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ラグビー全国大学選手権は、12月22日(土)の準々決勝からシードされていた各リーグの王者が登場する。
大阪・キンチョウスタジアムでは、関西大学ラグビーAリーグで3年連続10回目の優勝を果たした天理大学が、大東文化大学(関東リーグ戦2位)の挑戦を受ける。
「一手一つ」をスローガンに掲げる天理大の強さは、今年も春から関西では際立っていた。5月の招待試合では24-17と明治大学を下し、筑波大学には敗れたが、関西の春季トーナメントでは同志社大学を破って優勝。
さらに8月の練習試合では、再び明治を24-19で下し、リーグ戦王者となった東海大学にも42-38と勝利した。V9中の帝京大学にこそ、12-14と勝てなかったが関東の強豪と互角、いやそれ以上の戦いを見せた。
そして迎えた関西大学Aリーグ。開幕戦で関西大学を116-7で下して勢いに乗ると、春から調子の良かった同志社大を59-0で完封。
そのまま連勝街道をひた走り、優勝がかかった最終戦の京都産業大学戦も前半こそ14-12と競るが、後半は天理大の攻撃力が爆発し、計10トライを挙げて70-12と圧勝。
1試合平均68得点、9失点という実力を見せつけて、7戦全勝で3年連続10度目の関西王者に輝いた。
トンガ人留学生もおり、アタック力に注目されがちだが、スクラムも強く、キャプテンHO(フッカー)島根一磨(4年)が「ディフェンスのリアクションを持ち味にしている」と言うとおり、今年はディフェンスも堅固だ。
相手を零封した試合も2試合あり、多くても失トライは3と関西リーグ戦を通してディフェンスは安定していた。
今年の天理大は、ほぼメンバーを固定して戦っていた。まずはFW(フォワード)から見ていくと、キャプテンHO島根がリードし、左PR(プロップ)加藤滉紫(4年)、右PR小鍛治悠太(2年)がスタメンを張り続けている。
控えにもU20日本代表のPR谷口祐一郎(2年)、PR山川力優(3年)がおり、スクラムは大学随一の強さを誇る。
バックファイブもLO(ロック)は由良祥一(4年)、アリペリ・モアラ(1年)のコンビ、FL(フランカー)はU20日本代表で主将を務めたFL岡山仙治(3年)、佐藤慶(2年)の運動量豊富な2人。
NO8(ナンバーエイト)はサンウルブズの練習生にも選ばれた突破力に長け得た、FL/NO8ファウルア・マキシ(4年)と多士済々。
そしてチームを引っ張るのが、昨年度、1年生ながらスタメンに抜擢されて起用され続けた2人、SH(スクラムハーフ)藤原忍、そしてSO(スタンドオフ)松永拓朗(ともに2年)だ。
経験も積んできた。スピードのある藤原、ゲームコントロールに長けておりプレースキックも務める松永の出来が勝負に直結するだろう。
ミッドフィルダーで、ボールキャリア&タックラーとして存在感を示しているのがCTB(センター)シオサイア・フィフィタ(2年)、CTB池永玄太郎(4年)の2人。
また、バックスリーにもWTB(ウィング)中野豪、久保直人(ともに4年)、野田涼太(2年)、FB(フルバック)立見聡明(3年)とスピードのあるランナーが並ぶ。
いずれにせよディフェンス、スクラムでプレッシャーをかけて、LOモアラ、NO8マキシ、CTBフィフィタが突破力を活かしチャンスを作り、バックスリーで仕留めるのが天理大の形だ。
初戦となる準々決勝で対戦する大東文化大は、留学生たちの突破力が武器で、スクラムも強いと天理大と似たカラーのチームだが、ディフェンスや接点でのリアクションで上回り、ペースを握りたい。
昨年度の大学選手権は、今年度と同様に初戦となった準々決勝で、関東リーグ戦2位の東海大と対戦し、7-33で敗れてしまった。
ただ、1年前に苦い経験をしているだけに、今年度は小松節夫監督やコーチ陣はしっかりとピークを合わせてくるはずだ。
小松監督は「関西から30年以上出ていない日本一」を目標に、大学選手権で勝つことを想定して、この1年を戦ってきた。
また、HO島根主将は「関西の代表として1戦1戦、目の前の試合を戦い、目標の日本一に向けて頑張っていきたい」と言うように、ベスト8に唯一残っている関西勢の意地を見せたい。
前評判通りの実力を発揮して関西王者に輝いた「黒衣軍団」が、今年度こそ、準々決勝を突破し、勢いに乗って初の大学日本一まで駆け上がることができるか。
◆ラグビー全国大学選手権 準々決勝
・大東文化大学 vs. 天理大学
※12月22日 (土) 午後6:30からJ SPORTS 1で放送
※12月30日(日)午後7:00からJ SPORTSオンデマンドで配信
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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