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大学選手権優勝を目標に掲げる王者、帝京大にとっていよいよ本格的なラグビーシーズンが到来。
ここまでの4戦を終え、4勝と帝京と共に、トップを走り続ける早稲田大学、明治大学との2連戦を迎える11月。対抗戦を優勝で終わり、最高の形で大学選手権へと駒を進めたい。
対抗戦も折り返し地点を迎え、「ここからレベルが上がる」と帝京大の岩出雅之監督が言うように、これまでの100点ゲームから、激しい点の取り合いへと戦いの姿は変貌する。
先日の慶應義塾大学との一戦は24-19と辛勝。内容的にもチーム全体で相手の防御陣を崩すことができたのは1回だけ。
前半25分、グラウンド中央でできたラックから右へ展開。WTB(ウイング)の木村朋也(2年=伏見工)からCTB(センター)尾崎泰雅(2年=伏見工)へと折り返し、最後はSH(スクラムハーフ)小畑健太郎(4年=伏見工)へと伏見工業トリオがパスをつなぎトライ。
逆転トライを挙げ、流れが帝京大へと向かってきた。が、残る2トライは完全に個人技。
尾崎の独走トライや、FB(フルバック)竹山晃暉(4年=御所実)がキックで前進したところにSO(スタンドオフ)北村将大(2年=御所実)が走り込んでトライなど、慶應大相手に、崩しきることはできなかった。
前半を24-7で折り返し、いよいよ後半。勢いよく攻撃をするのかと思うと、慶應大の激しいタックルの前にあと一歩が出ず、流れは慶應大へ。
まともにぶつかり合って前に出ることが厳しいと思ったのか、後半はオフロードパス(タックルを受けながら味方にパスをするプレー)を多用し始めたが、あまり効果は出ず、本来の戦い方に戻したものの、やはり慶應大の激しいタックルの前に思い通りにいかない。
チーム全体に「不安」と「あせり」の空気が漂い始めるなか、後半には慶應大に2トライ1ゴールを決められ、5点差と迫られる。秩父宮ラグビー場の時計は80分を経過し、ロスタイムは3分とアナウンスがされた。
自陣でボームをキープし、時間を使って勝利を目指す帝京大に対し、なんとしても点数が欲しい慶應大。レフリーが笛を吹いた。ノーサイドではなく帝京大にペナルティが出て慶應ボールだった。
その後はなんとか抑え込み、ノーサイド。一歩間違えれば負けていたゲーム。今後の試合に不安が残ったが、収穫もあった。
これまでケガに苦しんでいた小畑、ニコラス・マクカラン(2年=ハミルトンボーイズ)らや、セブンズ日本代表として遠征中だった西川虎哲(1年=京都成章)らが続々とチームを戻りはじめ、戦力はチーム状態は整ってきている。
そんな帝京大だが、これまでの戦いぶりをみても今年は例年と異なる部分も感じているだろう。それはここまでの開幕4戦で相手を完封に抑えての勝利がなく、さらに明治、早稲田に対しては新チームになって敗れていることだ。
次に戦う早稲田大には夏の練習試合で14-28で敗れている。負けて終わってる相手に対し、自信を持って戦うことはできるのか。そのあたりにも注目が集まる。
次戦の早稲田大学戦で注目すべき選手は西川。昨年度花園を沸かせた選手の一人である西川は、最近までセブンズ日本代表としてスリランカ遠征に参加。
セブンズで得た経験を活かし、15人制ラグビーにどうつなげるかが成長の鍵になりそうだ。また、持ち味は鋭いタックル。すばやい出足から繰り出される鋭いタックルは、京都成章高校時代で得た。
早稲田大戦に向けて「甘い試合はできない。しっかりディフェンスを決めて、アタックでもトライに繋げられるようにしたい」とコメント。ルーキーの活躍がチームにどのような勢いをもたらすか目が離せない。
早稲田大は今年で創部100周年を迎えた。そんな歴史ある強豪を相手に岩出監督も「敬意を持って戦う」と強く意気込み、戦う姿勢をみせている。
11月に入り、冬の寒さが増すなか、満員の秩父宮で『深紅の王者』帝京大が大学選手権10連覇という新たな金字塔を打ち立てることができるのか、その瞬間は刻一刻と迫っている。
そのためにも次戦で強豪を下し、大きな収穫を得たうえでチームに勢いもたらしたいところだ。
帝京大学と早稲田大学の対戦は、11月4日(日)午後2:00から、J SPORTS 1で生中継。また、J SPORTSオンデマンドでLIVE配信される。
文/写真:太田和樹(帝京スポーツ新聞部)
帝京スポーツ新聞部
1996年創刊。帝京大学体育局所属の公認クラブにして唯一の学生新聞。ラグビー部をはじめ、柔道部、空手部、野球部など帝京大体育局の情報を年4回の発行で熱く伝える。現在部員13名で活動。 Twitter @teikyo_sports
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