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開幕戦から1カ月。依然、同率首位をひた走る赤紺戦士。彼らに立ち向かったのは地元ファンの熱い声援を背に、堂々たるプレーを広げるブルーの精鋭・近畿大学。
勝って勢いに乗りたい京都産業大学だったが、試合開始直後から苦戦を強いられた。敵陣に攻め込むも、ゴールライン直前でペナルティを取られ相手ボールに。
スクラムもなかなか決まらない。前半19分、自陣ゴール付近でオフサイドを取られ、近大がPG(ペナルティゴール)を選択。先制を許してしまう。
それでも直後の23分、ゴール前5mのマイボールラインアウトからモールで押し込み、NO8(ナンバーエイト)フェインガ・ファカイ(3年=日本航空石川)が押さえる。31分にも左中間ラックから持ち出しトライ。この男の2つのトライで、10-3と7点差を付けた。
だが、近大も黙ってはいなかった。35分に中央にトライを決め、ゴール成功。同点とされると、ロスタイムにもラインアウトからモールで押し込まれトライを許す。
ゴール成功で、今度は京産大が10-17と7点差をつけられ、近大の勢いに飲まれたかのように思われた。勝負の行方は後半戦へ。
「『京産大らしさ』を出していこう」―。ハーフタイム、大西健監督がフィフティーンに声をかける。
チーム内でも、「自分たちの強みをしっかり見直していこう」と皆が声をあげた。7点ビハインドも残り40分。「出し切れていない部分」がある。後半戦、京産大のキックオフは反撃開始の合図だった。
後半2分、自陣22mラインで近大ボールを、ニコラス・ホフア(2年=札幌山の手)がインターセプト。観衆の視線を一身に受け、グラウンドを切り裂くように駆け抜けた。
誰にも止められることなく、ど真ん中へのトライ。ふっと髪をかき上げクールに決める。そのトライから京産大が流れを一気に引き寄せた。
栢本光(3年=天理)のコンバージョン成功で同点に追いつくと、続く5分、左サイドでパスを受けた田畑凌(4年=報徳学園)がディフェンスを振り払い前進。そのまま左中間へのトライを決めた。
赤紺の勢いは止まらない。8分にはゴール前中央ラックから赤松慎司(4年=尾道)がパスを出す。
受けた山内凌雅(3年=関大北陽)が近大ディフェンスに脚を取られながらもゴール中央に手を伸ばしトライ。22分には相手のノックオンに今節からスタメン復帰した濱田将暉(4年=京都成章)が反応。右サイドで押さえトライ。
30分、ファカイがもう一押し。ゴール前ラックから持ち出し何人もに食い止められるも、しぶとくトライを奪いとる。ゴール成功で17-43。20点以上の差をつけた。
後半ロスタイム、近大の猛攻を受け2トライを献上。しかし京産大も43分、ゴール前左端、中村悠人(3年=東海大福岡)が空中から宮崎達也(4年=伏見工業)にパス。宮崎は片手で華麗に受けると、ゴールラインに突き進む。
押して、押して。意地の一撃でトライを挙げた。前半、一時は引けを取った一戦だったが、終わってみれば48-29。後半で立て直し、流れをものに。開幕から4連勝となった。
試合後「不満が残る試合ではあったが、戦い方の再認識はできた」と語った指揮官。
上田克希主将(4年=東海大仰星)も「自分たちの甘さが出てしまっていた」と振り返り、「セットプレーをしっかり見直して精度をあげていきたい」と、次週以降続く上位チームとの戦い見据えていた。
次戦、迎え撃つのは開幕から3連勝、前節の同志社大学戦でも白熱した試合を繰り広げた立命館大学。これまでの勝ちから得たものをさらなる強みにつなげ、5連勝なるか。天理の地で赤紺が躍動する。
文/写真:山内美優(京産大アスレチック)
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