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19年ぶりの日本一を目指した中での対抗戦、慶應義塾大学は12月1日に全日程を終了、5勝2敗の3位で終えた。
開幕戦の日本体育大学戦から3連勝。結果としては上々の滑り出しに見えたが、収穫も課題も明確になった3戦だった。
アタックの部分ではFW(フォワード)とBK(バックス)が一体となり充実したプレーを展開。しかし、筑波大学戦では後半に自陣にくぎ付けにされるなど、「慶大らしいラグビーを継続する」ことができない場面も見られた。
ビッグゲームと位置付けた3戦は、いずれも接戦となった。帝京大学戦は、前半こそリードを許したが、後半に怒とうの巻き返し。
今年も王者の背中を捉えかけたが、終盤のセットプレーのミスが響き、5点差での惜敗を喫した。しかし、後半は無失点に抑え込むなど、より前に接点を作るディフェンスに手応えを得た試合となった。
続く明治大学戦では、一進一退の攻防の中で慶大のブレイクダウンでの強さが光った。高い位置で相手にプレッシャーをかけることで、要所でペナルティを誘発。
終盤に逆転を許したものの、慶大が終了間際にNO8(ナンバーエイト)山中侃(商4・慶應)のトライで劇的勝利を収めた。今季公式戦無敗だった明大に初めて土をつけたことで、対抗戦優勝へと望みをつないだ。
勢いをつけて臨んだ伝統の早慶戦。8年ぶりの対抗戦での勝利を目指したが、早稲田大学のディフェンスに封じ込まれた。
常にリードを許して追う展開。終盤には大きなチャンスも迎えたが、プレッシャーを受けて、インゴール目前で痛恨のノックオンを犯してしまった。2敗目を喫した慶大は、ここで対抗戦優勝の可能性が消滅した。
最終戦となった青山学院大学戦では修正力を見せ、98-17の圧勝。5勝2敗で全日程を終え、早明戦の結果により、明大と並んで3位で対抗戦を終えた。
今季目立っているのは、FW陣の活躍だ。昨年の主力から大きく顔ぶれが変わった。
だが、副将のLO(ロック)辻雄康(文4・慶應)を中心に、チームトップのトライを挙げているFL(フランカー)川合秀和(総3・國學院久我山)、明大戦で逆転トライを決めたNO8山中といった選手が、コンスタントに結果を残している。
また、LO相部開哉(経2・慶應)、FL山本凱(経1・慶應)といった若い戦力のフィジカルの強さも光るなど、昨年に劣らぬFW陣が形成されている。
一方のBK陣では、WTB(ウィング)丹治辰碩(政4・慶應)の復調が日本一へのカギを握ると言える。
明大戦、早大戦ではスターターから外れていたものの、青学大戦ではスターターに復帰。しかし、未だ本領発揮とは言い難いプレーが続いており、彼の爆発的なプレーが慶大を推進力となることを期待したいところだ。
司令塔であるSO(スタンドオフ)古田京主将(医4・慶應)は、今季コンバージョンの成功率が驚異の95%を誇る。
僅差の試合では、古田のキックが明暗を分ける可能性も十分あるだろう。もちろん、ゲームメイクという点でも持ち前の的確な判断は健在。試合をコントロールし、慶大の流れを呼び込みたいところだ。
チームを指揮する金沢篤HC(ヘッドコーチ)も、今年は就任4年目のシーズン。今年の選手はみな、金沢HCのもとで日本一を目指してきた。
ある時、WTB宮本瑛介(経4・慶應)が金沢HCについてこんなことを話していた。「本当にクールな方です。ですけど、この4年間でまだ取り乱すほど喜んでいるところを見たことがない。いつかは僕たちが勝って、HCが取り乱すくらい喜ばせたいなとも思います」。
ともに歩んできたからこそ、勝利の喜びを届けたい。この3年間で果たせなかった日本一という悲願。固い絆で結ばれた今年のチームの集大成にも期待したい。
大学選手権の初戦は、関西大学リーグ3位の京都産業大学との対戦だ。まずは内容も伴った勝利を収め、次のステージへと駒を進めたいところ。
その先に待つ早稲田大に対抗戦のリベンジを果たすためにも、勢いをつけていきたい。いよいよ始まる日本一への戦い。本当の勝負はここからだ。
文:重川航太朗/写真:重川航太朗、竹内大志、田中壱規(慶應スポーツ新聞会)
◆ラグビー大学選手権3回戦
・12月16日(日)午前11:55 慶應義塾大学 vs. 京都産業大学
※J SPORTS 1で生中継、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信
慶應スポーツ新聞会
慶應義塾大学文化団体連盟所属の公認サークル。通称ケイスポ。全40ある体育会の取材から記事の執筆、年7回の新聞製作まで全て学生の手で行う塾内唯一のスポーツ新聞サークル。部員数約50名、35年の歴史を持つ。»慶應スポーツWebサイト
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