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2019年ラグビーワールドカップ日本大会まであと1年を切り、11月はヨーロッパ各地で南半球対北半球の強豪同士のテストマッチが行われている。
そして、11月11日(土)は世界ランキング8位のフランス代表と同5位の南アフリカ代表が、フランスのサン・ドゥニのスタッド・ドゥ・フランスで対戦する。
ホームのフランス代表は、この試合が秋のテストマッチシリーズの初戦となる。昨秋、フランス代表はニュージーランド代表、南アフリカ代表に連敗し、日本とも23-23と引き分け。
1勝もできずに終わって、ギー・ノヴェスHC(ヘッドコーチ)が解任され、新しくジャック・ブリュネル元イタリア代表HCが指揮を執ることになった。
ブリュネル体制は、今年のシックスネーションズでは2勝3敗の3位だったが、優勝したアイルランド代表には試合終了間際、相手SO(スタンドオフ)ジョナサン・セクストンにDG(ドロップゴール)で逆転されるまで、試合をリードし、13-15で惜敗。
そして、イングランド代表に22-16で勝利し、SH(スクラムハーフ)マクシム・マシュノーが、50得点で得点王に輝くなど、「レ・ブル」は復調の兆しを見せた。
そのSHマシュノーは4月に右膝を負傷して、今年の復帰は絶望的となってしまったが、6月のニュージーランド代表との3連戦では、結果的に全敗で終わったものの、第2戦では退場者を出しながらも13-26と オールブラックスを苦しめるなど、一定の成果を見せた。
この秋のテストマッチシリーズを迎えるにあたり、SHマシュノー以外にも、SOモルガン・パラ、PR(プロップ)ウィニ・アトニオらケガによる欠場。それでも今年のU20チャンピオンシップ優勝メンバーのPRダンバ・バンバが初招集され、ベテランと若手のバランスのとれたスコッドで挑む。
それではフランス代表のラインアップを見ていきたい。第1列はHO(フッカー)に、60キャップの経験豊富なキャプテンのギレム・ギラドと、両PR(プロップ)には、26歳のジェファーソン・ポワロ、6月のオールブラックス戦で初トライを決めた25歳のセダト・ゴメス=サが入った。
両LO(ロック)には、ともに2メートルを超えるヨアン・マエストリ、セバスティアン・ヴァーマイナのベテランがコンビを組み、FL(フランカー)はアルトュール・イトゥリアと、ウェンセスラ・ロレ、NO8(ナンバーエイト)には、現スコッドで最多の70キャップを誇るルイ・ピカモルが入った。
ハーフ団には主力2人に代わってSHには24歳のバプティスト・スランと、SOカミーユ・ロペスがコンビを組み、WTB(ウィング)には、父アランも元フランス代表SOで、ユーティリティーBKの22歳のダミアン・プノーと25歳のテディ・トマ。
CTB(センター)陣はジョフロワ・ドゥメルと、ベテランのマチュー・バスタロー、FB(フルバック)はBK最年長で経験豊富なマクシム・メダールが先発する。
次に南アフリカ代表を見ていきたい。昨秋のヨーロッパツアーではアイルランド代表に3-38と完敗、
フランス代表、イタリア代表には勝利したものの、ウェールズ代表に敗戦し、こちらもアリスター・クッツェー(現キヤノン指揮官)からラシー・エラスマスにHCが交代した。
夏の南半球4カ国で戦う「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」で、南アフリカ代表は最初はなかなか勝つことができなかったが、9月にアウェーでオールブラックスに36-34で勝利し、オーストラリア代表にも勝つなど、徐々に調子を上げてきている。
そんな中で迎えた先週のイングランド代表戦では、接点でイングランドを圧倒したが、チャンスを生かし切れず、ホームのイングランド代表に11-12と惜敗した。
今週のフランス代表戦には、ワールドラグビー年間最優秀選手にノミネートされているSHフェフ・デクラーク、 FBウィリー・ルルーら、イングランドのプレミアシップでプレーする選手も合流、チーム力は上がったと言えよう。
FWはイングランド戦で負傷した元NTTドコモのLOエベン・エツベスに代わり、 元リコーのフランコ・モスタートが先発する。それ以外は、PRがスティーブン・キッツホフ、フランス・マルハーバ。
ワールドラグビー最優秀選手にノミネートされているHOマルコム・マークス、LOピーター=シュテフ・ドュトイ、FLにキャプテンのシヤ・コリシとクボタでプレーするドゥエイン・フェルミューレン、NO8は元ドコモのウォーレン・ホワイトリーと、前回と同じメンバーが先発する。
BKは2名を変更。やはりSHデクラークが先発復帰し、SOは元NTTドコモのハンドレ・ポラード。
WTBは今年ブレイクしたアピゥエ・ジャンティとスブ・ンコシ、CTBには元近鉄のダミアン・デアリエンディ、元NTドコモのジェシー・クリエル、FBはキヤノンでプレーしていたルルーと、トップリーグ経験者がずらりと並んでいる。
フランスのブリュネルHCは、「ケガ人も多いが、経験豊富な選手がチームをうまく動かしてくれるだろうと思うし、層を厚くしないといけない」とコメント。
そして、対戦相手のスプリングボクスについて、「いつもフィジカルが強いチームであることは変わらないが、SHにデクラークが入り、かつ彼は先週出ていないので元気だ。彼のフットワークの軽さとスキルの高さは要注意だ」。
「BKにも若くて才能とスピードのあるウィンガーもいるし、オールブラックスに勝ち、自信も持っている。このフィジカルバトルにどう戦うかで力を証明したい」と意気込んでいる。
一方、南アフリカ代表のエラスマスHCも「フランス代表はフィジカルに強くてスキルフルだ。ディフェンスと規律をしっかり保たないといけない。そのために経験のある選手が必要だったので、そういった選手が戻ってきたことは喜ばしい」。
「LOはモスタートがエツベスの代わりに先発するが、彼は今年11のテストマッチですでに8試合出場しているからなんの問題もない」と力強く語った。
昨秋は 18-17で南アフリカ代表が勝利したが、1点差の僅差だった両者の激突は、両指揮官の言う通り、接点やセットプレーといったフィジカルバトルが勝敗の鍵を握ることは明白だ。その中で、互いに隙をつき、スピードとパワーのあるBK陣でトライを取りきれるか。
パリ郊外のサン・ドゥニのスタッド・ドゥ・フランスで行われる、フランス代表vs.南アフリカ代表という注目の一戦は、11月11日(日)午前4:50から、J SPORTS 4で生中継、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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