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ラグビー日本代表(世界ランキング11位)は11月17日(土)に「聖地」トゥイッケナムスタジアムで行われるイングランド代表(同4位)戦に向けて、先週からイギリスで練習を重ねている。
今週はスタジアムに比較的近い練習場に場所を移し、対イングランドということでセットプレーやオールブラックス戦の課題として出たブレイクダウンなどに重点を置き、トレーニングに汗を流してきた。
11月14日(水)の練習はメディア非公開、15日(木)も午前中の練習は戦術確認の練習が多かったため、急遽、非公開で行われた。イギリスメディアに対して警戒しての措置だったという。
現にグランドの回りは2mの壁で囲まれていた。これは日本代表同様、11月のテストマッチシリーズにおいてアウェイで、イングランド代表と戦うオールブラックスやオーストラリア代表と協力して建てたものだという。
15日(木)の午前中の練習後、日本代表を率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)からイングランド代表戦の登録メンバー23人が発表された。2週間前のオールブラックス戦から6人の先発が入れ替わった。
FW(フォワード)は具、西川らが、BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)田中、WTB(ウィング)山田、CTB(センター)トゥポウらが先発。キャプテンはFL(フランカー)リーチが務める。
「日本代表の7番は全員小さいが、タフに戦ってもらう。ベンチにFWが6人いる。イングランド代表は思いきり当たってくるから、エナジーが必要だ」(ジョセフHC)。
◆先発登録メンバー23名
※( )は所属とキャップ数
【FW】
稲垣啓太(パナソニック、23)、坂手淳史(パナソニック、11)、具智元(ホンダ、5)、ヴィンピー・ファンデルバルト(NTTドコモ、7)、ヘル ウヴェ(ヤマハ発動機、10)、リーチ マイケル(東芝、57)、姫野和樹(トヨタ自動車、10)、西川征克(サントリー、1)
【BK】
田中史朗(パナソニック、68)、田村優(キヤノン、52)、中村亮土(サントリー、14)、ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ、12)、福岡堅樹(パナソニック、28)、ウィリアム・トゥポウ(コカ・コーラ、4)山田章仁(パナソニック、24)
【控え】
庭井祐輔(キヤノン、7)、山本幸輝(ヤマハ発動機、5)、ヴァル アサエリ愛(パナソニック、4)、アニセ サムエラ(キヤノン、11)、ツイ ヘンドリック(サントリー、41)、布巻峻介(パナソニック、6)、流大(サントリー、13)、松田力也(パナソニック、14)
ジョセフHCに、勝利するためのポイントを聞くと「どこのエリアでということではないが、プレッシャーを作る(ことが大事)」。
「ラグビーは複雑ではない。スクラム、ラインアウトで自分たちのボールを取る。ほとんどのチームがイングランドにそこで苦戦するので、そこがチャレンジだ」。
「セットプレーでボールが取れればモメンタムを(勢いを)作れる。そこを目標に1週間やってきました」と、対イングランド代表ということで、やはりセットプレーを勝利の鍵に挙げた。
オールブラックス戦で後手を踏んだブレイクダウンについては、PR(プロップ)稲垣は「順調に修正できていると感じています。イングランド代表戦はもっと精度のいいブレイクダウンをお見せできるのでは」とコメント。
2キャップ目となるFL西川も「今週はチームとして、そこにフォーカスした。FLとして先頭に立ったり、セカンドマン(接点の2人目の選手)だったりをしっかりやらないといけない」とイングランド代表戦ということで闘志を燃えている。
もう一つ、今週、ジョセフHCや選手から聞かれた言葉がスピードやテンポという言葉だった。
ジョセフHCは「(相手が)フィジカルをターゲットにしてくることは驚くことではない。どう対処するかだが、アプローチは変えない。タックルしもしなければいけない」。
「選手もメンタル、フィジカルで準備は出来ている。こちらは小さい選手もいるので、クイックな戦いをする」とボールを動かすラグビーに自信を見せた。
2015年のラグビーワールドカップでもトライを重ね、2016年のウェールズ代表戦でもトライを挙げるなど、イギリスで強い印象のWTB山田選手も「アタックでもディフェンスでもキックチェイスでも、日本の持ち味であるスピードをいろんな場面で使えるように、それを軸にしっかりしたラグビーやりたい」と意気込んだ。
8万人の大観衆の中、元日本代表指揮官だったエディー・ジョンズHCが指揮するイングランド代表との対戦である。
これだけのビッグゲームはなかなかないが、山田は「前回(のワールドカップ)は非常にお世話になったので、その感謝の気持ちと成長できた姿を見せたい。(私にとって)ワールドカップの決勝戦より決勝戦と臨みたいので、80分楽しめるように頑張るだけ」と試合に集中している。
そんな山田に対して、ジョセフHCも「山田はビッグゲームプレーヤーだ。(2年前の)ウェールズ代表戦でもトライをしたように大きな舞台が好きだ。経験値もあり。最もこういう境遇を知っている選手でもある。トゥイッケナムスタジアムを一番、わかっている」と活躍に期待を寄せた。
日本代表とイングランド代表が互いにテストマッチとして認め、しかもトゥイッケナムスタジアムという「聖地」での試合に、日本代表がどこまで意地を見せられるか。
ラグビー日本代表は2年前の秋はウェールズ代表をあと一歩のところまで苦しめ、昨年11月はフランス代表と引き分けた。果たして今年は、3度目の正直として欧州の競合相手に白星を手にすることができるだろうか。
11月17日(土)午後11:30 イングランド vs. 日本
※J SPORTS 1 生中継&J SPORTSオンデマンドLIVE配信
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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