若いメンバーだった。

大東文化大戦では、要所でNO8タタフ、CTBモエアキオラが活躍し、SO丸山のゲームコントロール、WTB杉山のキックも冴えて、最後はモールからHO加藤がトライを挙げて、前評判の高かった大東文化大を28-21で破った。

木村監督は「リーグ戦は単なる通過点ではない。勝って、しっかり次にいけた。ペナルティが多く、スクラムが劣勢だったが通用しているところで、落ち着いて勝負した。緊張感のある試合を勝ち切れたところが大きかった」と手応えを感じる試合となった。

リーグ戦王者となったことで、リーグ戦の最終戦から4週間空いて、12月22日(土)、大学選手権を迎えることになった。「トップリーグの仲のいいチームといろいろやりたい」(木村監督)というように、社会人の胸も借りて調整してきた。

モールが最大の武器だ

大学選手権でもまず、4年生が揃うFWでプレッシャーをかけて、タレントの揃うBK陣で取り切りたいところ。また、強みのモールからもトライを挙げたい。

目黒学院時代から活躍してきたタタフ、モエアキオラは、来年は別のチームに進む予定で、大学選手権がひとまず、同じジャージでプレーする最後の大会となるだけに、2人の爆発力にも期待したい。

木村監督は「最初から大学選手権をターゲットにしているので、いままでやってきたチーム作りをブレずにやっていきたい」としっかりピークを合わせてくるだろう。キャプテンのCTBモエアキオラは「日本一に向けてがんばる」と意気込んだ。

思えば、2009年度の大学選手権決勝、帝京大学が初優勝したときの相手が東海大だった。過去9年間で3度、決勝で帝京大に挑むも、3度とも涙を呑んだ。

今年こそ、準々決勝で対戦する難敵・明治大学を破って勢いに乗り、シーゲイルズは悲願の初優勝なるか。メンバーも揃ってきた。そのポテンシャルは十分にあろう。

◆ラグビー全国大学選手権 準々決勝
・東海大学 vs. 明治大学
※12月22日(土)午後4:30からJ SPORTS 1で放送
※12月30日(日)午後5:00からJ SPORTSオンデマンドで配信

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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