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今シーズン初の完封勝利だ。初戦の筑波大学戦では55-10、次戦の成蹊大学戦ではペナルティーを連発し5点を献上。勝ったものの勝ち切れなかったという試合だった。
それから2週間後、青山学院大学との対戦。『リアクション』と『コミュニケーション』の2つをテーマとした今回は、前半から50点以上引き離し相手を圧倒する展開に。
1人が抜けたら素早くリアクションし、サポートについてトライに結びつける。また、80分間声を出しコミュニケーションを取り続けた。そして最後まで集中し、ペナルティーを5つに抑え123-0でノーサイドを迎えた。
試合が動いたのは前半11分。HB(ハーフバック)団のSO(スタンドオフ)岸岡智樹(教3=大阪・東海大仰星)のオフロードパスからSH(スクラムハーフ)齋藤直人(スポ3=神奈川・桐蔭学園)が右大外にトライを決めると、そこから早大が主導権を握り続ける展開に。
常に敵陣でプレーし、前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ、相手を前に出させない。LO(ロック)下川甲嗣(スポ2=福岡・修猷館)が「自分たちの理想のディフェンスができた」と語るように、低いタックルで相手を確実に仕留め、完全に自分たちのペースに持ち込んだ。
アタックでは、WTB(ウィング)佐々木尚(社4=神奈川・桐蔭学園)が自陣ゴール前から敵陣22mラインまでゲインすると、サポートについた齋藤、岸岡とパスをつなぎ難なくトライ。
続いてCTB(センター)中野将伍(スポ3=福岡・東筑)が左大外をゲインすると、WTB桑山聖生(スポ4=鹿児島実)がつなぎ、FB(フルバック)河瀬諒介(スポ1=大阪・東海大仰星)がゴールラインにねじ込む。
サポートが充実し、テンポよくトライを量産できている印象だ。その後も今季初のスクラムトライを決めるなど、得点を重ね、59-0で試合は後半へと進む。
早大の勢いは止まらなかった。一人がディフェンスのギャップを突いて抜けると、充実したサポートがさらにゲインし、確実にトライを挙げる。一度抜けたらあとは取るだけ、そんな展開だった。
また、後半疲れが出てきた青学大にペナルティが増え、早大はそこからチャンスを確実にものにした。FL(フランカー)の柴田徹(社3=神奈川・桐蔭学園)と幸重天(文構3=大分舞鶴)の3年生コンビも鋭いタックルで相手の攻撃の芽を潰す。
テーマであるコミュニケーション、リアクションを全員で徹底し、ゲームを作り上げていった。また、試合を通してNO8(ナンバーエイト)丸尾崇真(文構2=東京・早実)、河瀬、佐々木、中野の4人がハットトリックを決めるなど得点を重ねに重ねる。
最後はロスタイムに河瀬のゲインからLO三浦駿平(スポ3=秋田中央)がダメ押しのトライ。桑山聖が左端からのコンバージョンキックも成功させ、123-0で試合を終えた。
春から一貫して、1試合ごとにチーム共通のテーマを持って臨んでいる早大。次の日体大戦に向けてもまた新たなテーマが出てくるだろう。「積み上げていく上で、過去のものは完璧にできた上で次に行かなければ意味がない」と司令塔・岸岡は語る。
新たなテーマを意識しつつ、自分たちのスタンダードを着実に上げていく。そして試合で自分たちのそれを全て発揮する。そうすれば、チームとして対抗戦の1つのキーポイントとしている帝京大学戦での勝利も自ずと見えてくるはずだ。
文:石名遥/写真:坂巻晃乃介、成瀬允(早稲田スポーツ)
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