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レッドカンファレンスの強豪同士の激突、そしてダン・カーターの関西デビュー戦となった試合には8000人を超える観客が集まった。
「短期決戦」である今年のジャパンラグビートップリーグは早くも中盤に差し掛かり、9月22日(土)に大阪・万博記念競技場で第4節のトヨタ自動車ヴェルブリッツと、神戸製鋼コベルコスティーラーズの対戦が行われた。
トヨタ自動車は、第1節こそ25-27で2連覇中のサントリー・サンゴリアスに逆転で黒星を喫したが、第2節はNECグリーンロケッツに29-5、第3節は日野自動車レッドドルフィンズに36-14と2連勝で調子は上向きである。
一方の神戸製鋼コベルコスティーラーズは、開幕はホームでNTTコミュニケーションズシャイニングアークスを34-27で下したが、先週は北海道胆振地方中東部で発生した地震の影響により、札幌・月寒屋外競技場で開催予定だった宗像サニックスブルース戦が延期に(9月29日に代替開催)。
2試合目となった先週はサントリーと対戦し、元オールブラックス司令塔の世界的スターSO(スタンドオフ)ダン・カーターのトップリーグデビューとなり、そのカーターが21得点をあげる活躍を見せ、36-20で4シーズンぶりにサントリーに勝利。こちらも勢いに乗っている。
トヨタ自動車は前節から両PR(プロップ)を含むFW(フォワード)4人を変更し、BK(バックス)も前節のSH(スクラムハーフ)岩村昂太、SOクリントン・スワートからそれぞれ茂野海人、ライオネル・クロニエにハーフ団を入れ替えるなど3人を替えて臨んだ。
また、この試合はCTB(センター)マレ・サウ、イエーツ・スティーブンのトップリーグ出場100キャップ目の試合となった。
対して神戸製鋼は、FL(フランカー)グラント・ハッティングに替わり、マット・バンリーベンが先発した以外は、SH(スクラムハーフ)日和佐篤、SOカーターのハーフ団を軸に、HO(フッカー)有田隆平、LO(ロック)張碩煥、NO8(ナンバーエイト)中島イシレリ、CTBアダム・アシュリークーパー、WTB(ウィング)山下楽平、FB(フルバック)山中亮平ら前節と同じスターティングメンバーで臨んだ。
トヨタ自動車のキックオフで始まった試合は、互いに負けられない試合のため、ノックアウト方式のトーナメント戦のような試合展開になる。
前半2分、テンポ良く攻めたトヨタ自動車がペナルティを獲得し、SOクロニエがPG(ペナルティゴール)を決め、3-0と先制する。さらに10分、トヨタ自動車は再びSOクロニエのPGで3点を追加し6-0に。
神戸製鋼もすぐに反撃に転じ、14分にSOカーターが左足でPGを決めて、3点を返したが、25分に再びSOクロニエのPGで、トヨタ自動車が9-3とリードを広げる。
だが、先にトライを奪ったのは神戸製鋼だった。29分、敵陣5mでのラインアウトからモールを形成し、そのまま中央右に押込んで、最後は24日から始まる日本代表候補合宿に初招集されたNO8中島がトライ。SOカーターのゴールも決まり、神戸製鋼が10-9と逆転に成功する。
33分、トヨタ自動車がSOクロニエのPGで12-10と再びリードするが、前半終了間際の38分に神戸製鋼はSOカーターのこの日3本目のPGを決め、13-12と1点リードで前半を折り返した。
後半も先にスコアボードに得点を加えたのはトヨタ自動車だった。4分、敵陣30mのPGをSOクロニエが決め、15-13と再び逆転。
しかし8分、神戸製鋼も負けじとSOカーターがPGを決め16-15と逆転すると、16分にもPGを決めて、19-15とする。22分、トヨタ自動車のSOクロニエがPGを沈めて19-18と1点差に追い上げる。
PGの応酬が続く後半の序盤戦だったが、25分、ゲームが動く。神戸製鋼がキックオフのボールを奪取して、フェイズを重ねてゴール前に迫り、SH日和佐、LOトム・フランクリン、張と繋いで右中間にトライ。SOカーターのゴールも決まって26-18と、この日最大となる8点の点差をつけた。
残り10分強、このまま神戸製鋼が逃げ切るのかと思われたが、38分、トヨタ自動車はSOクロニエのPGで26-21とすると、残り1分に勝負をかける。
自陣からボールをキープし続けて、相手のペナルティ後も、ラインアウトから攻撃を継続し、48分、右から左に大きく展開し、SOクロニエ、CTBイェーツ、そしてWTBヘンリー・ジェイミーとつないで、ジェイミーが左隅に押さえてトライ、26-26と同点に追いつく。
ここまで全てのプレースキックを成功させていたトヨタ自動車SOクロニエのコンバージョンは惜しくも外れて、そのまま、26-26と引き分けでノーサイドを迎えた。
MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)は2試合連続で、その左足で16点を挙げた神戸製鋼のSOカーターが獲得。カーターはこの試合のプレースキック6本を全て決め、100%の成功率だった。
引き分けで互いに勝ち点2を得た。トヨタ自動車は勝ち点を13に伸ばし、レッドカンファレンスの首位に立った。神戸製鋼は勝ち点10とし、同カンファレンス5位となったが、1試合消化が少ない。
惜しくも白星を逃した神戸製鋼は9月29日(土)、第2節の代替試合として札幌・月寒競技場で、まだ勝利のない同カンファレンス8位の宗像サニックスブルースと対戦する。
トヨタ自動車は、来週は休みとなり、10月6日(土)に福岡・グローバルアリーナで、同じく宗像サニックスブルースと戦う。
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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