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ラグビー コラム 2018年10月30日

優勝の行方を左右する東海vs.流通経済、全勝対決はドロー。ラグビー関東大学リーグ戦

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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10月28日(日)、東京・秩父宮ラグビー場で関東大学ラグビーリーグ戦1部、東海大学vs.流通経済大学との優勝候補同士の一戦が行われた。

互いに開幕から4戦全勝。両者は春季大会では東海大学が接戦を制し、28-24と辛勝していた。

また、ともに11月にディフェンディングチャンピオンの大東文化大学との一戦が控えていることもあり、互いに負けられない意地とプライドがぶつかる試合となった。

前半15分、東海大No8タタフのトライ

開幕から好調を維持し、先週は専修大学に11トライを奪い、73-15で快勝していた東海大がやや優勢かと思われていた。

しかし、キャプテンCTB(センター)アタアタ・モエアキオラ(4年)が欠場し、HO(フッカー)加藤竜聖(4年)がゲームキャプテンを務めた。FL(フランカー)深見瑠希が2試合ぶりに先発、CTB(センター)眞野泰地(3年)が、12番ではなく13番として先発した。

開幕からなかなか調子の上がらない流通経済大学は、選手、拓殖大学に途中までリードを許すも、後半4トライをあげて40-33と勝利した。

FW(フォワード)はケガ人が多く、先発メンバーをHO(フッカー)松田一真から林隆伍に、PR(プロップ)1番に藤田紘輔(3年)、3番には拓殖大学戦で1番だった井上雄太(3年)が入り、LO(ロック)は普段は第1列の山川遼人(4年)と津嘉山廉人(2年)がコンビを組んだ。

流通経済大WTB韓のプレースキック

BK(バックス)はSH(スクラムハーフ)野村悠(1年)から北原夢馬(4年)に、WTB(ウィング)14番には中根稜登(2年)から、イノケ・ブルア(1年)に変更となった。

試合開始早々から気持ちのこもった試合となり、前半12分 、流通経済大学が、前半早々にFL坂本侑翼(2年)に替わり入った中村龍太郎(4年)がトライし、7人制日本代表歴のある、WTB韓尊文(4年)のゴールも決まり、流通経済大が0-7と先制する。

だが、東海大もすぐに追いつく。15分、敵陣10mでの右ラインアウトからSH山菅一史(3年)、HO加藤から再びSH山菅にわたり、最後はNO8(ナンバーエイト)テビタ・タタフ(4年)が抜け出してトライ。WTBモリキ・リード(3年)のゴールも成功し7-7の同点とする。

東海大WTBリードのプレースキック

さらにその直後の18分、東海大は敵陣ゴールでのラインアウトからモールを押し込み、ゲームキャプテンのHO加藤がトライ。WTBリードのゴールも入って14-7とリードする。

しかし、34分、流通経済大学も反撃し、FWでボールを継続、最後はPR井上が飛び込んでトライ。WTB韓のゴールも成功し、流通経済大が14-14と再び同点に追いつく。

前半終了間際の37分、東海大学はラックからSO(スタンドオフ)塚野武(3年)が左の裏へキックし、WTBリード素早く反応してこぼれ球を拾い、インゴールに飛び込んで再び逆転。リードはゴールを外したが、19-14で東海大学が5点のリードで前半を折り返した。

後半に入ってすぐ、負けている流通経済大は、CTBヴィリアメ・タカヤワ(2年)が前方へのキックパスを自らキャッチしフィールド中央に独走トライ。WTB韓のゴールも決まり、7点を追加し19-21と再び逆転する。

東海大HO加藤はこの試合ハットトリック

しかし、東海大学も8分、敵陣ゴール前でのラインアウトからモールを押し込み、再びHO加藤がトライ。WTBリードのゴールも加え、26-21と再度逆転。

流通経済大学も負けじと、12分にラインアウトからモールで押し込んでいき、HO林のトライで26-26とまた振り出しに戻すことに成功した。

東海大は22分にラインアウトからモールで押し込み、HO加藤がこの日ハットトリックとなる3トライ目を挙げて、WTBリードのゴールも決まり、33-26と再びリードを広げる。

流通経済大WTB韓のトライ

しかし、流通経済大も諦めない。29分にテンポよくパスをつなぎ、最後は左サイドにいたWTB韓がトライし、自身で難しい角度のゴールを決めて、33-33とまたしてもスコアをタイにした。

その後は、東海大学SO塚野がタッチキックをミスすると、流通経済大学がゴール前で攻め続ける時間帯が続く。PG(ペナルティゴール)のチャンスも狙わず、トライにこだわったが、東海大学の粘りのディフェンスの前に、ゴールラインを割ることができなかった。

結局、取って取られてのシーソーゲームの攻防も決着はつかず、33-33の引き分けでノーサイドを迎えた。

MOMの流通経済大ctbタカヤワ

MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)には流通経済大WTBタカヤワが選出された。互いに4勝1分で並んだが、総トライ数で東海大学が2位、流通経済大学が3位になった。

「負けなかったことだけが収穫です。結果的に引き分けに終わったということで、スコアのことよりも最後、(ディフェンスで)粘ったところは1つ次につながることかなとは思います」。

「たくさん今日は課題をもらった試合になったと思います」と、何とか引き分けた東海大の木村季由監督は試合を振り返った。

フィジカル勝負はほぼ互角

HO加藤ゲームキャプテンは、「自分たちのペナルティがすごく多くて、そこで自分たちのペースになれず、相手のペースになってしまった」。

「今までうまくいってたいたことがいかなかったり、グラウンドの中で修正できることが解決できなかったりして、ずるずるいってしまった」と肩を落とした。

一方で、流通経済大の池英基ヘッドコーチは、「どちらかというと相手の分析より、自分たちのラグビーに集中することをフォーカスして、多少ミスあったが、準備した分は十分できたんじゃないかなと思います」。

そして、「今回出た課題をしっかり修正して次必ず勝利につながるようにしたい」と笑顔を見せた。

LO山川キャプテンは、「自分たちのラグビーをやり通そうと『ウイン・ザ・レース』『ハードワーク』をテーマに掲げて、一人一人が(それらを)意識して走った」。

「みんなでフィットネスをあげて、最後にチャンスが来たときも切れなかった。次の大東文化にも生かしてやっていきたい」と先を見据えた。

同日、大東文化大学が法政大学を54-36で下して5勝0敗とした。関東大学リーグ戦もいよいよ残り2試合。優勝争いの行方は、開幕から無敗の大東文化大学、東海大学、流通経済大学に絞られたと言っていいだろう。

流通経済大学は11月10日大東文化大学、25日に3勝2敗の法政大学と対戦する。東海大学は10日に法政大学、25日に大東文化大学と戦う。最後に笑うのはどの大学となるか。

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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