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次こそ『重戦車』を止める――。そう意気込んで臨んだ後半戦。流れが変わったのは後半11分のことだった。前半の終盤同様にスクラムからじりじりと攻められた早大。
自陣22mライン直前の早大のペナルティに対しても、明大はスクラムを選んだ。インゴール手前でのスクラムという危機に追い込まれた、その時だ。
「スクラムを選択されて悔しい気持ちもあったので、そこでエネルギーがマックスになった」(プロップ鶴川達彦、文構4=神奈川・桐蔭学園中教校)と、早大のFW陣が奮起。
より低い位置でスクラムを組み、明大のコラプシングを誘発したのだ。帝京大戦までマイボールスクラムの成功率98%と、驚異的な強さを誇る『重戦車』を止めて見せた。
FW陣の健闘にBK(バックス)陣も勢い付く。直後に「外にスペースがあるのが見えていた」と、CTB(センター)中野将伍(スポ3=福岡・東筑)が相手のギャップを突いてディフェンスラインを豪快に突破しトライ。
その後も自陣深くから1人で相手陣まで駆けるビッグゲインでチャンスを演出し、その数分後にはまたもカットインからインゴールを叩き割るなど、獅子奮迅の立ち回りを見せた。
その後はBKのコミュニケーションミスなどによる2つの失トライで、あわや逆転という点差まで詰め寄られるが、粘りのディフェンスを発揮。
意地を見せる明大の16フェーズ目で丸尾崇がボールに絡み、ペナルティを奪うと31-27でノーサイド。6勝1敗で8年ぶりとなる対抗戦優勝を決め、選手たちは一斉に喜びを爆発させた。
「僕たちの本当の目標は『荒ぶる』なので、ここから一番のスタートを切らなくてはいけない」と、FL(フランカー)佐藤真吾主将(スポ4=東京・本郷)は試合後も緊張を緩めなかった。
確かに好機で規律を守り、相手の強みを発揮させない立ち回りはできたものの、終盤にディフェンスラインを簡単に突破されてしまったことは、早大にとっては懸念材料として残ることだろう。
勝って兜の緒を締めよ。対抗戦に優勝を果たしてなお、全国大学選手権制覇へ向けて気を緩めない早大。100周年という節目の年に10年ぶりの『荒ぶる』を歌い、新時代を築けるか。早大の真の挑戦が、今始まる。
文:坂巻晃乃介/写真:元田蒼、萩原大勝(早稲田スポーツ)
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